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2015.01.22 Thursday 00:00
古代の宇宙人 黄金と宇宙人
コロンビア、Guatavita湖、古代に隕石が墜落したという円形の湖が、山々が囲む。
人類が大規模な探索を行ってきた場所でもある。 探すのはエルドラド、失われた黄金郷。 16世紀以降、財宝ハンターたちが行ったエルドラド探索は、困難を極めた。 南米のどこかに誰も知らない宝が眠ると伝える伝説は、星の数ほどもあるが、今もなお、エルドラドは発見されていない。 こんな夢のような場所が何世紀もの間、探検家に見つからずにいたのはなぜなのだろうか? Gregory Deyermenjian(Paititi Explorer)「エルドラド伝説は、グアタビータ湖から生まれたとされている。 ここは先住民ムイスカ族、別名チブチャ族の土地で、首長制がとられていた。 インカ人やアステカ人ほどの高度な文明ではなかったが、ここに存在した文明には、多くの金があった。 ムイスカ族の土地の南半分を治めた酋長は、ジップという名だったが、16世紀にここにきたスペイン人征服者たちは、母国語で黄金の人を意味するエルドラドと呼んだ。 ムイスカの神聖な儀式を見た後につけられた名前である。 儀式の中でジップは、船でグアタビータ湖の中ほどまで漕ぎ出すと、湖底に住む神に黄金のささげたと言われている。 酋長のジップは、樹脂を体に塗って全身に金粉をまぶしたと言われている。 その後湖に飛び込んで金粉を洗い落とす。 この金粉が湖の底に降り積もっていたことや、金でできた神への捧げものが投げ入れられていたことから、コロンビア周辺では、エルドラド伝説が語られるようになった。 イギリス人土木技師のパートレイノールズの指揮のもと、グアタビータ湖の探索が行われた。 そして1912年には、黄金の異物を含む20000ドル相当の宝物が見つかったと発表された。 ノールズは、これがほんの一部であると信じて疑わなかったが、この時に発見された遺物は、ムイスカ族の酋長の伝説が真実であった証ではないか? だとすれば神と呼ばれ、湖底に住んだ者たちは、何者だったのだろうか? David Childress(Author,Technology of the Gods)「異星人が地球に来たのは木々を掘るためだったという研究者が数多くいる。 ゼカリア・シッチンは、宇宙人は故郷の星を守るために黄金が必要だったといった。」 Derrick Pitts(Chief Astronomer The Franklin Institute)「実際に金は宇宙探査と天文学にとって大変重要なもの。 それは金が不活性の物質で、どんな物質とも化合しない金属だから。 他にも伝導性がすばらしくよいという重要な特性ももっている。 そして最後にもう1つ忘れてはならないのが、金は赤外線エネルギーを反射するのに適した物質であるという点。 恒星やそのほかの発熱体が発する高熱から、宇宙船を守るためにも使われる。」 宇宙全体でみても金は非常に希少な元素。 金を探して宇宙人が地球にたどりつくことなど、ありえるのだろうか? 古代宇宙飛行士説を唱える者たちは、その可能性があるばかりか、古代に記された文章や伝説の中に、証拠が残されている。 その1つがペルーの南東地域近辺に位置すると言われた古代インカ帝国の伝説の都市パイティティだ。 探検家グレゴリー・ダイアメンジャンは、ペルー人探検家のパウリーノ・ママーニと共に遠征を組み、黄金郷を求めて1984年以来、15回以上におよぶ探索を行ってきた。 「パイティティに続くと伝説に語られる石造りのインカの道を私たちはたどり続けている。 この地一帯が、苔やジャングルに覆われて、川にも行く手を阻まれるのは、大地の恵みパチャママが何かを隠しているからそうだ。」 ダイアメンジャンたちの対策は、黄金の囲い場を意味するインカの聖地クスコのコリカンチャから始まったと言われる。 1559年にスペインの征服者たちはサントドミンゴ教会を建てるためにコリカンチャを取り壊した。 そして今もこの教会は、古代インカの神殿遺跡に囲まれながら、クスコの中心に立っている。 金で覆われた巨大な祭壇が見どころである。 しかしスペイン人の記録によれば、コリカンチャはこの教会が見劣りしてしまうほどに素晴らしく、黄金の像があちこちに置かれていただけでなく、純金の薄板で覆われていたという。 Brien Foerster(Author,A Brief History of The Incas)「金は太陽の汗と考えられ、インカ人にとって重要なものだった。 太陽はインカの最高神、したがって太陽の汗は手にすることのできる最も神聖なものを意味した。」 古代宇宙飛行士説では、かつてコリカンチャにあったプンチャウと呼ばれる金色に輝く太陽神の像に、宇宙人がインカ人と接触した証があるかもしれないと考える。 Giorgio A.Tsoukalos「コリカンチャに巨大な金の円盤があったことはよく知られている。 この金の円盤にまつわる古代信仰があるのだが、それはこの円盤が空から降ってきて、インカ帝国の皇帝アタワルパの目の前に落ちたというもの。 伝説によれば、皇帝は空の神々と接触があったようだ。」 かつてこりにか保管された巨大な金の円盤は、宇宙から来た者たちを称えるために造られたのだろうか? それに宇宙人の目的が金の採掘であるなら、これはパイティティが近くに存在する証でもあるのだろうか? 1533年に、スペインはクスコの町を襲撃し、インカの金を求めてコリカンチャの神殿を破壊した。 しかし伝説によれば、その時すでに金は、30kmあまり北西の町へ移され、近隣の町に沈められていたという。 「スペイン人の一行がクスコに到着する前に、神官がそれに気づいた。 人々は神殿から金をすべて持ち去って、湖に投げ入れた。 いまだにその財宝は見つかっていない。 現在の価値にして数十億ドルに上ると言われている。」 さらに不思議なことにこの周辺の空では、不思議な物体が頻繁に目撃されている。 それが何百年もの間、続いているという。 船が湖の上を飛ぶだけでなく、水の中に入っていくと地元住民がいう。 直径約6mの宇宙船がちょうど入るほどの渦が発生して水面に穴が開くという。 そこに謎の船が入ると渦巻きは消える。 その後船は同じようにして水から出てくる。 東京帝国大学、1924年3月、原子力エネルギーに関する初期の実験を行っていた長岡半太郎教授は、パラフィンオイルの長岡誘電層の中で水銀の同位体に15満ボルトの高電圧を4時間もかけ続けていた。 実験の目的は、水銀の原子核から水素原子を取り出し、別の元素を作り出すことだった。 その元素とは金である。 実験は成功し長岡教授は何世紀も科学者たちが得ることのできなかった賢者の石、つまり黄金を作り出す秘法を見つけた。 A.J.SHAKA,PH.D.(PROF.CHEMISTRY,UNIV.OF CALIFORNIA,IRVINE「賢者の石とは錬金術の中で使われる概念。 鉛など手に入りやすい金属を黄金へと変える魔法のような物質のことを意味する。」 何千年もの間、何人もの王が、ありふれた金属から金を作り出す伝説の装置を求め、科学者と錬金術師もその発明のために何百年も費やした。 アイザック・ニュートンでさえ、17世紀には賢者の石の神秘に取りつかれていた。 しかしイギリス王室は増産によって金が暴落することを恐れ、錬金術を行う者に死罪を科した。 1924年に長岡教授の実験が成功するまでは、科学者の大多数が別の金属から金を作り出すことなど不可能だと断言していた。 しかし注目すべき点が明らかになると、態度は一転する。 MICHAEL DENNIN,PH.D.(PROF.CHEMISTRY,UNIV.OF CALIFORNIA,IRVINE)「自然界では恒星が超新星となる時の核融合によって金が作り出される。 その大規模な爆発のために生成された金が宇宙全体にばらまかれる。 現代は核反応が制御できるようになったので、金を造ることは原理としては可能。」 カリフォルニア大学Irvine校では、A.J.SHAKA博士によって錬金術の実験がほぼ毎日行われている。 「このチューブに水銀を入れる。 水銀は原子百分率が0.15%の少量の同位体を持ち水銀196と呼ばれる。 中性子線を照射して、原子核を崩壊させると、23時間ほどで金に変わる。」 原子炉内の中性子を吸収して反応を抑えるのが制御棒、これを引き上げて原子炉の質力を最大にすると、驚異的な速さでエネルギーが生成される。 「ある質量の物質から作り出せる電気などのエネルギーは、核反応を使えば他の方法を使用した場合の、およそ1000万倍、もしくはそれ以上を生産することができる。」 錬金術の発見は、科学にとって貴重ではあるが、皮肉にもそれは富を生み出すものではない。 「この原子炉で1日照射したとしても、得られる金は0.3セントほどの価値のものでしかない。 原子炉の使用には1時間当たり200ドルかかるので、これでは割に合わない。」 現代の錬金術は、莫大な量の金を製造するにはあまりにも効率が悪すぎる。 これに対して古代宇宙飛行士説では、現在のものより、さらに素晴らしいテクノロジーが古代エジプトで使用されていたかもしれないと考える。 ROBERT BAUVAL(CO-AUTHOR,BLACK GENESIS)「金が神聖な金属、つまり神聖な元素であるという考えは、古代エジプトにおける信仰の根底にある概念。」 AIDAN DODSON,PH.D.(EGYPTOLOGIST,UNIVERSITY OF BRISTOL)「金は神の肉体だった。 古代のエジプトは最大の金の供給量を誇っていたと思われる。 バビロンやアッシリアの王たちからエジプトの王にあてた手紙が残されているが、中には金を請う内容のものが多々ある。 例えば、ファラオよどうかたくさんの金をお送りください。 あなたの国ではシリアクタのようにあるのですから、などと書かれている。」 どうして古代のエジプトは周辺の国よりも豊富に金を持っていたのだろうか? またなぜ金をこの世のものではないと考えたのだろうか? 古代宇宙飛行士説では、エジプト人は金を製造できた可能性があるとしている。 そのために人知を超えた力を借りていたかもしれないというのだ。 DAVID CHILDRESS「工学専門家のクリストファー・ダンは、ギザのピラミッドが巨大な装置で、内部ではなんらかの化学反応が起こっていたのではないかと言っている。 ギザの大ピラミッドが他の元素から金を生成するのに使用されていたかもしれないのだ。」 CHRISROPHER DUNN(AUTHOR,THE GIZA POWER PLANT)「青写真に記された内部の通路や部屋、シャフトの配置を実際に見てみると、ギザの大ピラミッドが墓として使用されていたとは思えない。 建築制度の高さ、王妃の間や大回廊へと続く精緻の石積み、また王の間に使われた何千トンもの花崗岩は、ナイル川を800km以上も下って運ばれている。 ここは何か特別なことを行う場所だったのではないかと考えずにはいられない。」 1936年エジプト、ギザ台地、3000年以上の間、スフィンクスの体は、砂の下に埋められていたという。 しかし11年を発掘に費やしたエジプト人考古学者の手で、とうとうこの像の全容が明らかになった。 全長73.5m、高さ約20m、世界最大で最古の1枚の岩でできた石造だ。 さらに驚くのはその形状、スフィンクスは人間の頭を持ち身体はライオンという姿をしている。 この像が造られたのはカフラー王の時代、つまり紀元前2500年頃であるとエジプト学者たちは考えている。 だが、それよりもはるかに古いものだと主張するものがいる。 ROBERT BAUVAL(CO-AUTHOR,BLACK GENESIS)「浸食状態からみて、もっと古いものだと思われる。」 このような奇妙な石像が造られた時代や理由に関して、学者の意見は一致していない。 しかし古代宇宙飛行士説では、宇宙人が存在した証がこの像に残されていると考える。 JASON MARTELL(AUTHOR,KNOWLEDGE APOCALYPSE)「古代シュメール文明や古代エジプト文明の碑文には、半人半獣のスフィンクスについて刻まれているが、結合されている動物も、その度合いも様々。 なぜこのような怪物が記録に残されたのかを考えなければならない。 宇宙人がここに訪れて、その姿に似せて人間を作り出したことが多くの古代文書に書かれていると考えるほうが、論理的にもつじつまがあう。」 GEORGE NOORY「今は亡きゼカリア・シッチンは、太陽系の外にある惑星の住人アヌンナキという者たちが金の採掘のために地球にやってきたと考えていた。 アヌンナキは採掘作業を嫌がって当時この惑星に存在した生物を遺伝子操作によって人類に作り替え作業員にしたという。」 スフィンクスは古代異星人が行った、遺伝子操作の証なのか。 宇宙人が金を採掘するために人間と動物を遺伝子操作によって作り替えていたのなら、この巨大な構造物は、かつて金をしまう倉庫だったのだろうか? エジプト人考古学者がスフィンクスを発掘し始めたとき、彼らが本当に捜し求めていたのは金ではなかったか。 ギザ台地周辺では何世紀にもわたって秘密の部屋やシャフト、狭いトンネルが発見されている。 スフィンクスの裏側にギザ台地を走る地下通路が発見された。 通路は何本にも枝分かれするが、どこへもつながっていはいない。 近年は地球レーダ探査が行われるようになって、スフィンクスの周囲に地下空洞がいくつも存在する証拠が得られている。 それだけでなくスフィンクスの下に、秘密のトンネルや部屋があることの証が初めて得られた。 憶測や仮説や言い伝えなどではなく、科学的観点からみて強力な手がかりとなるもの。 もはやギザ台地の下に文津の地下通路があるのかではなく、ここに入るのができるのかという問題になっている。 ここにはたいへん重要なもの、おそらく科学を覆すような異星人に関する何かが残されているのではないろうか。 スフィンクスの下にあるという空洞に、ただの金ではなく、古代の異星人が採掘した金が納められているなら、そこには財宝以上のものがあるのではないか。 古代宇宙飛行士説をとなえる者たちは、スフィンクスの足の下に巧妙に隠された秘密の保管庫があると信じている。 保管庫の年代は、なぞの大陸アトランティスが沈んだ頃にまでさかのぼる。 古代文書によれば、12000年前のことであるという。 またアトランティスには宇宙人が住んでいて、積み上げた英知のすべてを納めるための保管庫を必要としていたという。 William Henry(Author/Investigative Mythologist)「かつて神が持っていた金を使用した技術が納められていると考えている。 これは誰がどうやってピラミッドを作ったのかを知る手がかりとなるだろう。 またここには宇宙への入り口があるように思える。」 もしこの保管庫が実在するなら、そこに納められた地球外生命体の知識が古代の巻物にではなく、金に記されていた可能性はないのだろうか。」 Michael Dennin,PH.D.(Prof.Chemistry Univ. Of California,Irvine)「金は驚くべき金属で、最も優れた伝導体でもある。 電子応用の分野で使われる導体には、伝導性のみならず、腐食しないことが求められる。 なので非常に高品質で耐久性のある電子機器が必要な時には、金が使われる。」 古代人の知るこの貴金属が持つ秘密は、金と一緒に納められているのではなく、金自体に記憶させられているのだろうか。 1953年1月29日フランスRennes-le-Chateau、マリー・レナルノーという衰弱した85歳の女性が死の床にあった。 遠い昔から守られた莫大な財宝についての秘密を明かす、そういった後脳卒中に襲われ、秘密もろともこの世を去った。 レンヌルシャトーに隠された莫大な金に関する伝説は古く、5世紀にまでさかのぼる。 西暦410年に西ゴート族として知られるゲルマン人がローマに侵入、略奪の限りをつくした彼らは、財宝を持ってこの地にやってきたという。 そしてその200年後にこの土地を離れる際には、財宝の一部を残していったとされている。 西ゴート族は死者と共に宝物を埋葬することで知られていたので、レンヌルシャトーに金が埋まっていると言われるようになった。 1891年ベランジェ・ソニエールという名の若い教区司祭が教会の修復を行っていた際、何かを発見し、ほぼ一夜にして大変な資産家となったことが語り継がれている。 David Childress「ソニエールが手に入れた宝は、この教会の下にあったいくつもの地下墓地カタコンベに納められた莫大な財宝の一部であったと考えられる。 ここのカタコンベは古代に造られたものだった。 またこの地域には西ゴート族が使った洞窟があると言われている。」 ソニエール神父は偶然財産が転がり込んだだけと主張した。 しかし教会の下のカタコンベに納められたさらに多くの金を精力的に探していたと多くの者が考えられている。 しかし金の発見よりもさらに謎に包まれているのはその後の神父の行動だった。 その奇行の一端は教会のデザインにも表れているという。 ソニエール神父は古代文書を探し回って錬金術に使われる錬成ジンについて調べていたようだ。 そのあと神父はある計画に沿って教会を建て始めるが、その計画とは神と接触するというものだった。 神父はある種の金属を変化させればそれが可能になることを知っていたのではないか? 謎の財宝を手に入れた経緯を神父が打ち明けた相手は、家政婦のマリー・レナルノーただ1人だった。 ソニエールが扉の上に掲げた言葉は100年の間物議をかもしている。 それはラテン語で書かれた文章で、ここは恐ろしき場所かなという意味に間違って解釈されることが多かったが、実際には旧約聖書の創成記から取られた言葉。 聖書の中でヤコブは天へと続く梯子の夢を見てその地を神と人を結ぶ場所だと考えた。 旧約聖書の中ではこの文書の訳は、畏れ多い場所となっている。 レンヌルシャトーは別世界への入り口かもしれない。 宇宙への入り口がある強大なパワーを持つ地でないのなら、ソニエール神父があのような文書を入り口に掲げることなど考えられない。 レンヌルシャトーにはUFOが出現するという証言もある。 ここでタイムスリップをした人もいたし、悪魔と遭遇したという話もある。 この小さな村には別世界への過去へと、もしくは別次元へとつながるトンネルがあるのだろうか? スコットランド、Rosslyn Chapel、エジンバラから10kmあまり南にあるロスリンの村、西暦15世紀、村を見下ろす丘の上にこの教会は建てられた。 この教会の中には秘密の部屋がある。 失われた素晴らしい遺物が隠されていると言われ、その中にはテンプル騎士団の財宝も含まれている。 全員が戦士で修道士だったテンプル騎士団は、十字軍遠征の時代にエルサレムの神殿の丘に拠点を置いた。 また多くの宗教的遺物を持っていたとも噂されていた。 世界で最も貴重な聖なる金の遺物と言われる聖杯もその1つで、これは最後の晩餐の時にイエスが使ったとされる杯である。 テンプル騎士団はソロモン王の神殿跡地を発掘して数えきれないほどの金の遺物が納められた秘密の洞窟を発見したと言われている。 ソロモン王の財宝は神殿が破壊された時に突然消え失せている。 騎士団が財宝をスコットランドに運んで、ロスリン礼拝堂に埋めたとも言われている。 ロスリン礼拝堂はソロモン王の神殿を再現したもの。 この礼拝堂は聖杯やその秘密を納めるべくウイリアム・シンクレア教によって建てられた、まさに聖杯神殿だった。 当時ここより優れた象徴的表現が施された建造物はない。 この建造物が聖杯の隠し場所を示す謎の言葉や記号で飾られていると考える者もいる。 ロスリン礼拝堂の壁に見られる数多くの彫刻の中にグリーンマンと呼ばれるものがある。 これは成長と再生をつかさどる異教の神。 この不思議な顔の彫刻が礼拝堂に聖杯が隠されている手がかりだと信じる者もいる。 「グリーンマンには2つの意味が込められている。 礼拝堂のあちこちに110体以上もある。 東から西へとグリーンマンを追ってゆくと、時間と共にこの彫刻が変化していることがわかる。 東側の壁に彫られたものは比較的新しいもので、西に行くにしたがって年代が古くなっている。」 聖杯がロスリン礼拝堂に納められたのなら、どこに隠されたのだろうか。 徒弟の柱と呼ばれる飾り柱の中にあると信じるものもいる。 実際に取り出そうとしたものも1人いた。 斧を持って礼拝堂に忍び込み、徒弟の柱の中に聖杯が隠されていると信じ、柱を叩き割ろうとした。 聖杯とは何だろうか。 人類の過去と未来を握るものなら、これはDNAだと考えらないだろうか。 実際に徒弟の柱はDNAの二重らせん構造そっくり。 これらの謎の彫刻が示すのは最後の晩餐の際にイエスが使用したとされる聖杯は単なる杯ではなかったということではないか。 ドイツの詩人ボルハム・ボン・エッシェンバハは、聖杯が宇宙からもたらせたものだと言っている。 聖杯の描写に点滅する赤いランプがついていたという表現をよく耳にするが、テンプル騎士団はハイテク機器か何かを持っていたのだろうか。 古代において聖杯は冥界のもの、あるいは別世界のものとイエスをつなぐものだったのだろうか。 聖杯が見つかれば人間の異星人との関係も明らかになるのだろうか? そうだとすれば、金の神殿と呼ばれる謎の建造物が存在するペルーや、エジプト、フランスには金よりもはるかに価値のある宝が眠っているのかもしれない。 金とは、人間と別世界の者たちとを結びつけるものだったのだろうか。 おそらくは何千年も前に別の星から地球にやってきた我々の祖先を知る手がかりとなるものだろう。 しかし古代の宇宙人が太陽系第三惑星、つまり地球を訪れた理由の1つが金の探索だったとすれば、宇宙人はさらなる金を求めているのだろうか。 そして地球に再びやってくるのだろうか。 2014.11.16 Sunday 00:00
Aliens and Sacred Places 宇宙人と聖地
ここはおそらく人類にとって最も神聖な地といえるだろう。 世界の主要な3つの宗教、キリスト教、ユダヤ教とイスラム教の信者が皆この地を敬い崇め奉る。 まさに聖地と呼ぶのにふさわしい場所。 Jerusalem旧市街、神殿の丘、古代の城壁に囲まれた台地は数千年前から聖なる場所と考えられてきた。 Robert Mullins PH.D.(Archaeologist)「ここがユダヤ教とキリスト教にとって神聖である訳は、創世記の22章でアブラハムが息子イサクを縛って生贄にしようとした場所だから。 またここにある岩のドームには、イスラム教開祖のマホメットが天界に旅立った時に足跡を刻んだという岩がある。」 Philip Coppens(Author,The Ancient Alien Question)「神殿の丘には、3つの宗教にまつわるものが混在している。 それぞれ違った説話があるが、重要な場所であることに間違いない。 その起源は、神が地に降り立ったという点で共通している。 以来ずっと、ここは死後の世界か、神の世界と更新するために場所だった。」 毎年何百万人もの巡礼者が礼拝のために神殿の丘を訪れる理由は一体何なんのだろう? 紀元前10世紀に、ダビデ王がこの地を巨大な神殿の建設地に選んだ訳は? Mrvin Mewer,PH.D.(Prof.of Religion Chapman University)「ここはイスラエルの王となったダビデが攻め落とした地だった。 神の祝福があった土地でもあるし、イスラエルの民に神が与えてくれた聖なる土地という意味合いが当時からすでにあった。」 Michael Coogan,PH.D.(Leturer,Harvard Divinity School)「聖書によればダビデはエルサレムに遷都した後に、神の住まう家を建てたがっていた。 しかし最初の神殿を建設したのは、その息子ソロモンだった。」 紀元前957年、ダビデの息子ソロモンが建設した神殿には、契約の箱が置かれたと言われている。 ユダヤの紙が与えし掟、十戒が刻まれた石板がこの箱に納められている。 しかし古代宇宙飛行士説を唱える者の多くが、契約の箱は異星人に与えられた強力な装置であるという。 Erich Von Daniken(Author,Chariots of the Gods?)「聖書には契約の箱のことがつづられている。 神はモーセに聖なる山に来るように命じて、この箱のつくり方を伝授する。 この箱がその後どうなったかは聖書に記される通りで、たいへん奇形なものだった。」 R・M「ソロモン王は契約の箱を神殿の奥深く、位の高い祭祀だけが入ることを許された場所に安置した。 本殿の内部に作られた内洞だ。」 ユダヤ教の聖典・タルムードによれば、ソロモンの指輪と呼ばれる特別な記号が刻まれた魔法の指輪を持っていたという。 この記号こそ、ダビデの星。 この指輪は普通の人間なら、到底なし得ないことをも可能にするものだった。 ソロモン王は指輪の力で悪魔を操ることもできた。 こうして力を得たために、それまでは不可能だった建造物の建築が可能になったとも言われている。 イスラム教の聖典によれば、ソロモンは緑の絹でできた魔法の絨毯を持っていた。 それは玉座と兵士が乗れるほど大きなものだった。 Giorgio A. Tsoukalos(Publisher,Legendary Times Magazine)「魔法の絨毯なんてものが存在するはずがない。 私たちの祖先は、この話の中で何を言い表そうとしていたのだろうか。」 David Childress(Author,Technology of the Gods)「ソロモンはどうやって不思議な力を得たのだろう。 宇宙人と接触して空を飛び回るための宇宙船を与えられていたのだろうか?」 ソロモンの神殿の複雑な形状やデザインを研究したアイザック・ニュートンでさえ、ソロモンが秘密の知識を持っていたのでは、と疑った。 Bill Birnes,J.D.,PH.D.(Author/Publisher,UFO Magazine)「たいへん高度な建築技術が駆使され、光の取り入れ方にも正確な天文知識が繁栄されている。 この神殿にみられるデザインとレイアウトを可能にしたソロモン王時代のテクノロジーは、一体どれほどのレベルだったのだろう? 現代の学者や建築家たちでさえ首をかしげるばかり」 「実際旧約聖書のソロモンの契約には、ソロモンが人間の労働者や建築家を使っただけではあく、悪魔にも手伝わせたと書いてある。 悪魔は特に力が強かったため使ったようだ。」 契約の箱に備わった高度なエネルギー装置がソロモンに莫大なパワーを与えていたのだろうか? その装置とは、もしや宇宙からきたものではなかったか? ソロモン王の神殿は紀元前6世紀、バビロニアに攻め入られた際に焼き払われた。 だがその跡地には、ヘロデ王によって西暦1世紀、第二の神殿が造られた。 新約聖書によれば、第二の神殿は、イエス・キリストの人生に深くかかわるものであったという。 イエスはこの神殿の境内から物売りを追い出し、その後ユダヤ人とローマ人の両方の手によって磔となり命を落とした。 そしてここは蘇ったイエスが体ごと天に上った場所とされるオリーブ山の近くでもある。 Rev.Barry H.Downing(Author,The Bible & Flying Saucers)「イエスの物語には、弟子たちが、イエスが天にめされても、いつか戻ると信じていたと記されている。 このような話も含めたうえで、地球外に生命体が存在することを聖書は認め、信じるよう説いているとも解釈できる。」 古代宇宙飛行士説がいうように、イエスはソロモン王と同じく、別世界のものとつながりがあったのか。 Rev.Michael J.S.Carter,M.Div.(Author,Alien Scriptures)「異星人との遭遇に関して、天に昇るという話がよく出てくる。 新約聖書にもイエスが昇天した話がある。 このような話は雲の上で待つ宇宙船へと人間を持ち上げ、引き上げる装置を地球外生命体が持っているという裏付けともなりえる。」 第二神殿も、西暦70年にローマ軍によって、炎上、破壊される。 そのおよそ600年後にこの地を侵略したペルシャ人は、崇高なる聖書とイスラム教徒が呼ぶ、岩のドームを、ここに建設した。 岩のドームは、露出した岩の岩盤に覆いかぶさるように建っている。 イスラム教の教えでは、神の導きでこの岩からマホメットが天に昇ったとされている。 実際にこの岩には穴が開いていて、マホメットが、どこから天に連れて行かれたかが分かる。 天でアラートであって啓示をうけた後、マホメットは再び同じ場所に戻ってくる。 なのでイスラム教徒にとってここは、重要で神聖な場所。 コーランによれば、マホメットが天に昇る際に乗った岩は、聖なる岩と呼ばれている。 宗教学者たちは、この岩の上にはかつて、契約の箱が安置されていたと考えている。 ソロモンの神殿の内洞が建っていたというのだ。 神殿の丘は、古代に存在した、銀河をつなぐトンネルの入り口ではなかったかと考える専門家もいる。 宇宙を旅した生物は、何万年も前に、本当にこの地に降り立ったのだろうか。 神殿の丘は、古代人が異星人と初めて接触した場所だったのだろうか? この地の持つ宗教的意味が、地球外生命体との関連を裏付けとなる証となるのだろうか? 中東の要、サウジアラビア、紅海から80kmほど入った内陸に、イスラム教のもっとも聖なる都市、メッカがある。 西暦570年に、予言者でイスラム教の開祖であるマホメットが生れた場所である。 Michael Coogan,PH.D.(Lecturer,Harvard Divinity School)「当時のメッカは、商業の中心地だった。 インドや、さらに遠くのアジア諸国から持ち込まれた商品は、陸路で北部のダマスカスに送られた後に、海路でエジプトまで運ばれた。 この商業都市で予言者マホメットは最初の啓示を受けた。」 メッカの中心には、イスラム教徒にとって最も神聖な場所アルハラムモスクがある。 このモスクの中心部に位置するのがカーバ、高さ13m、幅10m、花崗岩でできた立方体の神殿。 イスラム教の教えによると、カーバは紀元前およそ2000年に、イスラムとユダヤ、両方の祖となった人物アブラハムによって造られたという。 アブラハムには2人の息子がいたと聖書には書かれている。 最初の息子はイシュマエル、そして次男がイサクだった。 このイシュマエルとアブラハムが一緒にこの地を訪れ、カーバを造ったと言われている。 金の刺繍が施された黒い絹で覆われたカーバは、イスラム教で最も神聖な建造物。 毎年およそ300万人のイスラム教徒がカーバへ巡礼に訪れる。 この巡礼はハジと呼ばれる。 イスラム教徒にとっては、可能であるなら一生のうちに少なくとも1度はメッカ巡礼、つまりハジに行くことが義務となっている。 これはアブラハムとイシュマエル、マホメットの足跡をたどり、それを象徴した儀式に参加することを意味する。 メッカを訪れる巡礼者にとってここで行われる儀式の一番のメインとなるものは、カーバを取り囲む集団の列に参加して、この神殿の周囲を反時計回りに7周歩いて回ること。 この立方体の建物の一角には黒い石が埋め込まれている。 この石がどこから来たのかは不明だが、伝説では天使によって空からもたらされたとされている。 そして現在の場所に保管されるようになった。 この石がマホメットの時代よりはるかに前から崇拝されていたという説がある。 古代に落ちた隕石だという。 古代の人々にとっては、隕石は神からの啓示と映ったことだろう。 巡礼でカーバの周りを7周歩く際に、できることならこの隕石に口づけするのがよいと考えられている。 しかし今は巡礼者の数が多すぎるので、それが不可能になっている。 そこで現在の慣習としては、石に口づけできないのなら、石の方に向いて敬意を示せばよいということになっている。 この石が天国から落ちた隕石で、代々守られてきたのだと人々は信じている。 隕石の一部はかけて破片となったが、銀で縁取りされているおかげで、破片も全て失われず保存されている。 黒い石は本当に隕石なのだろうか? そうだとすれば、イスラム教の教えに語られるこの黒い石の起源は、どう解釈できるだろう? カーバは、ある種のエネルギーを放出して、人々にエネルギーを与え、精神性ある健康を高めるという説がある。 おそらくこれは、黒い石が隕石で、宇宙から来たことに関係している? イスラム世界において、この黒い石は、あまりにも神聖視されているため、科学的分析にかけつことなど、到底許されることではない。 E.Deniken「大天使ミカエルは、地上に降り立った。 そしてアブラハムに文書に記された何らかの情報を与える。 その情報は石の中に封印された。 その石が現在現在カーバにある天より賜りし石なのだ。」 古代の人々は、神の教えを得るためか、天を読む能力に長けていた。 黒い石を読むこともできたかもしれない。 研究者によれば、カーバの壁面はちょうど、竜骨座のカノープスの上る方向と、月の軌道、夏至と冬至の太陽の方向を向いているという。 しかし古代の人々はどうやってこのような天文学の知識を得たのだろうか。 Jason Martell(Author,Knowledge Apocalypse)「太陽の周りを惑星が回るように、カーバの周りを回巡するようになったのは、当時の惑星の配列を人々が知っていたのかもしれない。 G.Tsoukalos「イスラム教には、翼をもつ天使が、光を放ちながら強風と共に降臨し、大地を震動させたという説話がある。 この説話に語られた出来事は必ずしも神との遭遇だったとは言えず、生身の地球外生命体との遭遇だったとも考えられる。」 天文学の知識をもとにカーバが建てられたのは、古代のイスラム教徒が秘密の知識を持っていたからなのか、そして黒い石を崇める行為には、異星人と遭遇したことを祝うという意味合いもあるのでないか。 1819年4月28日インド西部Ajanta村のすぐ近くで虎狩りをしていたイギリス人将校ジョン・スミスは、精巧な細工が施されたいくつもの石窟寺院を発見した。 寺院が彫られた場所は、ワゴーラ渓谷を見下ろす断崖だった。 建設は紀元前200年と考えられている。 この石窟寺院の建設技術と美術品の数々は、謎の多いインドの歴史に新たな光を投げかけた。 アジャンターはインドに現存する仏教徒の寺院では最古のもの。 建築は紀元前200年に始まり6世紀の終わりごろまで続いたと考えられている。 7世紀以降はインド全体で仏教が衰退し始める。 石窟は置き去りにされ住む者もいなかった。 そして時が経つにつれ、ジャングルの木々が石窟を覆い隠してしまった。 堅い岩から削り出され、すべてが巨大な1つの岩から彫られている。 現在のおいてもこの寺院は神聖とされ、毎年何千人もの仏教徒が訪れる。 献身的な僧によって聖堂として建てられたこの寺院は、数多くの礼拝書を持つ。 そこは、目覚めた人と呼ばれた釈迦の一生や当時の時代を写し取った数々の絵や彫刻が飾られている。 David Efurd,PH.D.(Asst.Prof.of Art History Wofford College)「アジャンターには様々な彫刻が残されているが、その多くが釈迦の姿を彫ったもの。 釈迦の他にも神の世界の者たちを記した仏教説話が題材となっている。 この説話はジャータカと呼ばれる。 この中では現生は前世とつながっているという輪廻転生について書かれていて、釈迦も前世では動物や人として生まれたかもしれないし、神だった可能性もあると説いている。」 2000年以上も前に高さ20m以上もある花崗岩の岸壁をくりぬいて洞窟が造られたことには現代の技術者も舌をまく。 この洞窟は岩を外部から掘り進めて、トンネルを造るようにくりぬいて造られている。 現在も見ることができる石窟内部の空洞は、岩を砕き、ノミで削って瓦礫を運び出すという作業によってできたもの。 この石窟に施された装飾の細部に至るまで、また数々の彫刻のすべてが、この岸壁のひと連なりの岩から造られている。 アジャンターの石窟寺院は、岸壁に沿って綿密に計算して造られたその配置に重要な意味があるという。 当時の人々が天体活動について高度な知識を持っていたことがうかがえるという。 石窟は馬蹄形に浸食された断崖に造られているので、様々な方角を向いている。 あるものは東の方角、つまり太陽が昇る方角を向いている。 これを見ると、古代のインドの人々が宇宙や天体の星々の関係といったことに強い興味を持っていたのではと思える。 この寺院を彫った者が天体に関する知識を持っていた証を2つの洞窟に見ることができる。 どちらにも大きなストゥーパがある。 これは仏教の開祖となった釈迦、ゴータマシッタールダの遺骨、仏舎利を祀っているとされるドーム型の建造物、仏塔のことである。 第19窟と呼ばれる石窟は、冬至の太陽の方角を向いている。 つまり冬至の日に朝の光が石窟正面に造られた大きな窓から差し込み、その光がちょうどストゥーパを照らし出すように造られている。 第26窟でも同じことが起きる。 夏至の太陽の方角を向くように建てられている。 やはり差し込んだ光が石窟内のストゥーパを照らし出す。 若いころの釈迦が中央に置かれたストゥーパが数多くあるが、釈迦が何かを操縦しているようにも見える。 ストゥーパは、釈迦が天に昇るとき、または地上に降りるときに使われたという。 なのでこれは釈迦が宇宙に旅立つ姿を表したものではないかと考えられている。」 George Noory(Radio Host,Coast to Coast AM)「古代人は見たことを表現しなくてはという思いに駆られていたのだろう。 それで洞窟に彫られたレリーフや絵画、彫刻、記念碑といったものに自分たちの見たものを見たままに写し取ったのだ。 なのでそれは古代人が目撃したものと考えらえるが、どうにも奇妙なものが描かれている。」 アジャンターの壁画には、半身半獣の姿を持つ神が描かれている。 なのでこの石窟寺院は宇宙の絶対神のような存在のために造られた特別な地底の寺ではないかと考えられる。 僧侶たちは誰と会っていたのか? 地球外生命体の力を借りていたのかもしれない。 宇宙人が遺伝子操作によって異形の生物を作り出したのか? アジャンターの彫刻と壁画は、現存する古代インド美術の中でも最古のものに分類され、精巧な細工が施されたこの石窟は、宇宙人との接触によってできたのだろうか。 エチオピア、Lalibela、山々が連なるこの風景に隠されたひと塊の岩からなる11の聖堂。 Giorge A.Tsoukalos「ラリベラに近づく間は特に何も見えてはこない。 しかしすぐ近くまで行くと、突然地面が開ける。 そして岩盤から削り出された巨大な素晴らしい聖堂が目に飛び込んでくる。」 Philip Coppens「ラリベラの聖堂群は建築概念が当てはまらない。 聖堂は岩盤を掘り下げて造られている。 この驚くべき工学技術は現代の建築工法を根底から覆してしまうほど。」 ラリベラの生活は、宗教儀式が中心。 毎年約21000人のキリスト教信者が巡礼に訪れる。 Michael Gervers,PH.D.「エチオピアのキリスト教はユダヤ教の流れをくむ古いキリスト教で、現在の西洋諸国のものとは異なる。 キリスト教が西欧諸国に普及したのとほぼ陶磁器にエチオピアにも広まった。」 考古学会では聖堂が12世紀に彫られたと考えているが、聖堂を調査した科学者たちは、この聖堂建築は、科学的には説明がつかないと説明づけた。 聖堂を一目見れば、電動工具が使われていることがすぐわかる。 堅い石を加工する際に、鉄製の専用の道具が必要、現代でも電動のこぎりやグラインダー、電動ノミがなくては不可能。 古代宇宙飛行士説で言うように、ラリベラの聖堂群が現代の技術なしで造られたのなら、一体何者によって造られたのか。 15世紀に記されたとされるラリベラ王に関する説話がある。 それによると天使ガブリエルが現れ、王を連れ去る。 王が連れていかれたのは、神々しいエルサレムの町で、そこで神は王に、ラリベラを第二のエルサレムとするように言う。 王は国に帰り聖堂建設に取り掛かる。 何年物月日が費やされた。 昼夜を徹しての作業を手助けしたのは、天使だったと言われている。 伝説によれば天使が天国から降りてきて、作業員たちが疲れて眠っている夜の間に作業を行って手助けをしたと言われている。 ラリベラの聖堂建設に天使が手を貸した理由は何だったのか? 神や天界の者を称えるためか、あるいは地球外生命体を祀るためだったのだろうか? エチオピアのキリスト教徒にとっての古代の聖典ケブラナガストによれば、金箔で覆われ、十戒を納めたとされる契約の箱は、紀元前9世紀にエルサレムからエチオピアに移されたという。 ソロモン王とシヴァの女王の間には子供がいた。 ネメリク1世と名付けられ、後に初代エチオピア王となる人物。 ネメリクが22歳になった時、父親に会いたいと母であるシヴァの女王にいった。 そこで女王は息子がエルサレムに行けるよう手配する。 ネメリクはエルサレムに長期間滞在するうちに同じ年頃の貴族の男と知り合いになる。 そしてネメリクが国に帰る前の晩、2人は一緒に神殿に忍び込んで契約の箱を持ち去りエチオピアに持ち帰ったと言われている。 契約の箱がラリベラに保管されたことははたしてあったのか、それを示す歴史的根拠は何1つ存在しないが、この地に残る伝説では、一時期ラリベラに安置されていたと語られている。 ラリベラの聖堂には契約の箱がちょうどぴったりとおさまる祭壇がある。 エチオピア正教会の説明によれば、契約の箱はもはやラリベラの聖堂にはなく、320kmほど北上したアクスムの町にあるという。 今もエチオピア人の司祭が警備する特別な聖堂があって、そこには誰も入ることができない。 アクスムの町にはマリアシオン大聖堂と呼ばれる大きな聖堂があり、地下にはトンネルがあり、このトンネルのさらに下に契約の箱が置かれていたという。 それはなぜ長い間封印されていたのだろうか? 古代宇宙飛行士説によれば、契約の箱を人間に与えた強大な宇宙人がいつかこの箱を取り戻しに来るのだという。 そして宇宙人が再来するときには、最初に訪れた場所に再び降り立つと考える者もいる。 レバノン東部Bekaa Valleyには、古代の都市ヘリオポリスの遺跡が残されている。 紀元前4世紀にアレキサンダー大王がゼウスに捧げた神殿である。 だが、ギリシャ時代とローマ時代の遺跡やコリント式円柱の下には、それよりはるかに古い遺跡が横たわっている。 考古学者によれば、およそ9000年前のものだという。 この古代都市バールベックの名は、古代カナンの地で崇拝されたバールに由来する。 バールは生命と空と太陽をつかさどる神、この神はバールベックの地でカナン人とフェニキア人が共に信仰した神だった。 この場所がバール信仰の聖地であったために、後に訪れたギリシャ人とローマ人も同じ場所に神殿を建てたのだろう。 考古学調査が行われた結果、この遺跡の土台を形作る巨石は、何万年も前のものということが明らかになった。 Hanan Charaf(Archaeologist)「考古学資料からは、バールベックは原石器時代、つまり紀元前6000年から8000年、もしくは9000年に存在したと考えられる。」 古代宇宙飛行士説ではさらに、この巨大な石の土台は、かつて宇宙を旅する者たちの、着陸体として使われていたのではないかと考える。 研究者たちがこの説の根拠としてあげるのが、土台に組み込まれた巨大な石。 巨石はそれぞれ800〜1200トンもある大きなものだが、それが完璧に組み合されている。 このような石をどうやって持ってきたのか、どうやって組み立てたのか? 石があまりにも巨大であったため、古代の人々はこの石が未知の力によってここに運ばれてきたと考えた。 古代宇宙飛行士説で言われるように、バールベックが数万年にわたって聖なる地と人々からみなされてきた理由は、異星人が最初に地球に降り立った場所だからではないだろうか。 バールベックが宇宙人の上陸地点であることがシュメール文明のギルガメシュ叙事詩に記されている。 ロケットがバールベックに着陸したり、発進したりするのをギルガメシュが見たと書かれている。 レバノンのバールベックとエルサレムの神殿の丘を比較してみると、石をくみ上げて造られた超大型の土台が驚くほどよく似ている。 どぢらとも宇宙船を上にのせる目的で造られていたのだろうか。 異星人の集団は、地球の最も聖なる土地にほんとうに降り立ったのだろうか。 信仰に篤いものは、すでに真実を知っているのかもしれない。 それとも将来明らかにされるまで、真実は隠されたままなのだろうか。 2014.01.19 Sunday 00:00
ヒッグス粒子
40年にわたる研究の末、宇宙の謎を解く手がかりがついに発見された。
捉えがたく強力なパワーを秘めたヒッグス粒子、それは宇宙におけるすべての存在を作りだした神の粒子なのだろうか? 空間、時間、生命体の誕生、宇宙の謎を解くカギは、ワームホールにある。 私たちはどうやって宇宙に生まれたのだろう? 宇宙はエネルギーの爆発によって始まったという。 そのエネルギーが物質へと姿を変え、天体や私たちの体を形作る素材となった。 宇宙は一瞬で燃え尽きることなく百何十億年も生き続けている。 物理学者たちは以前から、宇宙全体に見えない力の場が広がり、それがエネルギーを物質に変えると予測していた。 そしてついにその力が実在することを証明した。 そこから発生したのが神の粒子と呼ばれるヒッグス粒子、これで宇宙創成の謎がついに解けるのだろうか? もしも神の粒子がなければ、宇宙は一瞬で消え去っていただろうと考えられている。 ダン・フーパーとパトリック・フォックスは、フェルミ国立加速器研究所の理論物理学者。 高速粒子衝突実験で、ヒッグス粒子が見つかるのをずっと待っていた。 エアホッケー台が宇宙だと考えてみよう。 物理学の世界ではビッグバンで生まれたのは、質量のないエネルギーだけの粒子だったと言われている。 初期の宇宙ではすべての粒子が質量を持たず、光の速さで飛び交っていた。 でもそんな状態は長く続かなかった。 ほんの一瞬で何かが変わった。 まるで誰かがレバーを引いたように、大部分の粒子が急に動きを止めた。 ビッグバンの直後に宇宙が冷えはじめヒッグス場が働きだしたと言われている。 影響を得たものは質量のある粒子に、受けなかったものは、質量のないエネルギーだけの粒子になった。 粒子と粒子をぶつけてミクロの世界を探ろうとしてきた研究者たちは、粒子に2つのタイプがあることを知った。 質量を持っていて物質を運ぶフェルミ粒子と、質量を持たずに力を運ぶボーズ粒子だ。 ヒッグス粒子がなければ、どちらも質量を持たなかったはず。 フーパー「ヒッグス場がなければ、みんな力を運ぶ粒子になっただろう。 光子のように質量を持たず光の速さで飛ぶ粒子だ。 質量がないということは、宇宙に原子も、科学現象も生まれないということ。」 宇宙に人類のような複雑な構造体が生れたことも、ヒッグス粒子のおかげ。 でもどうしてヒッグス場が働きだしたのだろう。 フーパーやフォックスなどの物理学者は、ビッグバンの衝撃によってヒッグス場が働きだしたと考えている。 エネルギーの塊を物体のある宇宙に変えた力は、自然に働きだしたと言われている。 でも中にはこれを創造主の計らいとみなす人もいる。 ヒッグス場をより深く知れば、こうした謎が解けるかもしれない。 研究者たちはヒッグス場に働きかけてヒッグス粒子を取り出し、それを調べようとしている。 そのために史上最強の実験マシーン、LHCと呼ばれる大型ハドロン衝突型加速器が建設された。 リンドン・エバンスは、この40年間ジュネーブにあるCERNで、粒子加速器の建設に携わってきた。 作った機械は今も全て現役で、段階的な作業を担っている。 粒子は古い加速器を通って、徐々に加速される。 できる限りのエネルギーを詰め込んだ状態で、1周27kmのLHCに送り込まれる。 「CERNに来たのは1969年、最初に担当したのはディオプラズマトロンイオンゲンとう陽子を発生させる装置。 線形加速器とブースターで加速された陽子は、私が70年代に手掛けたスーパー陽子シンクロトロンを通ってLHCに送られる。」 粒子加速器はここ数十年で進歩した。 より多くのエネルギーで粒子を衝突させて、より高い質量を持った新しい粒子を作れるようになった。 以前は2つの陽子をぶつけて2倍の質量を持った粒子を作るのが精いっぱいだった。 でもヒッグス粒子の質量は、少なくとも陽子の100倍、物理の法則では陽子に高い運動エネルギーを与えると、ぶつけたときの質量よりもはるかの重い粒子が誕生すると予測することができる。 「あの有名なE=mc2という方程式の通りだ。 私たちは高いエネルギーを重い物質に変えているのだ。」 ヒッグス粒子のような質量の高い粒子を作るには、従来よりもはるかに高性能の加速器が必要。 エヴァンスたちは、テクノロジーの限界に挑んだ。 「粒子は周回ごとにエネルギーを高める。 そして最終的にはフルパワーに至る。」 必要なパワーは手に入ったが、力だけでヒッグス粒子の研究はできない。 乾草山から針を探すような仕事が待っている。 ここでの乾草は何兆個もの素粒子。 姿が見えず声が聞こえなくとも、神はいつもそばにいる。 宗教の敬虔な信者はそう考える。 ヒッグス粒子もまた、きわめて捉えがたい存在。 粒子は1兆×10億分の1秒間ほどこの世に現れ、かすかな手がかりを残して消えてしまう。 決して目に見えない粒子をどうやって探すのだろうか? 物理学者ジョー・インカンデラの両親は、息子を硝子作家にしたいと願っていた。 「大好きなガラス作家の1人が科学者だったので私も大学に行って科学を学ぶことにした。 そこで物理の授業を履修したとき衝撃を受けた。」 インカンデラは、LHCにおける主要な実験のリーダー。 世界中から来た物理学者と共に1つの謎を探求している。 全ての存在がなぜ存在するのかを突き止めようとしているのだ。 LHCでの実験がその問いに答えてくれる。 LHCでの衝突実験は、ビッグバン直後のエネルギー状態を再現する。 研究者はそこからヒッグス場が働きだした瞬間についての情報を得ようとしている。 ヒッグス場の力は宇宙に広がり、すべての物質が作り出された。 その力を運ぶのがヒッグス粒子、これを検知する唯一の方法はヒッグス場にエネルギーの乱れを作ること。 「ヒッグス粒子はある意味宇宙の状態や粒子の姿の現し方などを決定づけている存在。 LHCなどの加速器を使って高エネルギーの陽子と陽子をぶつければ、ヒッグス粒子を飛び出させることができる。」 LHCで衝突する陽子の中に、クオークやグルーオンと呼ばれる粒子がつまっている。 衝突すると数千個の新しい粒子が飛び出すのだ。 そのあとを調べるのは、ガラスの破片をふるいにかけるようなもの。 骨の折れる作業だ。 「エネルギーや粒子やその破片が散らばっている中から特定のパターンを探す。 ヒッグス粒子の崩壊パターンには非常に厳密な条件がある。」 神の粒子はそう簡単に捕まらない。 見つかる前に消えてしまうのだ。 「一瞬で崩壊するため粒子の測定はできない。 崩壊によって生まれたものから推測するのだ。」 ヒッグス粒子を検出するには、陽子が衝突した後を調べて、元の粒子を推し量るしかない。 床に散らばったガラスの破片をすべて分析し、軌道を計算すれば、衝突の状況を再構成できるのと同じこと。 「衝突の大部分は凡庸なパターンを描くので、それらは分析の対象から外される。 つまり圧倒的多数が排除されるのだ。」 彼らが調べたいのは、陽子と陽子の中身が直線状に並んだケース。 陽子の中のクオークが相手のクオークと正面衝突すると、ほぼすべてのエネルギーが1カ所に集中する。 この強い衝撃によって、ヒッグス場からヒッグス粒子が飛び出す。 でもこうした衝突はめったに起きない。 LHCが稼働してから、陽子をぶつけた回数は、およそ1000兆回。 1000兆の砂粒は、競泳用プール1つ分、そのうちヒッグス粒子が発生しうる衝突は数百回、砂粒に例えれば指先に乗るくらいの量。 気の遠くなるような仕事だが、インカンデラの数千人の物理学者たちはこれをやりとげてしまった。 2012年7月4日、インカンデラは研究チームのもたらした画期的な成果を発表する。 予測されたヒッグス粒子と同じ質量125〜126ギガ電子ボルト付近に粒子を検出したという。 アインシュタインによるE=mc2という方程式以来の大発見と言われている。 存在の謎を解くカギとなる粒子が見つかった。 宇宙を完璧に理解できる日も近いのだろうか。 ダン・フーパーはそう簡単ではないという。 ヒッグス粒子は全部で5種類あるかもしれないのだ。 ヒッグス粒子は宇宙にある物質の期限を解き明かすカギになると考えられている。 しかし近年宇宙の大部分はダークマターという見えない粒子でできていることが分かった。 宇宙におけるダークマターの量は普通の物質の5倍、ヒッグス粒子の存在を予測する今の理論では、ダークマターの存在を説明できない。 何かを見落としているのだろうか。 半世紀にわたる研究の結果素粒子物理学の標準のモデルと言われる1つの理論が構築された。 物質を構成する素粒子は12種類、クオークとレプトンからなるフェルミ粒子。 一方電気や磁気などの力を媒介するのはボーズ粒子のうち4種類。 そしてもう1つの特別なボーズ粒子がヒッグス粒子。 しかしこのモデルではダークマターの説明ができない。 他にも重大な不備があるのだ。 フーパー「標準モデルが抱える大きな課題の1つは階層性問題。 ヒッグス粒子の質量は126ギガ電子ボルト前後と言われる。 でも標準モデルをそのまま当てはめた場合、質量はもっと大きくなるはず。 でも何かの理由で軽くなってしまった。」 ヒッグス粒子の問題は、重さ。 ヒッグス粒子はほかの粒子に質量を与えると相手からも質量を受け取る。 それを計算するとヒッグス粒子の質量は本来の数10億倍になると考えられる。 標準モデルを成立させるには、計算上の矛盾をごまかす必要がある。 フーパーはヒッグス粒子やダークマターの問題を解決する方法があるという。 それは標準モデルに修正を加えた超対称性理論。 超対称性理論では、宇宙の粒子はまだ半分しか見つかっていないと考える。 それぞれにパートナーの超対称性粒子があるはずで、そのうちの1つがダークマターだという。 「超対称性粒子の中で、最も軽いものがダークマターの最有力候補だと言われている。 この粒子は初期の宇宙で大量に作られ、大部分が破壊された。 でもわずかに残った粒子がダークマターになったと考えらえる。」 超対称性理論が証明されれば、ヒッグス粒子の質量問題も解決するという。 「この理論が正しければ、ヒッグス粒子は電子から質量を渡されても、そのパートナーであるセレクトロンに質量を取られてしまう。 結果的に粒子の質量が増えることはない。」 標準モデルで解決できなかったヒッグス粒子の軽さも、ダークマターの正体も、これで説明がつく。 しかし1つだけ問題が・・・超対称性理論が正しければ、ヒッグス粒子は前部で5種類あるはず。 ヒッグス粒子は宇宙全体の物質に質量を与えた。 ヒッグス粒子だけの手柄ではないとしたらどうだろう。 神の粒子以外に立役者はいたのかもしれない。 ジョン・エルスはCERNの理論物理学者、彼のアイディアはしばしば実験によって間違いだと証明される。 でもそれでいいとエルスはいう。 アルバート・デルックは実験物理学者、アイディアの間違いを証明するため、実験を続けてきた。 デルクとエルスの2人はヒッグス粒子の探索に初期のころから携わっている。 そもそもヒッグス粒子はある謎の手掛かりと考えられていた。 極端に重たいW粒子とZ粒子の謎だ。 他のボーズ粒子にそんな質量はない。 物理学者たちはボーズ粒子の中で、W粒子とZ粒子だけが目に見えない力を持つヒッグス場と反応し、質量を得たのだと考えた。 その後標準モデルによってヒッグス場には宇宙全体に質量をもたらすという大きな役割が与えられた。 デルクたちは、たった1種類の粒子がすべてに質量を与えたとは限らないと考えている。 「標準モデルをふまえた数多くの理論が、ヒッグス粒子には複数の種類があると予測している。」 2人は標準モデルに修正を加えながら、新たな理論を構築することを目指している。 ヒッグス粒子の正体について、斬新な予測をたてようとしているのだ。 予測される粒子のバリエーションは、アイスクリームの種類にも例えられる。 LHCが見つけたのはお馴染みのバニラ味、思った通りの味がする。 でもチョコチップミントのように刺激的な味が見つかれば、もっとスリリングな展開がまっているだろう。 2種類のヒッグス粒子がそれぞれ違う仕事をしている可能性もある。 「W粒子やZ粒子にかかわるヒッグス粒子と物質を運ぶ粒子にかかわるヒッグス粒子が、役割分担しているのかもしれない。」 例えば、エリスが力を運ぶZ粒子で、デルックが物資を運ぶクオークだとしよう。 エルスは無類のコーヒー好きで、デルックはチョコレートマニア、カフェが1つのヒッグス場、チョコレート店がもう1つのヒッグス場と考える。 エリスはカフェの前で速度を落とし、質量を得るだろう。 「私という粒子はそこを通り過ぎて、もう1つのヒッグス場に反応する。 このチョコレート店で質量を得るのだ。」 標準モデルは2つのヒッグス場を想定しない。 だからこそ2人はこのアイディアを押すのだ。 複数のヒッグス粒子が発見されるとしたら、それは標準モデルを超える物理の証明になる。 今まで観測された崩壊パターンに見られるいくつかの異常は、ヒッグス粒子に別の種類があることの兆しかもしれない。 観測データの分析はまだ終わっていないのだ。 古代ギリシャに生きたデモクリトスという哲学者は、物質を構成する最も小さいブロックのことを原子と名付けた。 2000年も生き続けたこの概念は、核の時代を向かえて新たな事実に直面する。 最小単位と思われてきた原子はクオークや電子などの粒子からできていたのだ。 もしヒッグス粒子を構成する部品があるとしたら、それらによって物質がなぜどうように現れたのかを突き止められるかもしれない。 フランチェスコ・サニーノは、オーデンセにある南デンマーク大学の理論物理学者。 オーデンセは創造の翼を羽ばたかせるにはぴったりの場所。 有名な童話作家ハンス・クリスチャン・アンデルセンもこの町で生まれた。 私たちが思い描く宇宙の基本的な構成要素は、この街並みのように完璧とは言えない。 標準モデルはヒッグス粒子を素粒子とみなしているが、サニーノはその先を見ている。 ヒッグス粒子の中身を探ろうとしているのだ。 「標準モデルでは、ヒッグス粒子を分割することはできない。 この壁は白く見えるが、実際は3色の光を同時にあてて、白く見せているだけ。 このように手をかざすと、3種類の色が分かれて見える。 緑と赤と青で白を作っている。」 白い光のようにヒッグス粒子も別の粒子からできているのではないかとサニーノは考える。 全ての物質の根源ではないということだ。 ヒッグス粒子の成り立ちに関する仮説は、研究者の間でテクニカラー理論と呼ばれている。 サニーノはヒッグス粒子を新しい視点から見ている。 例えばこれらのブロックが通常のクオークで、白いボードがクオークをつなげるグルーオンだとしよう。 陽子を作るにはクオークが3つ、テクニカラー理論によるとヒッグス粒子の構造も同じ。 ただしテクニクオークと呼ばれる特別なクオークが使われる。 「テクニクオークは特殊な力で互いを結び付けている。 そのエネルギーがヒッグス粒子に質量を与えているのだ。」 通常のクオークは組み合わせによって別の粒子を作る。 ある組み合わせでは陽子に、またある組み合わせでは中性子になる。 テクニクオークも同じ、ある組み合わせではヒッグス粒子になり、また別の組み合わせでは研究者たちが探し回っているダークマターの粒子になる。 標準モデルがダークマターの存在を説明できないのは、ダークマターがヒッグス粒子の別の姿だからなのかもしれない。 これらの粒子は特別な力で結び付けられているのだ。 テクニクオークは様々な組み合わせによって新しい粒子を作る。 2015年にエネルギーを引き上げて実験を再開するLHCでこうした粒子が見つかるかもしれない。 サニーノはヒッグス粒子の解析に期待している。 十分なパワーがあれば粒子を分解できるかもしれないからだ。 夜空の高みから私たちを見下ろしている月は、不思議な力で浮かんでいるように見える。 重力のせいだと分かっていても神秘的。 もし重力や神の粒子よりもはるかに謎めいた力がこの宇宙に広がるすべての物質を支えているのだとしたらどうだろう? ハーバード大学のハワード・ジョージャイは、人生の大部分を素粒子物理学に捧げてきた。 でも近年キャリアを変更し、今は非粒子物理学者。 標準モデルから新しい理論を構築しようと方程式を構築していたジョージャイは、不可解な計算結果に気づいた。 物理学の数式では、光子のように質量のない粒子は負の整数で表される。 ジョージャイの計算でも負の数が現れた。 でもそれは分数だったのだ。 「質量のなり粒子が2と1/2個現れるという計算結果になった。」 1/2という数字に異変を感じたジョージャイはそれらを非粒子と名付けた。 計算を続け、非粒子をより深く知ったジョージャイは、分数が現れた理由に気づいた。 そこにはフラクタル次元がかかわっていた。 「樹木は1次元ではない。成長しながら枝分かれして、それがまた枝分かれして、それがまた枝分かれする。 同じことが無限に繰り返される。 これがフラクタル。」 非粒子は木の枝と似たようなもの、細部を見ても全体を見ても同じパターンが現れる。 でも普通の粒子は木の葉のようなもの、近づけばそれだけ大きく見える。 この宇宙で質量を持つ粒子はすべてヒッグス粒子のおかげで存在していると言われる。 でも本当は既存の物理法則が通用しない非粒子の世界に影響を受けているのかもしれない。 つまりこの宇宙で質量を持ったすべての粒子は木の葉のようなもので、それを支える目に見えない非粒子の枝は、隠れた土台の役割を果たしていると考えられるのだ。 今のところLHCに非粒子の気配はないようだが、ジョージャイは、非粒子物理学を諦めていない。 ヒッグス粒子は神の粒子なのだろうか?それとも何か大きな秘密があるのだろうか。 私たちの存在は謎に満ちている。 科学者たちは今も発見されたヒッグス粒子の正体を探るために研究を進めている。 2013.11.23 Saturday 00:00
神の数式2 宇宙はなぜ生まれたのか
はるか頂に浮かぶ美しい物体、この宇宙のすべてを表す神の設計図だと言ったら、一体何の話が始まるのかと思うかもしれない。
ここは天才物理学者たちの世界、宇宙はどこから来たのかという人類究極の謎に迫る物語の始まり。 去年ドイツで開かれた理論物理学の学会、世界中から天才たちが集まった。 理論物理学者というのは、その頭脳と数式だけで、この世の森羅万象を解き明かそうとする人たち。 今挑んでいるのは、史上最大の難問。 この宇宙はどこから来たのか・・・ ちょっと気が遠くなるような難問だが、実はその答のある場所も分かっているという。 スティーブン・ホーキング博士「そこは私たちの時空の概念が通用しない場所、その謎を解き明かせば宇宙の始まりを解明できるのだ。」 その場所とは、巨大な重力ですべてを飲み込むブラックホール、光さえも出てこられないその奥底を、もし数式で書き表すことができれば、宇宙のすべてを読み解けるというのだ。 それはいわば神の数式、でも一体どうやってそんな数式を求めるというのだろうか。 実は私たち人類は、すでに神の数式に最も近いと言われる数式を手にしている。 その1つが標準理論、ミクロの素粒子を完璧に表した数式。 そしてもう1つ、広大な宇宙を支配する重力の数式、一般相対性理論。 この2つを進化させ、1つに束ねることができれば、それこそが神の数式。 アインシュタイン以来100年にわたる物理学者たちの見果てぬ夢だった。 しかし神の数式への道は困難の連続だった。 数式は常識をはるかに超えた世界を突きつけた。 縦、横、高さと時間、4つの次元からなるはずの私たちの世界、なんと異次元が存在するという。 しかもこの世界がいつ崩壊してもおかしくないという数式の予言まで飛び出した。 天才たちの中には、精神に異常をきたす人さえ現れた。 今世界中で数式の予言を検証しようという動きが加速している。 アメリカの巨大国家プロジェクト、ブラックホールの重力を直接捉えようとしている。 数式は私たちがまだ見ぬ世界をいち早く示してくれる。 宇宙はどこから来たのか、スーパーコンピューターも解き明かせない究極の謎。 そこに純粋な思考だけで挑む物理学者たち・・・ アメリカ、コロラド州の山中に、物理学者たちの聖地ともいえる場所がある。 数々の大発見の舞台となってきたアスペン物理学センター。 その50周年を祝う記念の場に1人の老物理学者が招かれた。 ジョン・シュワルツ71歳、今や神の数式に最も近付いたとされる。 シュワルツが生み出した新たな数式、超弦理論、または超ひも理論という名前で聞いたことがあるかもしれない。 ごくごく簡単に言うと、これまでの常識ではミクロの点だとされてきた素粒子が、震える弦のような存在だというのだ。 神の数式を追い求めるシュワルツ、寝ても覚めてもひたすら数式を考え続けている。 コンピュータは、使わない。 コンピューターは、人間がプログラムした数式に基づいて動いている。 だからそもそも新しい数式を見つけることはできない。 研究の合間を縫って時折、山登りをしているシュワルツ、ロサンゼルス郊外の山の上に、神の数式を追い求めるきっかけとなった場所がある。 アインシュタインも訪れた天文台で、すごい発見があった。 137億年前、ビッグバンの爆発である1点から始まり膨張をしているこの宇宙。 そしてその事実はすでに、ある偉大な数式によって予言されていたという。 20世紀が生んだ物理学の巨人、アインシュタイン。 その名を歴史に刻んだ数式が、一般相対性理論だった。 巨大コンピューターもない時代に、遠い宇宙の動きを正確に表すことに成功。 宇宙誕生の謎を解き明かすと期待された。 一般相対性理論の数式↓ 数式尾意味は意外と単純。 式の左側には空間の歪み、右側には物の重さやエネルギーを表す記号が書かれている。 つまり重さやエネルギーがあると空間が歪む、というシンプルな式なのだ。 重力というと、星と星が引き合って回っていると考えるだろう。 しかしアインシュタインの理論では、星の重さによって、周りの時空が歪み、その歪みに沿ってほかの星が動いている。 その星の歪みは、星が小さくて重いほど角度が急になり、強い力が働く。 アインシュタインは、この数式を使い大胆に予言した。 巨大な重力が存在するところでは、光さえも曲がる。 つまり数式が正しければ、大きな星の裏側に隠れて見えないはずの星の光が、重力によって曲げられ、見えるはずだというのだ。 そして予言は見事に的中した。 皆既日食、太陽の周囲に見える星々は、実際よりもずれて見える。 太陽の巨大な重力によって、遠くの星の光が曲げられたのだ。 宇宙がどこから来たのか、人類究極の謎を解き明かすと期待された一般相対性理論、しかし思わぬ落とし穴が見つかった。 指摘したのはスティーブン・ホーキング博士、車椅子の天才。 全身の神経が麻痺する難病と闘いながら、その頭脳1つで宇宙誕生の謎に挑んできた。 一般相対性理論が神の数式ではないということに気付いたのは、ある宇宙の研究がきっかけだった。 巨大な星が爆発した後に生まれ、強い重力ですべてを飲み込むブラックホール、そのもっとも深い部分こそがアインシュタインも見逃した盲点だった。 アインシュタインの理論では、小さくて重いものほど空間の歪みが大きくなった。 ではとてつもなく重く小さな点があったとしたらどうだろう。 空間はある1点に向かって無限に沈みこんでゆく。 これが理論上のブラックホール。 ブラックホールの数式↓ だいたいの意味をくみ取るとこんな感じ。 rはブラックホールの奥底との距離、奥底に近づくほど、D(空間の歪み)が大きくなる。 ところがブラックホールの奥底では、距離Rが0、つまり分母が0になってしまう。 これは無限大を意味する。 無限大、それは数式上計算不能ということを意味する。 つまり一般相対性理論の数式は、ブラックホールの奥底では通用しないということ。 宇宙誕生の謎を解き明かすと期待された一般相対性理論だが、ブラックホールの底だけは、どうしても説明できなかった。 そもそも、宇宙の始まりとブラックホールの底がどう関係してるというのか? これまで数式が解き明かしてきたのは、実はビッグバンから10の-43乗秒たった後からの世界。 137億年前に生まれたとされる宇宙、誕生のまさにその瞬間だけが、人類に残された最後の謎。 そしてビッグバンの瞬間と数学上全く同じとされるのが、ブラックホールの底。 謎を解く唯一の鍵。 宇宙のすべてを記した神の設計図、物理学者たちがそこにたどりつくためには、無限大の問題を解消しなければならない。 そこで、物理学者たちに大胆な発想が生まれる。 一般相対性理論に、もう1つの数式を組み合わせてはどうか。 それは素粒子の数式。この数式、すさまじく正確で世界を形作る素粒子などのミクロの物質を完璧に書き表している。 なぜ2つの数式を合わせるのかというと、ブラックホールの底というのは、極限まで圧縮された超ミクロの点。 だからミクロの素粒子の数式を合わせることで、無限大の問題を解消し、宇宙誕生の謎を解き明かすことができると考えたのだ。 一般相対性理論と素粒子の数式、世界で初めて2つを合わせて神の数式を求めようとした物理学者がロシアにいた。 普段は人もほとんど訪れない郊外の森、そこに2つの銃弾の跡が刻まれた墓がある。 旧ソビエト連邦時代に非業の死を遂げた天才マトベイ・ブロンスタインの墓。 ブロンスタインの娘が存命している。 ブロンスタインは31歳で亡くなったが、そのことを半世紀以上も知らされずにいたという。 神の数式を求めるブロンスタインに、一体何があったというのか。 貧しい家に生まれ、独学で物理を勉強したブロンスタイン、当時の物理学者にとっても難解だった一般相対性理論と素粒子の数式を、わずか19歳で完璧に理解していたという。 ブロンスタインが挑もうとしたブラックホール、しかしその奥底を計算する前に、まず証明しなければならないことがあった。 それは身の回りのミクロの空間で、2つの数式がうまく融合するかということ。 ブロンスタインは、空間を素粒子よりもはるかに小さい超ミクロのサイズに区切って、そこに働く重力を計算した。 ブロンスタインがこの時使った2つの数式を最新の式に置き換える。 最初の部分はミクロの世界の計算ということを示している。 ( )の中はミクロの物質やそこに働く力を示している。 ブロンスタインは、この式に一般相対性理論をそろえて組み込んだのだ。 すると意外な結果が現れた。 分母に0が現れた。 計算不能を意味するあの無限大・・・ 正しい2つの数式を合わせたはずなのに、なぜこんな結果が生れるのか。 ブロンスタインは、さらに精度を高めて計算をすすめたが、最終的には無限大は、無限大個発生した。 その結果が意味するのは、つまり私たちの身の回りの空間は、実はミクロに見ると不安定で、無限大を生み出すブラックホールのようなものが満ち溢れているのではないか・・・ そのころソビエトはスターリンの時代となり、おそろしい事態が起きていた。 100万ともいわれる知識人や一般人に対する大弾圧だ。 自由な発想を持つ科学者にも、その矛先が向けられた。 しかしブロンスタインはそうした事態を気にもとめず無限大の問題に頭を悩ませ続けていた。 なぜ無限大が発生するのか、もしそれが正しいとすれば、この空間もいつか崩壊してしまうかもしれない。 そして1937年ブロンスタインは秘密警察に逮捕され、すぐに銃殺され、森の墓に埋められた。 宇宙の始まりを論じ、神の数式を求める行為が、危険な思想ととらえられたのではないか、今ではそう考えられている。 ブロンスタイン亡き後、半世紀近くにわたって神の数式への挑戦は続いた。 ノーベル賞を受賞した物理学者たちが無限大の問題を解消し、宇宙の始まりを解き明かそうとしたのだ。 しかしどんな天才もその壁を超えることはできなかった。 天才たちの前に立ちはだかった大きな落とし穴。 無限大の謎に挑むことは、人生を棒にふることと同じだ、そういってほとんどの物理学者が神の数式を目指すことを諦めた。 神の数式への挑戦が大きな転機を迎えたのは、1974年、なんと無限大の謎を解く数式を見つけたとうたった論文が登場した。『非ハドロン粒子の相対モデル』 プリンストンで知り合った全く無名の2人の若き研究者、論文を書いたジョン・シュワルツとフランスから来たジョエル・シャーク。 2人は当時誰も見向きもしなかった時代遅れの分野を研究していた。 それは弦理論という。 たとえば、物質の最小単位である素粒子、弦理論では粒子は点ではない。 様々な形をした震える弦のようなものだという。 この一風変わったアイディアは、見捨てられた古い物理学の数式を基にしていた。 そうした中、2人は弦理論を進化させ、超弦理論を提唱。 その数式が、一般相対性理論と素粒子の数式が解けなかった無限大の問題を解消することになる。 2人はどのようにして無限大の問題を解いたのか。 一般相対性理論と素粒子の数式を合わせた式↓ 四角の部分はすべての粒子が点であることを意味する。 ミクロの世界で飛び交う粒子同士の間の力は、極々簡単に表すと、粒子の間の距離1/r2と表すことができる。 粒子が点だとすると、互いにぶつかった瞬間距離rは0になる。 分母に0が現れた。 つまり無限大が現れるのは、粒子同士の衝突の瞬間だったのだ。 でも、超弦理論では、粒子を点ではなく、輪ゴムのような形の弦だと考えていた。 輪ゴムのような形だとすれば、広がりがある。 なので粒子同士がぶつかっても、その輪の大きさ以下にはつぶれない。 衝突しても、距離rは0にはならず、無限大がでなかったのだ。 超弦理論は、半世紀近く物理学者たちを悩ませてきた無限大の問題を解消した。 そして宇宙誕生の謎に迫る可能性を開いた。 しかし物理学の主流派の学者たちは、なぜか超弦理論に目もくれなかった。 超弦理論はいまいち信用できない。 なぜならあの一般相対性理論と素粒子の数式とはかけ離れて見えるという。 それだけではない。超弦理論の数式を成り立たせる条件が、現実ではありえないものだったのだ。 どういうことなのか? 私たちの世界は、縦横高さの3次元に、時間を加えた四次元の世界だと考えられてきた。 しかし超弦理論の数式が成り立つのは、この世界が10次元の時だけだった。 10次元・・・異次元の存在に、多くの物理学者たちも耳を疑った。 超弦理論は物理学とも呼べない、こんな研究をする奴は締め出してしまえ、という声まで飛び交う。 シュワルツはノーベル賞を受賞した物理学の権威からも、たびたび皮肉を言われたという。 超弦理論が認められない中、重い糖尿病を患い、故郷フランスへ戻ったシャーク、なぜ10次元なのか、見えない異次元はいったいどこにあるのか・・・ シャークは何かにとりつかれたように異次元の研究に没頭していったという。 町中を異次元を求めてさまようシャーク、次第に仏教の世界に傾倒し、瞑想にふけるようになっていった。 そしてシャークは、突然34歳の短い生涯を閉じる。 部屋には、糖尿病の治療薬を大量に注射した跡が残されていた。 シャークの意志をついで、シュワルツは研究を続けた。 他の物理学者たちが華々しい業績をあげるのを横目に見ながら、ひたすら超弦理論にこだわり続けた。 最初の論文の発表から10年後、超弦理論に大きな転機が訪れた。 海を隔てたイギリスから新たな才能が研究に加わった。 マイケル・グリーン、ケンブリッジ大学で、あのニュートンやホーキングも務めた、名誉あるルーカス教授職の継承者だ。 シュワルツとグリーンの2人は、異次元の問題について、こんな風に考えることにした。 そもそもこの世が四次元でなければならないという証明はない。 数式が10次元と示しているのだから、自分たちの常識の方が間違っているのかもしれない。 2人は改めて超弦理論の数式が神の数式にふさわしいかどうか確かめることにした。 それは超弦理論の数式に、あの偉大な一般相対性理論と素粒子の数式がふくまれているかどうかを検証することだった。 複雑な計算を進めると、全く無関係に見える2つの数式が導かれ始めた。 そして数式に矛盾が生じていないか、最後の計算をしている時のことだった。 496という数字が数式に次々に現れた。 496、それは完全数の1つで、古代ギリシャ時代、天地の創造と関係があるとして崇められたいた数字。 その数が一斉に現れたということは、数式の中で、広大な宇宙とミクロの世界が美しく調和しているということを意味していた。 そして496という数字が表れたと同時に、超弦理論から一般相対性理論と素粒子の数式が矛盾なく導き出された。 シュワルツとグリーンの計算の結果は瞬く間に世界中に伝わった。 THE THEORY OF EVERYTHING 万物の理論、宇宙がどこから来たのかという謎に答える神の数式ではないのか、世界中の物理学者たちが雪崩を追って超弦理論の研究を始めた。 超弦理論は、物理学の最前線に躍り出た。 ところで多くの物理学者が最終的にその存在を受け入れた異次元、でも一体この世界のどこに異次元が存在するというのか。 次元というのは、動くことができる座標の数を指す。 例えばこの綱渡りの女性にとって綱は1次元、つまり線の世界。 彼女は前か後ろにしか進めない。 でもこの綱の上をはうテントウムシはずっと小さいので、ロープの上を線ではなく、2次元の面に見えるはず。 つまりより小さい世界に視点を移すことで、隠れていた次元が見えてくるということ。 では超弦理論が示した10次元の世界は一体どこに隠れているのか。 それは小さな小さなミクロの世界、原子の1兆分の1の、そのまた1兆分の1、超ミクロの世界。 そこに奇妙な形で丸まっているもの、これが物理学者が考える異次元の一部。 異次元は、超ミクロの世界に潜んでいるため、普段私たちの目からは見ることができないのだ。 あの偉大な2つの数式、一般相対性理論と素粒子の数式を含む、新たな超弦理論、この数式は、はたして宇宙のすべてを読み解く神の数式なのだろうか。 しかしその行く手には、まだ何やら不穏な空気が立ち込めていた。 ここで再び登場するのが車椅子の天才ホーキング博士、物理学者たちにブラックホールの無限大の謎を突きつけたあの人。 果たして超弦理論は神の数式の資格があるのか。 ホーキングが新たにつきつけたのはブラックホールの底に潜む別の難問だった。 それはブラックホールの奥底で発生している謎の熱にまつわる問題。 ブラックホールの奥底は極限まで凝縮されたミクロの1点、そこでは何1つ身動きがとれないはず。 素粒子さえ全く動けないのに、どうやって熱が発生するのか。 これはホーキングパラドックスと呼ばれ、物理学者たちの前に立ちはだかった難問だった。 ホーキングパラドックスを解くことができない超弦理論、ホーキングはブラックホールの熱を解くための数式、つまり神の数式は存在しないとまで主張した。 そうした中、超弦理論に若き救世主が現れる。 ジョセフ・ポルチンスキー、超弦理論をさらに進化させることに成功した。 超弦理論といえば、小さな震える弦のような粒子が飛び交うミクロの世界。 ポルチンスキーは学会の合間に立ち寄ったコインランドリーで1つのアイディアを思いつく。 洋服は、細い糸がたくさん集まってできている。 ミクロの世界でも粒子である弦は1つではなく、まとまっているのではないか。 たくさんの弦が集まると、興味深い現象が起きる。 もっと弦を加えてみると・・・ これらは結合し、重要な性質を持つものになる。 数式から導き出されたのは、弦が1つ1つではなく、膨大な数が集まって膜のように動いている現象だった。 ポルチンスキーの発見を受けて世界中でブラックホールの謎の熱について計算が進められた。 そして膜の数式を新たに加えたことで、超弦理論はブラックホールの熱を計算することに成功した。 それはこんなイメージ。 ブラックホールの奥底で凝縮し、動かないと考えられていた粒子。 しかしブラックホールのそこにも異次元が存在した。 その異次元で、膜状に集まった弦が動き回り熱が発生していたのだ。 ブラックホールの謎の熱を計算する数式は存在しないと主張したホーキング、自らもその問題の検証を続けた。 そして2004年、ホーキングは、自ら会見を開き誤りを認めた。 ホーキングパラドックスを乗り越え、さらに進化した超弦理論、この数式で、人類はいよいよ宇宙誕生の謎を解くことができるのか・・・ 無限大、異次元、ブラックホール、神の数式を求める物理学者たちの遥かな道のり。 宇宙最初の姿が垣間見えてきた。 今、超弦理論の予言を検証しようという動きが世界中に広まっている。 ヒッグス粒子を発見した世界最大の素粒子実験施設CERN、次なるターゲットの1つが異次元の発見。 巨大な加速器を使ってミクロの世界に隠れている異次元をあぶりそうとしている。 そして神の数式を求める物理学者たちの闘いの舞台となったブラックホール、世界各国がその入り口を直接観測しようとしのぎを削っている。 注目を集め続ける超弦理論、その生みの親シュワルツ、見捨てられていたアイディアから、新たな理論を構築し、神の数式に近づけてきた。 71歳のシュワルツ、命あるうちに宇宙誕生の秘密にはたどりつけないかもしれない、そう思い始めている。 私たちの宇宙はどこから来たのか、最新の数式が描く宇宙は11次元、しかも10の500乗個という想像を超える数の宇宙が存在しうるという新たな難問も現れている。 宇宙の神秘を紐解く神の数式、それは人類のあくなき探求の証なのだ。 2013.10.18 Friday 00:00
神の数式1 この世は何からできているのか
1本の鉛筆を、尖った方を下にして机にたててみよう。 もし完璧に垂直にたてることができれば、バランスがとれて倒れないようにできるかもしれない。 ど どんなに真っ直ぐたてても鉛筆は必ず倒れてしまう。 なんどやっても、どれだけ完璧に垂直にしたとしても・・・ そんなの当り前じゃないかと思うかもしれない。 しかし鉛筆が倒れる何でもない現象が、ある科学的大発見の大本になっている。 スイスにあるヨーロッパ合同原子核研究機構CERN、2012年7月、ここで1つの素粒子が発見された。 ヒッグス粒子、人類が探し求めてきた最後の素粒子の発見として最先端科学になじみがない人まで湧いた、世紀の大発見と言われた。 鉛筆が倒れる現象の重要さに、世界で初めて気づいたのは、2008年ノーベル賞物理学者・南部陽一郎92歳、物理学の最終目標と言われるある研究を長年続けてきた1人。 この世にもし創造主がいるとしたら、一体どんな設計図に基づいて宇宙を作り上げたのか。 アインシュタイン以来、物理学者達は、いわば神の設計図を発見し、それを数学の言葉=数式で表したいと血眼になってきた。 神の数式の探求だ。 これまでも物理学者たちは、いろいろな現象を数式で表すことに、一様の成功は収めてきた。 例えばオーロラが輝く理由は、こんな数式で表される↓ 大気の動きならこんな数式↓ dv/dt=ρK-grand p+1/3η grand(div ∨)+η▽2v 電気が係る現象については、この数式がある程度うまくいくことが分かっている。 けれども、もしあらゆる現象を寸分の狂いもなく、しかもたった1つの数式で説明することができたなら、それこそが創造主の設計図、つまり神の数式と言えるのではないか。 物理学者はその数式を求める野望に取りつかれているのだ。 すべての物理学者は、いわゆる万物の理論を見つけることを夢見ている。 自然界のありとあらゆるもの、素粒子の世界から大宇宙までを説明できる数式だ。 この世は何からできているのか、神の数式を探し求めるための血のにじむような道のり・・・ それはいわば神の名にふさわしい完璧な美しい数式を求めようとする、苦難の連続だった。 大発見で打ち破った困難、その一方で完璧な美しさを追い求めるあまり、この世が数式上は存在してはならないという矛盾した結論に苦悩する年月も続く。 そんな時鉛筆のアイディアを引っ提げて登場したのが南部陽一郎、完璧に垂直にたてた鉛筆でも、必ず倒れる運命にあるように、完璧な美しさは、現実世界では崩れる運命にあることを示し、神の数式への扉を開くことになる。 この世は何からできているのか〜天才たちの100年の苦闘〜 これからお話するのは、物理学の中でも素粒子物理学と呼ばれる世界の人たちのお話。 彼らはこの世のすべての出来事が数式で書けるに違いないと疑わないちょっと変わった人たち。 頭の中は、とにかく数式でいつもいっぱい。 私たちとは考え方がすっかり異なる物理学者たちは、どんな方法で万物の理論に肉薄しようとしてきたのか? 実は、物理学者たちはこの100年間で神の数式にかなり近づいたという。 ヒッグス粒子を発見したCERNの裏庭に1つの数式が刻まれている。 物理学者たちが神の数式に最も近いと考える最先端の数式。 この式を少し詳しく書くと、こんな感じ↓ 1行目はこの世界を作り上げている物質の最小単位、つまり素粒子がどんな性質を持っているのかを表す数式なのだという。 その素粒子は4種類↓ これらの素粒子はどこにあるのか。 ミクロの世界に存在している。 まず原子の中をくるくる回っている電子。(e) そして原子の中心の原子核を作り上げているのがクォークと名付けられた2種類の素粒子。(u d) 最後に原子核から時折飛び出してくることがある気まぐれな素粒子がニュートリノ。 これらの素粒子を原子の中にまとめたり、動かしているものの正体は? それを表しているのがこの3行↓ 電子を原子核に引き寄せているのが電磁気力、2種類のクォークをまとめ原子核を作り上げているのが、強い核力と呼ばれる力。 ニュートリノを原子核から飛び出させていた原因は弱い核力と呼ばれる力。 物理学者たちは先ほどの4つの素粒子と、この3つの力が完全に理解できれば、オーロラや台風だけでなく、この世のすべてが説明できると信じているのだ。 そして最後の2行は、ヒッグス粒子の存在を示した部分。 物理学者はこの神の数式に最も近い数式にどうやってたどりついたのか・・・ まずは1行目物質の最小単位である素粒子を説明する数式、そこには数式の美しさにとことんこだわった1人の男の物語があった。 神の数式探しの最初の舞台となったのは、1920年代後半のケンブリッジ大学だった。 ここに1人の若き物理学者、ポール・ディラックが暮らしていた。 ケンブリッジの中でも最も権威のあるルーカス教授職に30歳の若さで就くことになる天才。 このルーカス教授職に就いた人物には、あのニュートンや、車椅子の天子ホーキング博士がいる。 万物を説明する数式を探したい。 ディラックの興味はまず4種類の素粒子のうちで唯一発見されていた電子に向かった。 すでに電子はマイナスの電気を持っていることはわかっていた。 さらにその性質を表す数式も知られていた。 シュレディンガー方程式、この数式を使えば、電子のエネルギーなど、ほぼ正しく求めることが可能だった。 ところがその電子にシュレディンガー方程式では説明のつかない性質があることがわかってきた。 いわば地球のように自転をし、さらに磁石のような性質を持っているという事実だった。 なぜ自然は自転する磁石のような不思議な性質を電子に与えたのか、ディラックはその性質を説明できる新しい数式を作り出したいと考えた。 当時の物理学者の姿は、こんな風に例えられる。 この時持っていた最高の知識を武器に、素粒子の正しい数式を求めようとしたものの、まるで歯が立たなかったのだ。 新しい数式を作ろうというディラックのアプローチは、非常に変わっていた。 それまでは実験や観測結果をそのまま数式に置き換えればよいと考えられていた。 一方ディラックは、自分の美的感覚に従うことにした。 ディラックの座右の銘「物理法則は数学的に美しくなければならない。」 美の感覚には個人差がある・・・が物理学者にとっての美しさは、対称性と呼ばれ、その基準は非常にはっきりしている。 例えばこの2つの図形、物理学者なら迷わず右を美しいと考える。 物理学者はXとY座標軸を使って美を見極めている。 座標軸を回転させたとしても円の数式の形は変化しない。 このことがすごい事だというのだ。 この数式には回転対称性があるといい、物理学者は、これを美しいと感じるのだ。 さらに物理学者はこんな縞模様も大好き、それはこの模様を表す数式が座標軸を平行にずらしてみたとしてもやっぱり変化しないから。 こんな時物理学者は並進対称性という美しさがあるという。 基準になる座標軸、つまり見る人の視点を変えても数式が変わらないことが美しいのだ。 ちなみに先ほどの円の数式が座標軸が平行に移動すると、形がこんな風に大きく変化してしまう。 だから円の数式は回転対称性は持っているが、並進対称性は持っていない。 対称性とは、見る人の視点が変わっても、もともとの形や性質が変わらないということ。 正方形は視点を90度回転しても全く同じに見える。 物理の数式も、見る人の視点によって変化しない。 ディラックが大切にしていたもう1つの美しさがローレンツ対称性。 アインシュタインの相対性理論関係があり、いわば時間と空間は本質的には同じものだという意味。 その上でディラックは、こんな風に考えた。 もし神が作った宇宙の設計図があるとするならば、それは完璧な美しさ、つまり全ての対称性を持ったものに違いない。 シュレディンガー方程式をよく見ればわかるように、時間を表すtが1つ、空間を表すxは2つ含まれている。 だから時間と空間は同じものだというローレンツ対称性は持っていなかった。 そのため視点が変わると数式は形が大きく崩れてしまう。 見る立場が変わると変化してしまう数式は神の数式としてふさわしくない。 ディラックはすべての対称性を持った美しい数式の構築を目指した。 3か月間書斎にこもりっきりになったディラック、外部との接触を一切断ち切る。 有頂天な気持ちと恐怖が交互に現れ、何度もパニックに陥る日々、しかし美しさにとことんこだわった苦労は報われる。 1928年に発表された論文『電子の量子論』に登場したのはディラック方程式。 tとxが1つずつ、あのローレンツ対称性をも満たすシンプルな数式だった。 その威力は驚くべきものだった。 電子の自転や磁石といった謎めいた性質をすべて正確に説明することができたのだ。 さらにその後見つかったニュートリノやクォークなど、物質の最小単位である全ての素粒子の性質がディラック方程式で説明できることまで分かった。 全ての対称性を兼ね備えることで、素粒子の性質を完璧に説明する数式が解明されたのだ。 物理学者たちが神の数式を刻み込んだ石碑の1行目には、ディラック方程式がコンパクトにまとめられ、刻み込まれた。 この世は何からできているのか、それを1つの数式で解き明かそうとする物理学者たちの戦い、次に立ちはだかったのは、素粒子同士を結び付けたり動かしたりしている3つの力の数式がまだわかっていないという問題だった。 最初のターゲットは3つの力の中で最も身近な電磁気力だった。 電磁気力は原子核に電子を引き寄せ、さらには原子同士をまとめあげ、様々な物質を生み出す源となっている力。 1930年代、アメリカ西海岸に電磁気力の数式に挑む1人の物理学者がいた。 ロバート・オッペンハイマー、その後原爆の父と呼ばれるようになる人物。 あらゆる研究分野でその名がとどろいていた。 オッペンハイマー達当時の物理学者の考え方は、こんな風に例えられる。 かつてディラックはローレンツ対称性という美しさを武器に付け加えることで、素粒子の性質を表す数式に導かれた。 同じように何か新たな美しさ、つまり対称性を取り込めば、電磁気力を表す数式にたどりつけるのではないかと考えた。 オッペンハイマーたちが目を付けたのは、ゲージ対称性と呼ばれる4つ目の対称性だった。 ゲージ対称性は難しい概念だが、ごく簡単に言えば回転対称性に似ているという。 電磁気の大きさを測る分度器が空間にあって、その角度を変えたとしても数式の形は変化しない、という美しさを意味している。 物理学者たちはゲージ対称性を含む4つの美しさを持った数式の構築を模索した。 すると再び1つの数式が姿を現した。 いわばディラック方程式の発展版、4つの対称性を持った電磁気力の性質を説明する数式の誕生だった。 数式から導き出された世界は興味深いものだった。 電子は光子と呼ばれる光の粒を放ち、それが電子と原子核を結び付けている。 電磁気力を伝える実態もまた、粒のような存在だという。 新たな対称性から導き出された電磁気力の数式は、この世の成り立ちを見事に説明するだろう・・・ ところが意外な事実が待っていた。 色々な計算を行ってみると、無限大という全く意味の分からない数値がでてきた。 皆、数式が間違っているかもしれないと考えた。 オッペンハイマーが発表した論文『場と物質の相互作用の理論について』、実際に数式を使ってみると電子のエネルギーは無限大と数値になってしまい、それはあらゆる物質が存在してはならないということを意味した。 なぜ無限大というわけのわからない数値ばかりが出てくるのか、オッペンハイマーは仲間の物理学者たちと手分けをして計算を何度もやり直したが、無限大の問題は全く解消できなかった。 この頃時代の歯車は大きく狂い始める。 1939年9月ドイツがポーランドへ侵攻、第2次世界対戦が始まった。 さらにアメリカの物理学者フェルミがウランの核分裂連鎖反応に成功、多くの物理学者が原爆の開発へと駆り立てられることになった。 アメリカが誇る天才オッペンハイマーはマンハッタン計画の責任者に任命された。 ニューメキシコ州のロスアラモスに集まる物理学者たち、神の数式へ近づくための研究は、無限大の問題を解消できないまま姿を消した。 何十万人もの命を奪った原爆、ジャーナリストたちはオッペンハイマーに、原爆の父という称号を与えた。 その後電磁気力の研究の第一線に戻ることはなかった。 純粋な理論物理学の世界で生きる道はなかったのか、戦後自戒の念に苦しめられたオッペンハイマーに、思わぬ場所から手紙が届いたのは、1948年のことだった。 差出人は朝永振一郎、名前も知らない日本の物理学者だった。 自分は戦争中に無限大の問題を解決する方法を見つけていた。 しかしそれを欧米に発表する機会を奪われていたという内容だった。 自分が開発した原発の被害国からの思わぬ知らせにオッペンハイマーは心を揺さぶられる。 英語に翻訳された朝永の論文『量子場理論での無限大の反作用について』は、オッペンハイマーの手助けで、世界で最も権威のあるフィジカルデビュー誌に掲載された。 特殊な計算方法を開発し、無限大の困難を打ち破った論文に、世界は度肝を抜かれる。 あるアメリカの物理学者はこう語った。 フリーマンダイソン著『Disturbing the Uni verse』「戦争の廃墟と困難のさなかにある日本で、国際的に完全に孤立状態にありながら朝永はどうにかして理論物理研究集団を維持し、ある意味では世界のどこよりも進んだ研究を行っていた。 我々には深淵からの声のように響いた。」 ちょうど同じころ、朝永と全く同等の理論をアメリカの若き物理学者リチャード・ファインマンとジュリアン・シュウィンガーが発表、戦後の自由な空気の中、無限大の問題は一気に解決した。 朝永達がまとめあげた数式による計算結果は、実験事実と驚くべき一致を見せた。 例えば電子が持つ磁石の強さもその1つ。 対称性の美だけから導かれた計算結果はこんな数値、それは実験で測定された磁石の強さと、小数点以下10桁までぴたりと一致した。 対称性(Gauge Symmetry)という美に従えば正しい数式を構築できる。 ディラックから始まった信念は、電磁気力の数式をも解明した。 物理学者たちがたどりついた神の数式の2行目、驚異的に正確な数式が歴史に刻まれることになった。 見事に解明された電磁気力の数式、しかし続く1950年代、神の数式の構築を目指す物理学者たちは、思いもよらぬ事態に翻弄されることになる。 その悲劇の主役となったのは、中国出身の風雲児チェンニン・ヤンだった。 物質を構成する素粒子をまとめたり動かしたりしている3つの力、すでに電子を原子核に引き寄せる電磁気力の数式は解明された。 ヤンが挑んだのは、原子核を作るクオーク同士を結び付けている強い核力。 そしてニュートリノを原子核から飛び出させる弱い核力だった。 ヤンがこうした力の数式を目指す手掛かりにしたのも美しさ、つまり対称性をさらに追及すれば、新たな力の数式も構築できるはずだと考えた。 ヤンは原子核の中にゲージ対称性と似た美しさが存在しないか調べ始めた。 そしてたどりついたのが物理学者にとっても超難解だと言われる非可換ゲージ対称性と呼ばれるものだった。 1954年ヤンが同僚のミルスと共に発表した研究論文『荷電スピンの保存とゲージ不変性』、新たなゲージ対称性を数式に持たせることで、素粒子の間の新たな力の数式にたどりつくことができた。 ヤンの理論を推し進め、それを現在の物理学の言葉で書き表すと、こんな数式になることが分かっている。 これで物理学者たちが神の数式に最も近いと考えるものが、ヒッグス粒子の部分を除き全部そろった。 ついにこの世のすべての力と素粒子を表す数式が見つかった。 多くの物理学者が期待に胸を躍らせた。 ところがそこには全く予想外の落とし穴があった。 それは強い核力や弱い核力を伝える粒子の重さがどう計算しても全て0になってしまうという矛盾だった。 重さが0なのは光子だけで、ほかの粒子はすべて重さを持つはずだった。 数式は素晴らしく美しい。 しかし力の粒子の重さは0になってしまうという点で現実とかけ離れている。 完璧な美しさを追い求めてきた物理学者の目の前に重さ0という大きな矛盾が姿を現した。 その後まもなくヤンの理論について議論しようという物理学者はほとんどいなくなった。 ヤン自身も議論の完成を諦める。 さらに物理学者たちを驚かせる出来事が続く。 対称性のより深い研究から、力を伝える粒子だけでなく、物質の最小単位であるすべての素粒子の重さまでもが数式上は0になってしまうという驚くべきことが指摘された。 つまり世の中のすべてに重さがないという現実とは矛盾した結論が数式から導き出される事態になったのだ。 もし本当にすべての素粒子に重さがないとしたら大変なことが起きる。 計算上、原子からは電子が飛び出し、物質はすべてバラバラになってしまうのだ。 全ての素粒子の重さが0だったとしたら、あらゆるものが飛び散る。 全てが光の速さで飛び出すのだ。 安定なものはなくなり、人も犬も猫も全てのものがなくなる。 あらゆるものが光の速さで動き、原子を構成するものがなくなってしまうからだ。 対称性という美しさに導かれ神の数式に近づいていったはずの物理学者たち、そのすぐ足元には、重さの謎という深い落とし穴があったのだ。 全ての謎がとかれるまでには、ヒッグス粒子の発見を待たねばならなかった。 1960年代シカゴにそれまでとは全く異なるタイプの物理学者が登場する。 日本生まれの南部陽一郎、人々は彼をこう形容した。 南部には未来が見えている・・・ この異質の天才が、美しさに導かれるとなぜか重さが0になるという大きな矛盾を解決することになる。 1960年代初め、南部が最も興味を持っていたのが、いわばこの現象。 そう、倒れてしまう鉛筆の問題。 単に鉛筆が倒れる何でもない現象だと思うかもしれないが、この現象が重さの矛盾を解くヒントになると南部は気づいた。 ここに鉛筆をたてるという設計図があるとする。 まっすぐに立てなさいというのだから、この設計図は回転対称性を実現するように描かれている。 そして設計図通り実際に鉛筆をたててみるとどうなるか。 現実は設計図通りの回転対称性を持った状態にはならない。 設計図には対称性があるのに、実際に起きる現実には対称性はない。 その後ノーベル賞に輝く「自発的対称性の破れ」と呼ばれる現象だ。 南部はこの「自発的対称性の破れ」が自然界の設計図でも起きうるとひらめいたのだ。 南部陽一郎が初めて示したのは、自然界の設計図に対称性があったとしても、我々が観測する物理現象には、その対称性がなくてもよいということ。 数学的に言えば自然現象を記述する数式に対称性があっても、その数式から導き出される現実には対称性がなくてもよい。 1961年に南部が発表した強い核力に関する研究論文『超伝導の類推による素粒子の動的模型』の内容を現在の物理学の言葉で言えばこうなる。 これは強い核力を表す数式、つまり強い核力の設計図。 少し詳しく書くとこんな感じ↓ 強い核力を感じるクォークの姿が見えている。 この設計図は一種のゲージ対称性に沿うように描かれていて、その結果クォークの重さは0でなければならない。 しかし回転対称性を持つ鉛筆の設計図から回転対称性がない現実が生れたように、クォークの重さが0だとする設計図から、クオーークに重さがあるという現実が生れてくることを南部は見抜いた。 南部が解決したことをわかりやすくまとめるとこうなる。 完璧な美しさを追い求めてきた結果、重さ0という矛盾にぶち当たった物理学者たち、しかし南部は完璧な美しさは崩れる運命にあることを倒れる鉛筆を例に示し、その結果この世界に重さが生れてくることを証明したのだ。 倒れる鉛筆という身近な存在から生まれた自発的対称性の破れは、誰もが予想しなかった大発見だった。 さて強い核力からクオーークの重さが自動的に生まれることはわかった。 しかし強い核力を感じない電子やニュートリノ、そして弱い核力を伝える粒子などの重さが数式上はどうしても0になるという問題が残っていた。 この問題にヒッグス粒子という新手のアイディアで挑むことになるのがスティーブン・ワインバーグだった。 ワインバーグはクォーク以外の素粒子にも重さを持たせるため、南部が提唱した自発的対称性の破れを応用できないか悩み続けていた。 そしてついにそれまでの物理学者が決して踏み出さなかった、いわば禁断の領域へと足を踏み入れる。 それはこの世には存在しない都合のよい粒子を理論に持ち込むことだった。 ワインバーグ「私の理論では、ある種の新しい場というか、力というか、そいういうものを持ち込んだ。 それがどんな時でも何もない真空をびっしりと埋め尽くし、しかもそれが宇宙全体に広がっているという考え。 これが自発的に対称性を破るのだ。」 当時ワインバーグが参考にした研究論文『ゲージ粒子の質量と対称性の破れ』(ヒッグス1964年)によると、ある都合のよい素粒子ヒッグス粒子を理論に持ち込めば、数式の美しい対称性は保ったまま素粒子の重さを持たせることができると書かれていた。 その都合のよい粒子は、最初は空間にほとんど存在しないにも関わらず、その後勝手に空間を埋め尽くすような粒子だという。 これは最初は完璧な美しさを保っていた世界が、その後勝手にその美しさを失うという南部の考え方を応用したものだった。 さて、ワインバーグによると、このヒッグス粒子に邪魔されることで電子などが行く手をはばまれ、動きにくくなる。 その動きにくさこそが重さの正体だというのだ。 1967年に登場したワインバーグの論文『軽粒子の一つの模型』、ワインバーグはヒッグス粒子のアイディアで電子や弱い核力の粒子にも重さを与えることに見事に成功した。 重さの謎に翻弄されてきた物理学者たちは、ヒッグス粒子の力を借りてついに神の数式にたどりつく道を見つけた。 ところが当時ワインバーグの理論の評判は決してよいものではなかった。 ヒッグス粒子があまりに都合がよすぎるという違和感を一部の物理学者が拭い去れなかった。 車椅子の天才ホーキング博士は、ヒッグス粒子が存在しない方に金銭までかけた。 そして迎えた2010年、ワインバーグの理論の発表から40年以上の年月が流れていた。 ヒッグス粒子を見つけるため、人類史上最大のエネルギーを空間の一片に注ぎ込む実験装置がついに動き始めた。 CERNで2年以上にわたる実験を経て、ヒッグス粒子が叩き出されたと思われるシグナルが捉えられた。 ワインバーグの理論が立証されたと、世界中が称えた。 物理学者たちがたどりついた1つの数式、この世界を作る4種類の素粒子と3つの力を矛盾なく書き表した標準理論が完成した。 ヒッグス粒子を発見したCERNの片隅には、神の数式に最も近いとされるその数式が刻まれた。 それは物理学者たちの100年にわたる闘いの金字塔だったのだ。 神の数式の美しい対称性がこの世界にどのように反映されているのか、今物理学者たちはビッグバン以来の宇宙の歴史の中で、次のように解釈している。 宇宙は設計図である神の数式に従って誕生し、当初は設計図通りの完璧な対称性を保っていた。 そこではあらゆる素粒子に重さがなく、バラバラに飛び回っていた。 しかしヒッグス粒子などが引き起こす自発的対称性の破れによって素粒子に重さが生れた。 その結果素粒子がまとまり、原子が作られ、星々が輝き始め、銀河も形成されていった。 今、私たちの暮らしが存在することも、いわば神の数式に織り込まれていたというのだ。 ヒッグス粒子の発見によって、標準理論は今やこの世界に説明できない現象はないとまで言われるようになっている。 しかし標準理論を構築した物理学者たちは、理論の完成を喜ぶよりも、むしろ今、その先を目指し始めている。 標準理論の完成のためにヒッグス粒子の導入に踏み切ったスティーブン・ワインバーグ、万有引力、つまり重力を取り込んだ理論の構築が必要だと考えている。 素粒子の世界では、素粒子があまりに軽いため、それまで考えに入れる必要がなかった重力、今、物理学の最先端では、この重力をも取り入れなければ、本物の神の数式にはたどりつけないという考え方が支配的になっている。 およそ100年の歳月をかけて、この世の成り立ちを解明してきた物理学者たち、神の数式を探し求める闘いは、今もまだ終わっていない。 2012.09.28 Friday 00:00
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