ドキュメント鑑賞☆自然信仰を取り戻せ!

テレビでドキュメントを見るのが好き!
1回見ただけでは忘れてしまいそうなので、ここにメモします。
地球環境を改善し、自然に感謝する心を皆で共有してゆきたいです。
<< May 2017 | 1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12 13 14 15 16 17 18 19 20 21 22 23 24 25 26 27 28 29 30 31 >>
LINKS
カスタム検索
RECOMMEND
PROFILE
SEARCH
<< 先住民の叡智に学ぶ☆原生林に実現する究極の質実生活☆南米大陸アマゾン源流 | main | 100年の難問はなぜ解けたのか〜天才数学者失踪の謎〜 >>
浅野温子1300年の出雲路をゆく★神話が語る日本の始まり


旅に出よう、そんな気持ちで乗った夜行列車、夜の帳が明けると迎えてくれたのは神々の国・出雲。
浅野温子「優しい光に包まれたこの場所で、目を閉じると聞こえてくる風の声、それは古からのメッセージなのでしょうか。
神楽の音色が神話の謎を呼びさまします。」

▲万九千神社:11月17〜26日、八百万の神々は出雲に集まり、この神社から旅立ってゆく。

古事記、それは太安万呂という人物によって書き記された日本で最も古い歴史書。
この国の始まりから推古天皇の時代までの系譜、伝承が記されている。
完成したのは今から1300年前、元明天皇の時代、西暦712年のことだった。
神話で重ねられた始まりの物語。
天上界に住む神が地上に落とした一滴、日本という国の始まり・・・

●神話から読み解く真実
神話の多くは島根県の出雲市を舞台にしている。その訳とは?
新谷尚紀名誉教授(国立民族博物館)「大和の王権は出雲の祭祀の力、祭の力、神祭り、霊的な力で大和の王権を守るんだということが書かれている。
大和王権は出雲の力で国を護る。
出雲にはどんな秘密が隠されているのか、日本の神話は今の私達に何を伝えようとしているのか・・・
●日本海地殻変動の秘密
神話の謎を求めて島根半島へ・・・
はるか昔、この地には大きな地殻変動があったという。
島根半島はどのようにして誕生したというのか・・・

●海底遺跡の謎
●出雲一大勢力の謎
銅剣などの出土品が示す真実とは?
●巨大古墳の謎
大和王権より先駆けて存在した出雲の古墳が語る歴史とは?
●日本の覇権、大和王権誕生のなぞ
日本を統一へ導いた大和王権、なぜ出雲を必要としたのか?
天武天皇、持統天皇が必要としたもう1つの宗教的権威、それが出雲の存在。
●巨大神殿の謎
地方一帯に伝わる巨木伝説、かつて出雲にあった巨大神殿の姿とは?

今回出雲路を旅するのは女優・浅野温子さん(国学院大学客員教授)、舞台で古事記神話の読み語りを続けている。
大学の客員教授も務める浅野さんの考える古事記とは?
古事記の神話に流れるテーマとは?
浅野「神代の時代に夫婦別れ、夫婦喧嘩があった。
非常に人間っぽい、やっぱりこれは男と女の普遍的なテーマなのだろう。」

物語の主人公はヤマタノオロチ退治のスサノオ、出雲大社に祀られるオオクニヌシ、そして太陽の神にしてスサノオの姉アマテラス。
神々の地に眠るなぞを求めて・・・
神話はどんな真実を語っているのか?
出雲路、この国の始まりを解き明かす旅・・・

浅野「私が日本の神話に興味を持ったのは、そこに日本人の心の原点を感じるから。
1300年も変わらず受け継ぐ和の精神・・・
この旅は、私達が失ってはならない心のあり様を探す旅でもある。」

▲一畑電車 出雲大社前駅
出雲大社、訪れる人の絶えない、神が鎮座するところ。
大和王権始まりの時代から存在したと言われている。
出雲大社に足を踏み入れると、そこに立ちこめる荘厳な気配によって、現代と神代の時代が交わるようだ。

神話・因幡白兎:鰐鮫から皮を剝された白兎がオオクニヌシによって救われる物語(舞台は鳥取)
浅野「私のオオクニヌシはウサギとの対面の時はもっと若い年を設定している。
現代のイメージのキャスティングでいうと6〜7歳くらい。」
オオクニヌシ『なにしてるんだい?』
ウサギ『向こうに行こうと思ったら、皮を剥がれたんです。
痛ぁい、痛ぁい。』
オオクニヌシ『じゃあ真水で洗って緯度のそばで風にあたらないようにしておいで。』
といって治してあげる。
どちらかというと少年とウサギ、子供と動物というホンワカムードのイメージで作った。
だいたい普通は青年とけなげなウサギというイメージだが。」

縁結びの神として特に女性の心をつかむオオクニヌシ、国づくり、五穀豊穣の神でもあり、多くの別名を持つことでも知られている。
このオオクニヌシが中心となり、出雲は統治されたと言われている。
オオクニヌシから6代さかのぼる祖先はヤマタノオロチ退治伝説で知られるスサノオの神。
そのスサノオの姉がアマテラスの神とされている。

▲神楽殿のしめ縄(長さ13m、胴回り8m、重さ4.5トン)
神話の物語には、この国の誕生だけではなく、家族への愛情、苦しみ、悲しみ、そうした日本人の心のあり方が描かれているというのだ。
出雲を舞台にした古事記、その神話には現代に通じる真実が隠されている。

/澄垢旅顱出雲の謎 地殻変動の秘密
清少納言が『枕草子』野中で称えた玉造温泉、この地も神話のくる里。

▲特産であるメノウの原石を敷きつめた風呂(玉造グランドホテル長生閣)
玉造の湯は美人の湯
として出雲神話にも登場する。
旅の楽しみの1つ、地元日本海の食材を使った料理の数々、その中でもこの地ならではの特産品はシジミ。
謎を紐解く入口となる。
雨にも映える松江城、松江市は島根県政治の中心地。
島根はいくつもの国を引き寄せて誕生したという国引き神話が伝えられている。
シジミ漁が行われる宍道湖、淡水と海水が交わるこの湖は、国引き神話の謎を紐解く場所。
穴道湖の近くにある湖に浮かぶ大根島由志園、島根の特産品の1つでもあるボタン。
日本の生産量の9割ほどが島根で栽培されている。

そのボタンが大根島で育つ理由に、山陰地方誕生の秘密が隠されている。
千酌港の海岸に、この地方誕生の歴史が刻まれているという。
宮崎県の鬼の洗濯板と同じ階段状の姿をしている。

瀬戸浩二(島根大学汽水域研究センター)「黒い所が泥で、白い所が砂、砂と泥が交互に溜まっている。
砂より泥のほうが侵食されるので、こういったでこぼこができる。
地層そのものは1600万年前のものだが、例えば地震等のショックを受けて砂が上から降ってくる。
それが地上に現れた。
それは海水がひいたからではなく、地殻の変動によって400〜500mの深い海底が隆起して、今は表層に現れている。
その証拠に泥の中からは、深いところに住むホタテ貝の仲間などが化石として出てきている。」

▲ホタテの仲間の化石:400〜1000mの深さに生息している。

「地層が曲がっている。
元々向こう側が古くて、こちら側が新しい。
順々に溜まってきているが、ここだけグニャっと曲がっている。
それがグシャッとなった部分がこういったところ。」

かつて日本海では、活発な地殻変動があった。
その活動にこそ、出雲を含む山陰地方誕生の秘密が隠されていた。
地層が滑り、折れ曲がり、その後隆起した地層。

最大1000mの深さの海底が盛り上がることで、この地方が誕生した。
まるで国引き神話のような出来事が実際に起こっていたのだ。

日御崎:荒波が打ちつける崖、雄大な姿には地球の営みが隠されている。
かつてこの地は火山活動が活発だった。
縄文時代には今よりも30m地殻海水面が低くなっていたという。

この崖には五角形、六角形をした岩がある。
これは溶岩が急激に冷やされてできた形。

島根にはかつての地殻変動や溶岩の痕跡を今も見てとる事ができる場所があるという。
中国地方で最高峰の火山、大山を望み東へ進む。
出雲市から車で1時間半、大根島にはおよそ20万年前の火山の噴火によってできた竜渓洞と呼ばれる場所がある。
溶岩の通り道が地下空洞、すなわち溶岩トンネルとなってつながっているという。
門脇和也(島根県自然観察指導員)「これがその時流れ出した溶岩、これはみんな中にあった溶岩をここまで持ち出して、ここに積んで入口にしている。」

瀬戸「岩の種類は玄武岩、この岩の特徴は、多孔質。
気泡のようなものがある。
火山性のガスが抜けたあと。
それによって水を保水したりする。
朝鮮ニンジンなどを作るためにはこういった岩が必要。」
ゆっくり下り階段を抜けると、トンネルが100mに渡って広がっている。
火山から産まれた溶岩が、水はけのよい土地となり、特産の牡丹の栽培に適した場所となった。
水はけがよい証拠に、植物の根は洞窟の中にまで届いている。

火山口の跡にて・・・門脇「普通、火口は山の頂上にあるが、ここは地下の洞くつの一番隅にある。
ここからあふれ出した溶岩が、今私達が来た方向へ流れていって、洞窟を作った。
だからこの洞窟は火口に直結している。
その意味で貴重な洞窟と言われる。」
瀬戸「ここは標高0より上、陸上で噴いて溶岩道としてできたのだろう。
年代測定の結果、20万年前のものと言われている。

約20万年前の火口、かつて溶岩が噴出した場所・・・
島根県のこの地域は、いたるところで溶岩が噴出し、溶岩道を作っていたのだ。
これは海底火山の活動によって多くの島が作られたハワイと同じ。

ここには20万年前の姿が刻まれている。
そのあとが見られるのはここだけではない。
町の中には同じような溶岩道がいくつかある。
この地方に伝わる国引き神話は、地球創世の物語でもあったのだ。

⊃澄垢旅顱出雲の謎 太陽神アマテラスの秘密
浅野「古事記には、今の日本人にもつながる世界観が記されているという。
その1つが黄泉の世界、私達が持っている死生観は、太古の昔を生きた人たちと共通しているのだろうか。」

▲猪目洞窟:縄文時代中期〜古墳時代後期、人骨、土器、貝類の飾り等を出土。
高さ8m、幅30m、奥行30m
ここは弥生時代から古墳時代にかけて、埋葬地として使われていた。
13体もの人骨が見つかっている。
浅野「なんでその時代の人々はそういうふうに、ここを思ったのだろう。
思わせる何かがあったのだろうね。」
ここはかつての墓としてこの世とあの世の交わる場所。

▲黄泉比良坂(よもつひらさか):古事記では、この世とあの世(黄泉の国)は、黄泉比良坂によって仕切られているという。
太陽の神アマテラスの父、イザナキは、亡くなった妻を追ってこの地から黄泉の国へと入る。
しかし体は崩れ、変わり果てた妻の姿、恐れおののき逃げ出してしまう。

怒ったイザナミは、夫イザナキを追いかける。
その際にイザナキは黄泉の国の入り口を、大きな石で塞いでしまい、イザナミと別れの言葉を交わしたと神話は伝えている。
死の世界を封印したイザナキからは、新たな子供が生まれた。
それがアマテラスと弟スサノオだった。

太陽の神アマテラスと弟スサノオが仲良く祀られている日御碕神社(社殿は徳川3代将軍・家光の命で造営 権現造り国重要文化財)
北半球1ともいわれる見事な夕日を望む岬に建立された神社。

アマテラスが祀られている日沈宮(ひしずみのみや)、伊勢神宮が日本の昼を守るのに対し、この宮では日本の夜を守るという神勅により祀ったのが始まりと伝えられている。
そのアマテラスを慕うように、弟のスサノオはすぐ上にある神の宮に祀られている。

神話『よみ語り』の物語について・・・浅野「アマテラスオオミカミとツクヨミノミコトと、スサノオノミコトという3人の兄弟、一番上の姉が末っ子を、自分の罪をキチンと悔い改めさせるために、弟と縁を断ちきるのだが、彼の為に立ち切ったわけだが、でもそれは彼に対してはそういう態度をとったけれども、あはり兄弟の絆というのは切っても切れないものだという・・・」

『よみ語り:天の岩屋戸にお隠れになった天照大御神〜月読命の語れる〜』
[脚本:阿村礼子]
兄妹、家族の絆、再生を描いた物語

アマテラスオオミカミは天上界を統治している神様だが、その弟のスサノオが罪を犯し、アマテラスオオミカミは天の岩屋戸という洞窟に閉じ籠ってしまう。
困った神様たちは、アマテラスオオミカミを外に連れ戻すために一計を案じた。
私はツクヨミノミコトと申します。
母イザナミノミコト亡きあと、父のイザナギノミコトは、自らの体から3人の子を産んだ。
私はその真ん中に生を受けた子供です。
上に姉のアマテラスオオミカミ、下に弟のスサノオノミコトがおります。
私達兄妹は生まれた時からそれぞれに統治する国が定められていました。
尊い神々が住む天上の世界を高天原というが、その国の統治者は神々の中でもっとも高い位に位置する。
父はその国の統治を姉に任命した。
アマテラスオオミカミという名も天に照り輝く太陽の神様という意味で名付けられた。
姉は太陽のごとく大らかで、慈愛に満ち、真の勇気を秘めた女性。
父の期待通り高天原の統治者として立派に君臨している。
2番目の私は静かな夜を司る月の国を任せられた。
姉と違い私は人の表に立つのが得意ではない。
慎重に物事にあたることを旨としている。
今のところ父の怒りを買うこともなく、自分なりのやり方でこの国を治めている。
問題は海原の統治を命じられた弟のスサノオ、スサノオには昔から大胆なところがあったが、成長するにつれ、粗暴な行いが目立つようになった。
末っ子だということがあるのだろうか。
亡くなった母への思慕がいつまでも建ちきれないようなのだ。
母を思い、駄々をこねているうちは良かったのだが、このごろでは統治任務をほったらかしにし、母のいる黄泉の国へ行きたいとわめき、暴れることが増えた。
それがとうとう父の逆鱗にふれてしまった。
お前はいつまでも何をぐずぐずと言っている。
そんなに母に会いたいなら、黄泉の国でもどこでも行くがよい。
しかし二度とここに戻ることは許さん。
はっきりとした訳は分からないが、父は亡き母に会いに黄泉の国へ行ってからというもの、母を忌み嫌い、話しがでることすら嫌がっている。
本心をいえば私にしても母を思う気持ちはスサノオと同じ。
しかし父の様子を見ていると、とても母のことなど口にはできない。
スサノオは正直と言えば正直だが、人の思いを察することのできない心の狭さは身を滅ぼす元かもしれない。
父に追放されたスサノオは、姉アマテラスのいる高天原へ向かう。
しかしそこで乱暴狼藉を働き、ついには神々の着物を織る織女を殺してしまう。
悲しんだアマテラスは岩の奥へ身を隠し、そのため世の中から光が失われてしまう。暗黒は地上からそれまでの豊かな暮らしを奪った。
アマテラスを岩から引き出すために、知恵の神オモイカネが一計を案じるクライマックスへと続く。

誰か鶏をたくさん集めてくれ、鍛冶屋のアマツマラは鉄を打ってくれ、イシトリドメは鏡を作ってほしい、勾玉を通した長い玉飾りも必要だ、アメノコヤネとアメノフタタマには祭の儀式をやってもらう、榊の金に玉飾り、鏡、それから白や青の布飾りを下げるのだ、さあ皆、仕事にとりかかってくれ。
オモイカネの指示につられ、皆動き出した。
準備は着々と整ってゆく。
オモイカネがまた声をあげた。
誰かタジカラヲとアメノウズメを呼んできてくれ。
タジカラヲは高天原1の力持ち、アメノウズメは相手を圧倒する力を持つ、不思議な力を持つ巫女。
アメノウズメがやってくると、オモイカネは彼女に笹の葉を持たせ、蔓をたすき掛けにさせ、伏せた桶の上に立たせた。
タジカラヲは岩屋の扉の脇にこっそり立たせた。
いいかタチカラヲ、私が合図をするまでそこを動くなよ。
タジカラヲは、オモイカネの指示通り、巨体を縮め、じっとしている。
アメノウズメのフトダマが榊を岩戸の前に据えると、アメノコヤネが祝詞をあげ始めた。
すると鶏が一斉に鳴き始めた。
オモイカネがあげていた右手を振りおろし、アメノウズメに合図を送る。
アメノウズメはまず桶の上で両足を踏み鳴らすと、高いカンササの葉で拍子をとりながら踊りだした。
神々も皆楽しい気分になって体を揺らしたりしている。
アメノウズメはだんだん興に乗ってきて、桶の上でくるくる回ったり、首を右に左にかしげ、色っぽい仕草をするので男の神々がはやし立てる。いいぞいいぞアメノウズメ、もっと踊れ・・・
さらに勢いづいたアメノウズメは体をくねらせ、のけぞって狂わんばかりに踊るので、上着の紐がほどけ、前がはだけ、お乳もおへそも丸出し。
それでもかまわず腰を振ったり足をあげたりするもので、男神も女神も腹を抱えて笑い出した。
ハッハッハ〜・・・

これまでシーンと静まりかえっていた外の世界が急ににぎやかになったので、岩屋の中のアマテラスオオミカミもさすがに変だと思ったのだろう。
何が起こったというのだ、なぜ皆は笑い声をあげているのだ。
岩戸に耳をあてて、外の様子をうかがう。
騒ぎは激しくなるばかり、とうとうこらえきれず、少し岩戸をずらし、隙間からのぞいてみると、なんとしたことか、目の前でアメノウズメが裸同然の格好で踊り狂っているではないか。
そしてアマテラスは外に出され、地上に光が戻ってきた。
この話はオモイカネのお手柄とされ、長老たちにもいろいろと信頼が厚くなった。
しかし私は今でもこれを姉の深い思慮の賜物だと思っている。
アマテラスオオミカミが天の岩屋に籠れば世界は闇に封じ込められ、様々な災いが起こる。
姉ははじめからそれを承知で籠ったのだ。
姉にとってもまさにそれは命がけの行為だった。
これもスサノオに罪の深さを気付かせ、心から悔い改めさせるため。
彼は二度と同じ過ちを繰り返させないことこそが高天原や地上の国に真の平安を取り戻すことだと姉はそう信じたのだ。
スサノオは天上界から追放されるにあたって、最後に一言アマテラスにお詫びがしたいと願い出たそうだ。
しかし姉は今後一切の面会まかりならん、高天原にも二度と戻ることを許さんと伝えよ、と突き放したとか。
弟のしたことを考えれば追放はやむを得ないこと、ならばせめて地上に降りてゆくときには正しく尊い心を取り戻していてほしい、と姉はそう願ったのだろう。
だからこそきっぱりと弟と縁を断ち切り、スサノオに深い悔恨の思いを味わわせたのだと思う。
他の神々の前では決して言えないが、私は、そう姉もスサノオが自分の生きるべき場所を見つけ、そこで胸を張ってどうどうと生きてほしいのだ。
その気持ちは姉も一緒。
姉も私も切り離せない兄弟の絆を心の奥深くに感じ、そこから生まれる親愛の情というものを体で噛みしめながら、弟の幸せを密かに願っているのです。

古事記の神話から現代に通じることとは?
浅野「人間というのは不完全だから、間違えることもある。
でも必ず立ち直れる、その力を持っている。
人と人との絆、兄弟の絆、親子の絆が非常に大事だということを古事記は言っているのではないかと思う。」
神々の中でも最高の位置に君臨する女神アマテラス、そもそもどんな神なのだろうか?
新谷「アマテラスという神様には2つの性格がある。
1つは文字通り太陽の神様、天皇家の古い時代から太陽の王であるということ。
もう1つは自分の子孫、皇祖神、先祖の神。
天皇家にとっては先祖の神であると同時に太陽の神である。
この2つの面がアマテラスにはある。」
太陽の神アマテラス、神話に描かれたアマテラスの雲隠れとは、今でいう自然現象、日食から想像させたものかもしれない。

神々の国・出雲の謎 海底遺跡の謎
かつてアマテラスが祀られていたという新たな場所が海の中にあった・・・
出雲大社から車で20分ほどの小さな漁村、日御碕、目の前にあるのはアマテラスが降臨したという島。
この島は今でも一般の人の立ち入りが禁止されている神聖な島。
ここにどんな謎が隠されているのだろうか。

波に侵食された奇岩、経典の文を積み重ねたように見えるため、経島(ふみしま)(アマテラス降臨の島)という名がついたと言われている。

神宿るこの地で、あるものが地元ダイバーによって見つけられた。
海底遺跡と思われるものだ。
日本を代表する潜水チームに調査を依頼。(海外ドキュメンタリー映画『オーシャンズ』撮影メンバー)共に地元ダイバーの話を聞いた。
岡本哲夫(AQUA工房)「約1500年間マツリゴトをやられて歩いた跡、ずーっと道となっている。
それは洞窟の中、出てからも砂の道ができている。」
今は海の底に沈んでいる場所に、はるか昔神殿があり、神事が行われていたということを形となって見る事ができるのだろうか?

島から200mほど離れた目的地へ向かう。
この地域の海は縄文時代、現在よりも水面が20〜30m下であったことが科学的に明らかにされている。
この海の底に、アマテラスへ捧げられたかもしれない神殿が眠っている可能性がある。
大きく浸食された岩の間に残されたかつてのマツリゴトの場所を探す。

まるで参道のような趣が目の前に現れた。
どこへ続いているのだろうか。

広く平らな所に出た。
かつてここで神事が行われていたのだろうか。

この先はトンネルになっている。

見つけたものは玉砂利のような丸い石。
ここは神を祀る場所へと渡る通路だったのだろうか。

ここだけ角のない丸い石が一面に敷きつめられたように存在している。

かつてここが地上であった時、祈りの舞台として使われたのではないだろうか。
人工的な階段だろうか、歩くために岩を切り取ったかのようだ。

さらにここでマツリゴトが行われたことを彷彿とさせるものがあるという。
それは亀石といわれる、祈りの時に使う石。

海底にひっそりとたたずむ神殿のようなものは、私達に何を問いかけているのだろう。
海底遺跡の謎を解くためには、専門家によるさらなる調査が必要だろう。
しかしこの風景には、神代のロマンを感じさせるものが確かにある。


『素戔鳴尊』芥川龍之介著


生きる事に悩み、苦しみ、自らの歩む道を模索するスサノオが次の物語の主人公。
荒ぶる神スサノオの苦悩・・・
スサノオが歩いた軌跡を辿ってみる。
縁結びの神としても有名な八重垣神社(祭神:スサノオノミコト イナタヒメノミコト)、スサノオが妻のクシナダヒメと共に祀られている。
スサノオが大蛇ヤマタノオロチを退治した後、2人はここで新居を構えたと言い伝えられている。
クシナダヒメが自らの姿を映したと伝えられる鏡の池、今では縁結びや心願成就の占いをする人々の姿が絶えない。

かつては本殿にあり、神社建築史上最古の壁画が重要文化財『六神像壁画』、描かれているのは美しい微笑みを浮かべるクシナダヒメ、そしてスサノオ。
スサノオとはどのような神だったのか?


た澄垢旅顱出雲の謎 大蛇ヤマタノオロチ 鉄剣の謎
よみ語りの脚本『ヤマタノオロチ退治』の新しい解釈について・・・
浅野「大蛇の8つの頭をもった、胴体を1つにした親子、大蛇の親子である。
大きい首がお父さんで、次がお母さん、お兄さんがいて、子供たちがいるという設定。
スサノオが自分の大事な人を守るために大蛇を殺さなくてはならない。
しかしそれはやる者、やられる者、そして生きるために闘わないと自分たちを守る術がない、そこにある種の苦悩を感じる。」

『よみ語り:ヤマタノオロチ〜スサノオの悔恨と成長』[脚本:阿村礼子]
天上界を追われたスサノオは、出雲の地に下り、そこで老夫婦と若い娘の親子と出会う。
そして娘の命を救うためにヤマタノオロチという大蛇を退治する。
皆さまも御存じのお話しだと思う。
ヤマタノオロチは一般には、娘を食って殺す恐ろしい大蛇として描かれているが、私達のよみ語りでは、ヤマタノオロチの悲しみという視点をまじえ、新しい解釈をしている。
高天原を追われたスサノオは、出雲の国に降り立った。
斐伊川の川上に歩いてゆくと、小さな草ぶき屋根の家があった。
低い竹垣越に部屋の中が見え、白髪の老人と妻らしき老婆、そして若い娘が泣いているようだ。
スサノオは思い切って声をかけた。
何か事情があるとお見受けした。話してくれれば力を貸せることもあろう。
これはこれはどなたか存じませんが、有難い申し出、どうぞお入りください。
私はアシナヅチと申します。これが妻のテナヅチ、これが娘のクシナダヒメでございます。
実は私達夫婦には8人の娘がありました。
それが7年前の秋のこと、越の国にヤマタノオロチという得体のしれない蛇の化け物がいるのを御存じですか。
若い娘を食って自分の体を肥やすというその大蛇が、あろうことかはるか離れたこの出雲の地に現れたのです。
1つの胴体に頭が8つ、尾が8つあり、体長は8つの谷と尾根を渡るほど、体には歪んだスギアシの木が生え、皮膚は苔で覆われています。
腹は見にくくただれ、常に血をしたたらせている。
そのオロチが血走った眼で狙っていたのは、そう私の大事な娘たちを狙っていたのです。

アシナヅチとテナヅチの8人の娘たちは、8つの頭を持つ大蛇の妖怪ヤマタノオロチに狙われ、最後の1人だけが残っていた。
そのオロチを退治するために、スサノオは力を貸すことになる。
それはこのクシナダヒメです。
しかしまた今年もあの魔物がやってくる季節がやってきました。
アシナヅチが悲痛な声をあげると、妻のテナヅチが言った。
安作尽き果て思いついたのが、私が娘の身代わりになって、オロチを欺く事でした。
それで娘には質素な衣を着せ、私はこうして鮮やかな深紅の衣をまとっているのです。
この子が食われるくらいなら、私が食われた方がどれほどよいか・・・
お母様、もうおやめ下さい。
お姉さま達は私を守るために亡くなっていきました。
お母様までが私の犠牲になるなど、耐えられません。
何をいうのです、お前は私が生んだ大切な子供、お前は私の命そのものなのですよ。
お前が亡くなるというのは、私自身が消えてしまうのと同じこと。
お前はまだ若い、これから新しい命を産むこともできるのです。
それは父や母、また亡くなっていった姉達の命をつなぐことでもあるのです。
だからお前は生きて、どんなことがあってもその命の光を絶えさせぬよう、生き延びておくれ。
母子のやり取りを聞きながら、スサノオは姉アマテラスオオミカミとの別れを思っていた。
アマテラスオオミカミは何故、ご自分の命をかけてまで、天の岩屋に閉じ籠られたのか。
ずっと解けずにいた謎がこの親子を見ていて分った木外s田。
姉上が御身を呈してまで守ろうとしたもの、それはほかならぬ弟の私だったのかもしれない。
こんな愚かな私にも生き延びる機会を与えて下さった、そのおかげで私は今、ひとつの命が他の命を愛する重さを知った。
生まれた命の火が次へとつながってゆく尊さを知った。
私はなんと惨い事をしたのだ。
姉上があれほど大事になさっていた織女を亡きものにしてしまうとは・・・
これから新しい命を産む事もできたはずの若い命を、この手で断ち切ってしまった。
その罪の重さからすれば、私は織女が味わった以上の苦しみを味わわされて当然だったのだ。
しかし姉上はそうなさらなかった。
その代わり教えてくれた。
織女と同じようにこの私の命もまた、父上や母上、さらに遠い祖先から受け継いだ尊いもの。
私1人の勝手で自らの命の火を止めてはならない。
お前は生きながらえて、自分の犯した罪を悔い改めよと、姉上、私はようやく気付きました。
今私がすべきこと、それは娘の命を守ってやることなのですね。
スサノオは目の前の3人を愛しい眼差しで見つめた。
私が必ずオロチを退治してみせる。
その時はヒメを私にくださらぬか。
恐れ多いことです。私はまだあなた様のお名前も存じません。
私はタケハヤスサノオノミコトと申す。
天上界にいらっしゃるアマテラスオオミカミと親を同じにする弟である。
今まさに天上から下ってきたところである。
お〜!喜んで娘を差し上げます。
スサノオは家の周りに垣根を巡らし、8つの門を作り、酒を満たした桶を置いた。
あっという間に酒を飲み干し眠ってしまった。
ヤマタノオロチの頭をスサノオは持っていた剣で1つ1つ切り落としてゆくのだが、そのヤマタノオロチの気持ちに気付くとくクライマックス・・・

その瞬間閉じていたオロチの目がカッと見開き言葉を発した。
タバガッタッナ
その顔には、しくじったという無念の表情が浮かんでいた。
父上〜・・・
突然背後から別の声が聞こえたので、スサノオが振り返ると、今切り捨てたのより一回り小さな頭が目を覚まし、尾をばたつかせている。
他の頭たちを落として逃げようというのだろうか。
したたか酔っていて、身動きがとれない。
スサノオはそちらに歩み寄り、桶からフラフラと頭をあげたオロチの喉元に剣を突き刺した。
ニャー・・・
物悲しい声をあげ、息絶えた。
なぜでしょう、スサノオの心の中を、たとえようのない虚しさが駆け抜けた。
しかしその思いを振り切るように、続けて1つ、また1つと切っていった。
ほとんどの頭は眠ったまま苦しむことなく切り捨てられた。
ただ首を落とされる時、どの頭も決まってフニャーフニャーと産声のような鳴き声をあげて果てていった。
スサノオはこの時初めて気付いた。
あー、なんとしたことだ。
ヤマタノオロチは胴体を1つにした、8つの頭を持った大蛇の親子だったのだ。
最初に切り捨てた頭が父のオロチ、そして2番目に切ったのは、きっと上の息子、他の頭はまだ生まれたばかりの赤子だったに違いない。
とすれば・・・
スサノオは最後に残った頭に目を凝らした。
そう、これが母のオロチ、この大蛇の主となる頭。
この頭を切らねば、ヤマタノオロチの息の根を止める事は出来ない。
しかしこれほどまでに母を恋い慕っていた私が、たとえ大蛇の命を絶つことでしかクシナダヒメの命を守ることができぬとは・・・
ようやく命の火が教える大切な意味を知った私に、神々はまた、どのような試練を与えなさろうというのか。
スサノオは頭を垣根にもたげてぐったりしている母のオロチを憐れむように見つめた。
すると母のオロチがうっすらと目をあけ、周囲を見回した。
フニャーフニャー・・・
この世のものとは思えない、悲しく痛々しい響きだった。
目から血の涙を流し、半開きの口から必死に首を伸ばして、転がっているわが子の頭を舐めようとしている。
しかし遠過ぎて届かない。
子の母のオロチも愛しいわが子を守るために、村の娘たちを食い殺してきたのだろう。
自分達一族の命をつないでゆくために、人を殺めて生きねばならぬとは、思えばこれもなんと哀れなさだめか・・・
スサノオは先程切った頭を1つずつ引きずって一所に集め、1番上に父のオロチの頭を載せ、子供たちを守るような形に積み上げた。
そうした後再び、母のオロチの所に戻り、後ろに回りこんだ。
大きく1つ息を吸い込み、剣を振り仰いで構えると、天に届けとばかりに声をあげた。
母よ、愛する者達と共に行け・・・
大きく思い切り剣を振り下ろすと、母のオロチの頭は綺麗な弧を描いて飛び、父のオロチの頭の横に見事におさまった。
スサノオは最後の仕上げとして、オロチの胴体を剣で切り刻み、尾っぽを1つずつ切り裂いていった。
4つ目の尾っぽを切り付けた時、堅いものが当って剣の歯が欠けた。
手を突っ込んで引っ張ってみると、それはそれはみごとな太刀が現れたので、スサノオはアマテラスオオミカミに献上した。
この太刀が後の世にいう三種の神器のうちの1つ、草薙の剣。
さてスサノオはクシナダヒメとめでたく夫婦となり、須我の地に立派な神殿を建てた。
そしてアシナヅチとテナヅチも呼び寄せ、アシナヅチを神殿の長に迎えたとか。
クシナダヒメも自分の親を大事にしてもらったことを深く感謝し、スサノオを大切にして生涯お尽くししたという。

ヤマタノオロチを退治するスサノオの成長について・・・
浅野「相手も生きなければいけない。
だから自分たちの立場だけじゃなくて、相手のこともキチンと分ろうとする。
そこまで大きくなったというのが、彼をどんどん再生させてゆく、成長させてゆく。
それは理解するということ。
それが彼を非常に大きくした。
そして人を愛することを知った時に、またもっと男としても非常に大きくなったのだろう。」
スサノオの足跡を追う。
ヤマタノオロチを退治したスサノオは、須我神社(主祭神:スサノオ 和歌発祥の地)を訪れ、日本で初めて和歌を詠んだとされている。

もう1つ霊験あらたかな神社とされている須佐神社(1554年戦国武将・尼子晴久が造営寄進 本殿は大社造り 高さ12m)、スサノオ終焉の地とされている。
本殿の裏には樹齢1000年以上ともいわれる大杉が天に向かってそびえている。
スサノオの魂が今もここに息づいているようだ。
温泉神社(スサノオの妻クシナダヒメの両親・アシナヅチとテナヅチを祀る)に、スサノオが退治したヤマタノオロチの首が埋められている。
8つの首を埋めたあと、8本の杉を植えたという言い伝え。

神話『ヤマタノオロチ退治』が語る歴史とは?
新谷「ヤマタノオロチを退治し、お尻の所を切ったら鉄の剣が出てきた。
スサノオが持っているのは銅剣、ところが尻尾からは鉄剣が出てくる。
考古学の知識を使えば、神話を読むとき、銅剣、銅矛の弥生時代から、銅鏡、鉄剣の古墳時代へ、大きく時代が変わったことがそこには込められている。」
スサノオがオロチ退治によって手にした鉄剣は、新しい時代の話。
物語の主人公はスサノオからオオクニヌシへと移る。
九州筑後平野(福岡県久留米市)に生まれ育ったようせつの天才画家がいる。
青木繁、彼は古事記をテーマにした作品を残している。

▲『大穴牟知命』
いわゆる後のオオクニヌシが神話最後の謎を解く主人公・・・
出雲の国の謎を求めて・・・
出雲大社はどのようにして誕生したのか?
この大きな神社誕生のなぞ、そこには日本の覇権の歴史が隠されていた。
かつて出雲には、大和王権に匹敵するような一大勢力が存在したという。

▲大阪堺市、仁徳天皇陵、出雲の勢力とこの巨大古墳、そこにはどんなつながりがあるのだろうか。

タ澄垢旅顱出雲の謎 巨大古墳の謎
今市大念寺古墳跡(古墳時代 6C後半)・・・大型前方後円墳、横穴式石室(長さ3.3m、幅・高さ1.7m)、石棺(全長12.8m、高さ3.3m)
日本最大級の大きさの石の棺には、かつて豪族が埋葬されていた。

石棺の周りは石が崩れないように積み重ねられ、2000年以上の時を経てもなお、主の墓を守り続けている。
大きな古墳を作れたということは、何を意味しているのだろうか?

荒神谷遺跡、出雲にまつわる歴史的証拠が発見された場所。
足立克己(島根県立古代出雲歴史博物館 学芸部長)「ぜんぜん想定外のものが出た。
6〜7世紀ぐらいの集落、あるいは6世紀頃のお墓を想定していた。」
1984年実際に発掘してみると、日本の歴史学上画期的なものが発見された。
4列に整理された銅剣が358本、この数は当時日本全国で出土した銅剣の合計300本を超えるものだった。
さらに銅鐸6個と銅矛16本も出土した。

発見された現物が保存されている島根県立古代出雲歴史博物館。
358本の銅剣は武器ではなく、マツリゴトの道具だった。
銅矛も銅剣と同じ目的で使われていたもの。
そして銅鐸、神を呼ぶ鐘としてマツリゴトで使われていたという。
銅剣、銅矛、銅鐸が発見された価値とは?・・・
足立「基本的には銅剣、銅矛は武器の形をしている。
これは中心は北が九州で使われていたお祭りの道具。
銅鐸は近畿のもの、それが1ヵ所で出るということで、特に銅矛と銅鐸が1つの遺跡から一緒に出るということは今もない。
なので九州と近畿地方との交流をしながら、出雲独自にお祭りの文化を発展させたということが考えられる。」

それまで銅剣、銅矛は九州中心、銅鐸は近畿中心のマツリゴトの道具と考えられてきた。
ところが出雲では、この3つが同じ場所で見つかったのだ。
しかもこれら祭の道具を大切にしまい込むかのように、整然と埋められていたのだ。
青銅器を埋めた理由は?・・・
足立「青銅器を使ったお祭りの社会がなくなって、新しい社会が多分始まってゆく。
それはよその勢力に抑えられたというのではなく、出雲独自の、出雲の地域の中で新しい社会体制というものが出来ていった可能性がある。」

青銅器文化の終りに起こった事とは?・・・
新谷「出雲はいち早く銅剣、銅鐸を埋めてしまい、使わなくなった。
何が変わって出てくるかというとお墓、武力的な王の登場。
四隅突出型の古墓が一番最初に出雲に現れる。」
出雲は四隅突出型と呼ばれる墓が多く見つかっている地でもある。
西谷墳墓群(長方形の四隅を突出させた形態(四隅突出型墓) 弥生時代中期末〜後期 紀元前1世紀〜紀元後3世紀半)
弥生時代のものとしては日本最大級の大きさを誇る。
まさに王家の墓と呼ぶにふさわしいもの。
このあとに訪れる巨大古墳時代は、ここ出雲から始まる。
弥生時代から古墳時代への変化について・・・
考古学では青銅器の時代(銅剣 銅矛 銅鐸)=弥生時代
その次の時代は古墳時代=武力王の登場(副葬品:鉄剣 銅鏡)
マツリゴトに使われていた青銅器を埋めるという行為は、武力王を中心にした新たな古墳時代への幕開けを告げるものだったのだ。

稲佐の浜は、神話『国譲り』(オオクニヌシがアマテラスの治める天上界に出雲の国を譲る物語。
その見返りとして、天まで届くほどの大きな社を建てることを約束)の舞台。
かつて出雲には一大勢力があった。
それを治めていたのがオオクニヌシだとされている。
そんなオオクニヌシの若き日の情熱的な恋を描いた神話が古事記には記されている。
出雲大社に祀られているオオクニヌシとその祖先スサノオの神話の物語。
オオクニヌシはどのようにして出雲の国を統治したのだろうか。
若いころオオナムチと呼ばれていたオオクニヌシは、兄弟から命を狙われ、自らの祖先スサノオのもとへと向かう。
現代に通じるスサノオの気持ちは?嫁ぐ娘への気持も描かれた神話について・・・
浅野「現代の花嫁の父、本当に父親としては娘を人にやるときには立派な人にもらってもらいたい、幸せになってもらいたい。
これは現代でもっとも皆分りやすい気持ちではないか。」

よみ語り『義父が与えた最後の試練』[脚本:阿村礼子]
さて年月は流れ、今は地底の国に暮しているスサノオノミコトのもとに、オオナムチという若者が訪ねてきた。
娘のスセリヒメと恋に落ちたオオナムチにスサノオは次々と過酷な試練を与える。
それは娘の夫としてふさわしいかどうかを見極めたいという、父としての重いからだったが、2人には辛い仕打ちとしか映らなかった。
父と娘、そしてその夫の間で交錯する思惑や愛情、せつなさを描いたお話し。
スサノオが根の堅州国という地底の国を統治している時、地上の国から逃げ込んできた1人の若者がいた。
スサノオの6代目の子孫で、オオナムチという。
オオナムチはのtのオオクニヌシの神を名のり、地上の国づくりに多大な功績を残す神様。
オオナムチにはたくさんの兄がいて、しかし兄達は一番末のオオナムチをいじめ、ついに死に追いやるような酷い目に合わせる。
それを案じた母は、オオナムチを奇異の国に逃がしたが、兄達は執拗に追いかけてきた。
そこでオオナムチは祖先のスサノオを頼って地底の国まで逃げてきた。
さあてようやくたどり着いたオオナムチを神殿の入り口に出迎えたのはスサノオの娘・スセリヒメだった。
姫を一目見たオオナムチは、何という情熱的な瞳だ、その瞳に射すくめられて身動きができなかった。
これまで女性の方からあれほど熱い視線を向けられたことなどなかった。
女性というものは皆自分の想いをひた隠し、男から行動を起こすのを待っているものだと思った。
私は幼いころから臆病で、自分の一歩を踏み出すことができなかった。
いつも大勢の兄弟達の後ろに隠れて、自分の匂いを隠すよう努めていた。
そしてそんな男らしくない自分をさいなんでいた。
オオナムチ、あなたはそのままでいればいいのよ、ただ1人そう言って抱きしめてくれたのは母だった。
スセリヒメはその母の面立ちに似ていた。
彼女に惹かれたのも、母への思慕が重なったせいかもしれない。
あなた様のお名前は?
私はスサノオノミコトにお目にかかるため、地上の国から来たオオナムチと言います。
私達は一言かわしただけで、たちまち恋に落ちて、互いを求めあい、その場で夫婦の契りを結んだ。
私を訪ねて地上から若者がやってきたろう、いまどき1人でこんな所へ来るなど、ろくな者ではあるまい。
まさか地上で追放の身になって逃げてきた乱暴者ではないだろうな。
気になるのは娘が麗しい男性と言ったことだ。
見れば目の前の娘の頬に、ほんのりとさした明かり、濡れたようにうるんでいる瞳・・・
まるで恋でもしたようではないか・・・
いったいどんな男が娘を惑わせているのだ。
私は神殿の門へと急いだ。
スセリヒメが後ろから小走りについてくる。
門前でこちらをうかがっていた男は私の子孫の1人だった。
なんだ、葦原醜男(葦原色許男神 しはらしこを)ではないか。
私はそいういうと、スセリヒメが言葉をはさんだ。
お父様、この型はオオナムチ様とおっしゃるのです。
確かにそんな名前も持っていた。
もっとも他の名前で呼ばれていたことも知っている。
しかしこの若造には“ただのぶおとこ”という意味の葦原醜男(葦原色許男神 あしはらしこを)で十分だ。
私はオオナムチが兄達から逃げているのは知っていた。
もしここに来ればかくまってやるつもりもあった。
しかし娘がこの男に向ける視線のあつさはなんだ、まさかもう契りを結んだとでもいうのか。
許さん、断じて許さんぞ


オオナムチはスサノオから死んでしまってもおかしくないような3つの試練を与えられたが、愛するスセリヒメの力でその試練を無事に乗り越え、2人で逃げ出す。
オオナムチを娘の夫として認めるつもりになったスサノオは、はなむけの言葉を送ろうと2人を追いかける。

あの2人はなんと早まったことを・・・
私とてかわいい娘の気持ちが分らぬわけではない。
ただ宝のように大事な娘を託すのだ。
せめて本当に任せられる相手かどうか確かめたかった。
そして、とにもかくにも私が与えた市江rんに、オオナムチは耐えた。
今は娘の幸せを祈るばかり。
だから最後に父として、夫になるオオナムチに言葉を手向けて2人を送り出したいのだ。
あ〜走らねば、もっと速く・・・
2人が地上の国に行ってしまう前に追い付かなければ、二度とこの気持を伝えられない。
私達は暗闇の中をひた走り、ようやく黄泉比良坂に辿りつきました。
ここまでくれば安心だ、少し休もう。
オオナムチ様はフラフラする私の体を支えて岩の上に座らせ、はれ上がった私の足をさすって下さいました。
オオナムチ様の大きな背中を見ているうち、ふいにその姿が父に重なって、思いがけず涙がこぼれました。
どうした、私と行くのが辛いのか。
辛いわけなどありません、愛する人と一緒になれることの、これ以上の喜びがあるでしょうか。
例え二度とこの国に戻れなくても、父と会えなくても、オオナムチ様と一緒なら、幸せになれる自身があります。
その気持ちは今も、一点の曇りなく、迷うところなどないというのになぜ、こんなに切ない涙があふれるのでしょう。
オーイオーイ遠くから声が聞こえた。
追手がやってきたのかもしれない。
2人とも、はじかれたように立ちあがった。
オオナムチ、待つのだ。
それは紛れもなく父の声だった。
私達が振り向いたのが分ったのでしょう。
父はその場にとどまり、呼びかけてきた。
オオナムチ、よく聞け、地上に戻ったら、今お前が持っている太刀と弓矢で兄たちをやっつけてやれ。
お前は地上の国を治め、偉大なる統治者となるのだ。
オオナムチという名を捨て、オオクニヌシの神と名乗れ。
そして出雲の地に立派な神殿を建て、わが娘を正妻として迎え、生涯大事に守るのだぞ。
娘を悲しませるようなことがあれば、私が許さんからな。
決して約束を違えるなよ、わかったな。
そして最後に、絞り出すように私に言いました。
スセリヒメ、幸せになるのだ。
お父様・・・言いかけましたが胸が詰まって声になりません。
変わってオオナムチ様が答えました。
今の言葉、しかと胸に刻みました。
私は立派に地上の国を治めてみせます。
姫は必ず私が幸せに致します。
父は大きくうなずくと、踵を返しゆっくりと戻ってゆきました。
オオナムチ様は今、私の隣で勇ましくお立ちになっています。
そのお姿は自信にあふれ、とても眩しく見えます。
オオナムチ様は私の手をとって、強く力を込めました。
この手は決して放さない、私はこの型を生きてゆく、たとえ私達にどんな困難が降りかかろうと、強く握りあったこの手があれば、なんでも乗り越えられる気がします。
これから向かう地上の国には、根堅州国にあった永遠や絶対はありません。
そこには不安や絶望、嫉妬や憎悪、また死の恐怖が渦巻いているそうです。
でもその代わり、明日につながる玉手箱があるのです。
あ〜オオナムチ様、いえオオクニヌシノカミ、さあ、私達の国に参りましょう。
行こう!そして2人で豊かな国を造ろう。
私達のゆく手に、希望の光で眩いばかりに輝いている地上の国が見えます。

古事記の神話に共通したテーマとは?
浅野「根底は人間が不完全であるということがテーマだと思う。
天上界のトップの方たちは、どの弱さを見せて、弱さの中に強さがるということをキチンと言ってくれる。
それは折れない強さ。
日本と言うのは、この輪の中、いつでも転がれるから傷つかない、折れないみたいな、そういう強さがある。
これは民族なのかな・・・
それが日本人の非常にしなやかな、ダイナミックな民族性ではないかと思う。」

神々の国・出雲の謎 巨大神殿の復元
島根県には、数々の謎がある。
その1つは弥生時代に出土した土器に描かれたもの。

▲線刻絵画土器(弥生時代中期 鳥取稲吉角田遺跡出土)
高層建築を思わせる高床式建物、はたしてこのような巨大神殿は本当にあったのだろうか。
平安時代の貴族の教科書ともいえる書物『口遊(くちずさみ)』にはこう記されていた。
“雲太 和二 京三”
京三、すなわち日本で3番目に高いのは平安宮大極殿
和二、二番目に高いのは、およそ45mの高さを誇る東大寺大仏殿
そして雲太、日本で一番高いのは、出雲神殿と謳われていたのだ。
出雲の神殿は東大寺の大仏殿よりも高く、48mもの高さがあったと言われていた。
でも巨大神殿には欠くことのできないものがある。
それは柱となる大きな樹木、巨大神殿を可能にする巨木。
はたしてそれは存在するのだろうか。

三瓶小豆原埋没林公園、建物の地下部分に巨大神殿の秘密を解く糸口が隠されている。
太古の森にかつて生育していた巨木が発見されたのだ。
10万年前から活動していた火山、三瓶山の噴火によって地下に埋もれ、そのままの姿で残っていたのだ。

巨木が初めて見つかったのは1983年、その後の調査で新たに直径2m、高さ13mもの大きな杉が4000年前と同じ状態で地中から発見された。
地下に埋もれていたこの巨木の出現で、にわかに出雲の巨大神殿の可能性は高くなった。
はるか昔から存在していたという事実、それは巨大神殿の存在を裏付ける証拠に違いない。

さらに出雲大社に伝わるかつての出雲大社の設計図、金輪御造営差図を見ると、大きな3本の柱を金輪で束ね、1つの柱にしていたことが分る。
しかしこれだけでは空想の域を出てはいなかった。
ところがそれを実証するものが発見された。
鎌倉時代の出雲大社の、本殿の柱が、まとまった形で出土した。

宇豆柱:直径1.3m、これが3本合わさると、直径およそ3mもの柱になるのだ。
これを9本用いた巨大神殿とは?
蠡舂啻函過去に巨大神殿の可能性について研究したチームがある。

勝山里美(大林組 CRS室副部長)「出雲大社に関して言うと、8丈(約24m)の高さの建物があったわけだが、出雲大社の社伝によると、16丈(約48m)の高さだった。
そんなものがあの時代にできたのだろうかという疑問があり、そこから建設会社として、その可能性を確認したかった。
実際にどうやって建てたのだろうとか、構造計算、シニュレーションをやると、可能だったのではないだろうかと・・・」

この設計図を作成するために、最新の科学で様々なデータを検証したという。
そこでさらにそのデータから、巨大神殿を再現する試みを行った。

▲出雲大社48mのコンピューターグラフィックス
いったいなぜ、このような大きな神殿を造る必要があったのだろうか。
新谷「仏教に対抗する、巨大な寺院建築に対抗する意識があった可能性があるように思う。
なぜ大きかったのかというと、日本を、ヤマトの王権を、宗教的に護る使命。」
出雲大社はヤマト王権の守り神だったのだ。
さらにこれだけではない言い伝えが出雲大社にあるという。
綿田剛志(島根県神社庁参事)「こちらの方に伝えられている古記録や伝承によると、今の倍の16丈、中古にはあったと言われる。
さらにさかのぼる上古、その倍の32丈あったと言われている。
今のメートルに換算すると、約96mを超えるような・・・
こうなるとまさに、高層ビルを仰ぐかのような壮大な神殿が存在していたと言われている。」

出雲に伝わる、高さ96mもの神殿、それは出雲の力でヤマト王権を護る象徴だった。
その巨大な神殿には、この国が平和で争いのない国であってほしいという願いも込められていたのではないだろうか。
私達日本人が受け継ぐ和の心、お互いが支え合い、助け合うことの大切さを、出雲の国は教えてくれる。

時を経て奈良、平城京の時代、ヤマト王権はその支配体制を着実に固めてゆく。
桓武天皇は遷都を重ね、律令制度によって国を統治する。
さらに中国から日本にもたらされていた仏教を、国家安定の手段として機能させようとした。
その仏教の中でも当時最先端の教えであった密教までをも取り込み、国を護ろうとした。

さらに中国にはない日本独自の守護神を加える。
それが伊勢神宮、そして出雲大社だった。
神々から始まる歴史、そこには人間同士の絆や希望が・・・
私達日本人の心に刻まれているのだ。
日本の神話、それは私達の心の支えとして未来へと歩む勇気を与えてくれる。

| poyo | JAPAN | comments(10) | trackbacks(0) | - |
スポンサーサイト
| スポンサードリンク | - | - | - | - |
pippi (2012/09/07 9:53 PM)
知らなかった話も多かったなぁ。私は神楽が大好きなので、もう少し神話を勉強して見ようと言う気になりました。

地元の御嶽流神楽の動画です。豊後神楽の方が、同じ岩戸開きやら八岐大蛇退治を、高千穂や出雲の神楽と比べると動きが激しくて、そこがとても良いと思ってます。

http://youtu.be/xAo788qQHkY

写真は、出雲神楽なのでしょうね?面とか衣装とかは似ているので判断しにくいですね。
poyo (2012/09/12 9:38 PM)
pippiさん、日本人なら皆が語れるようになるといいなと思います。日本創造の神話を・・・

御嶽流神楽、現代の若者が見ても、「かっこいい!」って言うだろうね。
須賀の残照 (2012/09/16 9:22 PM)
 今度、わが国で最も神聖な地、安来で語部を行うみたいですね。国生みの神様も出産で流してしまった親の気持ちも、悲しみさえも癒され、出産により絶命した女神の行いに母よ自分を責めないでという思いが木霊しそうな気がします。
poyo (2012/09/17 8:41 AM)
須賀の残照さん、コメントありがとうございます。
私は41歳ですが、いまだ結婚しておらず、子供を産んだこともないので、母親の気持ちがよくわかりません。
ただ自分の母親の愛情は感じています。
母も子供っぽいところがある人で、一緒に旅をしたりするときは、私がリーダーとなります。
でも母にとっては私はまだ子供、いつも心配をかけています。
嶋大臣 (2012/12/30 2:32 PM)
 安来は古事記では根之堅洲国というところでスサノオの活躍地ですね。正確には十神島根之堅洲国となりますが長いので古事記では省略されています。
 この省略された、十神島というのは出雲国風土記では砥神島という陸繋島であったであろう現在の安来市の十神山です。この島は安来市のシンボルと見いわれ、きれいな円錐形をした小山ですが、古代の人たちの崇敬の島だったらしいです。この十神というのはイザナギ・イザナミを含むそれ以前の時代を、
神世といってその後の神代の時代と分けて表現されますが、神世七代には十の神がおりそれからつけられた神聖な島だったのだと思われます。ここがオノゴロ(淤能碁呂)島と考えると、近くにイザナミの神陵地もあることから合理的なのではと思われます。
poyo (2013/01/06 12:14 PM)
嶋大臣さん、とても興味深い話を教えてくださり、ありがとうございます。
自然が造った地の形などから、神聖な地だと想像した古代の人々の想像力と、神を崇拝する気持ちは現代の私達にはないことですね。

そんな古代の人の遺構を追い、それらのものから学ぼうとすることは素晴らしいと思います。
天文学生 (2016/02/09 8:34 PM)
 松江市の八雲大社ってところも興味深い。
清水寺ファン (2016/05/09 10:26 PM)
 ひょっとして蘇我氏の邸宅の大きな池というのは中海だったかもしれませんね。
自動車業界 (2016/10/11 10:31 PM)
 島根県安来市は十神アリーナ騒動のころから着目しておりました。
隣のトトロ(鳥取) (2017/04/30 2:58 PM)
 私も行ったことがあります。島根県安来市です。素敵な場所ですよね。
清水寺、足立美術館や和鋼博物館にもいきました。たたら製鉄が盛んだったらしいですね。あと和鋼博物館から見える
十神山、なんかジブリの天空の城ラピュタを思い起こすような、かわいい小山が綺麗でした。地下に続く秘密の無限回廊を降りると、巨大結晶の飛行石があったりして。夜なんかライトアップすればあらたな観光地になりそう。









url: http://poyoland.jugem.jp/trackback/741