ドキュメント鑑賞☆自然信仰を取り戻せ!

テレビでドキュメントを見るのが好き!
1回見ただけでは忘れてしまいそうなので、ここにメモします。
地球環境を改善し、自然に感謝する心を皆で共有してゆきたいです。
<< July 2015 | 1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12 13 14 15 16 17 18 19 20 21 22 23 24 25 26 27 28 29 30 31 >>
LINKS
カスタム検索
RECOMMEND
PROFILE
SEARCH
スポンサーサイト

一定期間更新がないため広告を表示しています

| スポンサードリンク | - | - | - | - |
幻解!超常ファイル〜失われた大陸・アトランティス
1882年イギリスの首相が驚くべき提案をした。
ウィリアム・グラッドストン(当時のイギリス首相)「政府は南大西洋に軍艦を派遣、アトランティス大陸の調査を行うべきだ。」
世界にかんたる大英帝国の首相が国家をあげて探し出そうとしたアトランティス、世界の文明の原点と言われる大陸とは、いったい何なのか?
伝説は紀元前10000年ごろまで遡る。
アトランティス、それはかつて大西洋にあったと伝えられる島。

その最大の特徴は、巨大な丸い運河が三重に連なり完璧に設計された都市。
港は他の大陸や島々から訪れた船で満ち溢れ、昼夜を問わず多くの民でにぎわっていた。
石壁は銅や錫でびっしりと覆われ、中央都市の壁は、オリハルコンという金の次に希少価値が高い幻の金属が炎のように燦然と輝いていた。
島全体の山々の大きさや美しさは、あらゆる山を凌駕し、人々から称賛されていた。
自然にも恵まれ、あらゆる植物や農作物も豊富、野生動物の中にはゾウまでいたという。
アトランティスを最初に治めたのは、海の神ポセイドン。
そして時が絶つとその子孫たちに引き継がれた。
「神の性質を持つ彼らは、黄金や財産への欲望を抑え、友愛や徳を大事にする生き方で穏やかに島を治めた。」
(古代ギリシャの書『クリティアス』)
しかしその行く末は、悲しむべきものだった。

「アトランティスの民に宿っていた神の性質は、代を重ねるにつれて人間の性質に変わり、大切な得を失っていった。
よこしまな欲望を満足させ、その力をほしいままにすることで、自分たちは栄光と祝福の中にあると思い込んでいた。」
そのあげくアトランティスは、軍勢を出して他の国々を支配しようと戦争を始めたのだ。
アトランティスは堕落した・・・全能の神ゼウスは怒り罰を下す。
恐るべき天変地異が襲い掛かった。
そして一昼夜の間にアトランティスは海深くに姿を消した。
幻の国アトランティスは、果たして実在したのか?

この話は紀元前4世紀、古代ギリシャ・アテナイ、大哲学者プラトンが書き残したもの。
彼は自らの先祖がエジプトの神官から聞いた伝承として、古の繁栄に満ちたアトランティスの様子を描いた。
「何とも不思議な話ではあるが、しかし紛れもない真実の話である。」
プラトンが真実だと語るこの話、やはりアトランティスは本当なのか。
西洋文学研究家・庄子大亮「本当の話、真実だというのはプラトンの哲学的思想において、あるべき国の姿や、なってはいけない国の姿を話していることについて、これは本当のことだと・・・
歴史的事実という文脈で言っているわけではない。」

プラトンが生きた時代彼の故郷アテナイは彼が語るアトランティスとよく似た状態にあった。
そんな人々のありさまをプラトンは嘆いていた。
「アテナイ人はかつては慎みがあって法律をよく守り友愛の心を持っていた。
しかし今や思い上がったあげく法に服従せず神々までも軽視してしまうようになった。」
プラトンにとってアトランティスは、まさに故郷アテナイを強く意識して描いた国だったのだ。
プラトンが語ったアトランティス物語、それは理想的な国家が欲望にまみれ滅んでゆくことへの警告だったのか。

やがて2000年以上を経て、この物語は思わぬ方向へと動き出す。
1882年アメリカ、1冊の本『アトランティス〜大洪水前の世界』が欧米社会にアトランティスブームを巻き起こした。
「『すべての道はローマに通ず』と言われるように、すべての文明はアトランティスに通ず」

アトランティスは世界の文明の源だ、画期的な説を掲げたのはミネソタ州元副知事のイグネイシャス・ドネリー、彼が自説のヒントとしたのはエジプトと中南米、大西洋を隔てた2つの古代文明に共通する遺物や文化だった。
ピラミッドはどちらも四角錐を基本に巨大な石積みで造られている。

ミイラは死者の魂が復活すると信じた特殊な埋葬、太陽を神として崇拝する信仰・・・
大西洋を挟んで何千キロも離れた2つの地域で、なぜこれほどそっくりな特徴がみられるのか。
「大西洋の両側に全く同じ芸術や科学、信仰、伝統が存在している。
その理由をそれぞれの大陸の人々が別々に、偶然、同じ文化に到達したからだというのか?
そんな考えはばかげている。」
現代の研究では、それぞれ別々に発展した文明だと分かっている。
しかしドネリーは当時の知見をもとに、どちらもアトランティスに由来するものだと主張したのだ。
さらにドネリーはアトランティスの物語にキリスト教の旧約聖書や世界各地の神話との共通性を見つけだす。
理想郷のような島の様子はエデンの園をはじめとする各地の楽園伝説を、神の怒りに触れて水没するところは、ノアの方舟を思い起こさせる。

これらはアトランティス滅亡から生き延びた人々が世界中に散らばり、その記憶と文明を伝えたものではないか。
ドネリーのアトランティスのイメージは、プラトンのものからは変わっていった。
「アトランティスは現代の私たちとほぼ同等の高度な文明を享受していた。
蒸気機関や電気まではなかったが、ほぼすべての芸術や科学の生みの親であり、最初の文明人である。
この失われた人々は我々の祖先であり、あらゆる人種や言語、思想、信仰は彼らに通ずるのだ。」
ドネリーの本は欧米で大ヒットし、イギリスの首相がアトランティスの調査を求める事態まで招いた。

考古学者・ケネス・フィーダー「世界の文明はそれぞれの先住民がみずから発展させてきたもの。
そこに外部の助けは必要なかった。
そして西洋の人々は先住民たちがすばらしい創造性と能力を持っていることを認めようとしなかった。
アトランティス伝説はこういった問題もはらんでいる。」
プラトンが教訓として描いたアトランティスは、ドネリーによって世界の文明発祥地へと変貌、さらに20世紀思いもよらぬ巨大な幻想へと拡大してゆく。
アトランティスの他にも「失われた大陸」と呼ばれる存在がある。
大西洋にはアトランティス、太平洋にはムー大陸、そしてインド洋にはレムリア大陸などが昔から噂されてきた。
でも実際の大陸はプレートという厚さ100kmもの硬い岩盤の上にある。
もし過去に巨大な大陸が存在していたら、その痕跡はプレートに残っているはずだが、これまでの調査では確認されていない。
そうしたことから、幻の大陸の存在は、完全に否定されている。

アトランティス伝説が世界の歴史に大きな影響を与えてゆく。
19世紀後半イギリス、国が近代産業で繁栄する一方で、人々の心は大きく揺らいでいた。
きっかけは1859年チャールズ・ダーウィンが発表した進化論、人間は動物から進化したもので、動物の1つに過ぎない。
こうした科学的思想が大きな衝撃を与えていた。
それまで長年キリスト教社会の人々は、人間は神に似せて造られた特別な存在と信じて生きてきた。
その価値観が崩れたのだ。
私たち人間とは何者か・・・人々は納得のゆく新たな可能性を模索していた。
そこにアトランティス伝説を取り入れた新たな思想を説く人物が現れた。
ロシア出身のヘレナ・P・ブラヴァツキー、キリスト教やインド哲学、古代エジプトの宗教などに進化論まで取り入れ、神智学という独自の考えを提唱した。
それは人間の霊は生まれ変わりながら進化を繰り返してゆくという考え方だ。
まず最初の人類は神聖なる土地に肉体を持たない霊的な存在として登場。(第1根幹人種)
やがて物質化した肉体を持つ存在に進化、その霊の中の優れたものが進化し、初めて人間の肉体を持ったのがアトランティス人だという。
アトランティス人はテレパシーで意思の疎通を行い、高度な科学と芸術を発展させた。
そしてアトランティスに巨大な都市を築き繁栄していった。
ところがそのアトランティスも滅亡、災難を逃れた優れたアトランティス人が、世界各地に散らばり、人類の指導者として君臨、その地に文明をもたらしたという。
そして進化の次の段階として現れたのがアーリア人(第5根幹人種)、当時ヨーロッパ人の祖先として考えられていた人々。
ブラヴァツキーはこのアーリア人こそ、アトランティス人の優れたところを引き継いだ支配種族であるとした。
やがて人は、次の段階では肉体を離れ、霊体へと進化、さらなる未来では、神のような存在に進化するという。
進化論とアトランティスを取り込んだブラヴァツキー、アトランティスを現在の人間の起源と位置づけながら、人類の未来までも描いたこの説は、欧米で大勢の支持者を集めた。

なぜ、このような神秘的な説を人々は求めたのか。
当時は人々の価値観が大きく揺らいでいた時代だった点を専門家は指摘する。
「キリスト教的な歴史観であるとか創造説というものが説得力を持たなかった段階で人々がどういう歴史観、死生観にのっとって自分の人生の目標を見つけていったらいいのかという問いに直面したとき、我々はこういう仕方で今以上に進化・発展できるという前向きで一見科学的なビジョンを与えた。」
やがてブラヴァツキーの説は同時代の学者たちの研究と交わりながら発展、アトランティス人とその後継者アーリア人こそ優れた存在とする考えは広まっていった。

その思想と意外な関係があるのが映画『インディージョーンズ〜レイダース失われたアーク(聖櫃)』1930年頃エジプトヤインド、中南米などを舞台に古代の伝説の遺物を探し求める冒険アクション。
謎の力を秘めた遺物をめぐり、主人公はナチスドイツなどと激しい争奪戦を繰り広げる。
実はこの設定、まるっきりの作り話ではない。
ナチスドイツは本当に古代の伝説の遺物を探していた。

アドルフ・ヒトラー率いるドイツの独裁制とナチ党は、自らの権力の正統性を古代の歴史に求めていた。
自分たちドイツ人こそ人類の上に立つ優れたリーダー・アーリア人の末裔だというのだ。
「我々が今日持っている人類文化 芸術 科学 および技術の成果は、ほとんどアーリア人種が創造したものである。」
こうした思想を強く持ったナチ党幹部のハインリヒ・ヒムラー、特別な研究機関・ドイツ古代遺産協会アーネンエルベを組織、アーリア人に関する調査を世界中に広げてゆく。
アーネンエルベはドイツ人の祖先の古代文字ルーン文字に似たシンボルを持つ遺跡を世界中で探索、優れた文明につながる証拠を見つけ出そうとする。
特にアトランティス人とアーリア人のつながりが証明できる場所として注目したのが大西洋のカナリア諸島、この地の伝承では、金髪 長身 白い肌の先住民族がいたという。
事実、髪が金色になったミイラが発見され、その真偽が議論されていた。

アーネンエルベはこうしたミイラをアトランティス人が白人だったことの証拠であり、アーリア人につながるものだと主張した。
文明の指導者アトランティス人の伝説と現実社会の権力が結びついた時、人間を優劣で分ける時代が始まる。
ヒムラーは自らが率いる親衛隊をアーリア人の純潔性を守るエリート部隊とすべく、長身で金髪、青い目を持つ隊員を集めてゆく。
その方針についてヒムラーは、人間を植物に例えてこう語っている。

「品種改良を行う栽培家を同じだ。
立派な品種も雑草と交じると質が落ちる。
我々はまず質の良い植物を選別する。
それから我々た使えないと思う者 つまり雑草を除去するのだ。」
お前は劣っている、そう決めつけた人々への弾圧、排除、ユダヤ人をはじめとする人々は町を追われ、強制収容所へと送られた。
そして犠牲者数百万にも及ぶ大虐殺へとつながっていった。

失われた大陸、超古代文明アトランティス、古に理想を求める人々の強い願いは、時に人間の心の闇までも浮かび上がらせることがあるのだ。
| poyo | 古代・歴史 | comments(0) | trackbacks(0) | - |