ドキュメント鑑賞☆自然信仰を取り戻せ!

テレビでドキュメントを見るのが好き!
1回見ただけでは忘れてしまいそうなので、ここにメモします。
地球環境を改善し、自然に感謝する心を皆で共有してゆきたいです。
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人体から学ぶ地球の歴史
およそ45億年の時を経た現在の地球、その過去は謎に満ちている。
地球はどのように、なぜ変化を遂げたのだろうか。
私たちはその答えを探し続けてきた。
渓谷、砂漠、火山、断層・・・
だが地球の謎に満ちた物語を解き明かすカギは、私たちの中に潜んでいるのかもしれない。
私たち人間の骨の形、奇妙な行動、これらすべてが謎を解く手がかりとなる。
●HOW THE EARTH●Taught Us To Throw なぜ人は投げることができるのか
アメリカンフットボールは19世紀の終わりごろから発達し、今では多くのアメリカ人が休日のキャッチボールを楽しんでいる。
親子のキャッチボールという日常の風景から、何百万人ものファンが見守る中狙った場所に正確に投げる能力が勝負を分ける試合まで、環境は違えどこの投げるという技術は人間だけが持っている。
人類学者のベンジャミン・キャンベル博士によると、この能力は私たちの体と先史時代をつなぐカギだという。
「クゥオーターバックが遠くにボールを投げるのと似たような動作は昔からあった。
少なくとも40万年前にはすでに存在していただろう?」
もし博士が正しければ、正確に投げる能力が人間の体に備わった原因は遠い過去に存在していることになる。
アメフト会のスター「試合でボールを投げるときに気を付けることは、タイミングや正確さ。
数cmでも目標からずれたところに投げてしまったらディフェンダーにカットインされてタッチダウンに持ち込まれてしまう。」
正確に投げるためには骨と関節の角度、投げるときの力加減、ボールを離すタイミングのすべてがそろわなければならない。
1つでもかければミスにつながる。
しかし人間であればある程度正確に投げることができる。
キャンベル博士「アメフトのボールを投げる動作と槍を投げる動作は似ている。
少なくとも40万年前には人間は槍を投げていた。」
地球がある転換点を迎えた時、人はこの投げるという動作を身に着けた。
260万年前、地球は今にも変化しようとしていた。
大陸が北半球に向かって移動を開始し、それに伴って海流が変わり始めると、一気に地球の気候が変動した。
それ以降地球は何百万年の長きにわたる氷河期に突入する。
氷河期を生きることがどれほど困難なことなのか、現代に生きる私たちには想像すらできない。
だがアフリカ大陸に住んでいた私たち祖先の敵は、氷ではなく、乾燥やそれに伴う森林火災だった。
当時地球上の水の大部分は氷床に閉じ込められていた。
砂漠は広がり、湖は干上がり、森林は焼け、そして食料は突如として消えた。
私たちの祖先は狩りの腕を上げなければならなかった。
鋭い顎や爪を持つ動物たちは直接獲物を仕留めることができるが、人間は遠くから倒さなければならない。
5〜6m離れた場所から獲物に向かって槍を投げ仕留める、こうしたやり方が効果的なのは一目瞭然、命を守るために。
私たちは当たり前のように的に物をあてているが、この能力は人類固有のもの。
260万年前、氷河期は人間を進化させた。
正確に投げるための運動能力が体と脳を発達させたのだ。
私たちの体には地球の歴史の謎を解き明かす手掛かりが他にもある。
●HOW THE EARTH●Gave Us Hiccups なぜ人はしゃっくりをするのか
しゃっくりはこの世に生まれる前から人間に備わっている。
胎児の時子宮で呼吸を練習していたのかもしれない。
しゃっくりが起きると突然筋肉が収縮し一気に空気を吸い込む。
「ひっく」という音は空気の通り道の蓋が閉じることで鳴る。
バルブの役割を果たしている喉頭蓋と呼ばれる喉の弁が閉じ、それによって呼吸が止まることで、しゃっくりの音が出る。
ではしゃっくりのルーツはどこにあるのか。
そのカギは古代魚が握っている。
オタマジャクシにも同じことが言えるのだが、彼らの特徴は、あるときはエラ呼吸をし、ある時は肺呼吸をする点。
水中で呼吸するときは弁を閉じて水が肺に入らないようにしている。
しゃっくりは人間と異なる種をつなぐ接点であり、ある特異な時代へとつながる接点でもあった。
ある特異な時代、それは私たちが水中と陸上で呼吸をしていたころ、魚だった時代。
4億年前の地球は、現在の地球からは想像もできない姿をしていた。
その頃地球には2つの大きな大陸があった。
北には現在の北米とヨーロッパの一部、グリーンランドからなる塊、南にはそれ以外の部分からなる塊があった。
その2つの大陸以外は全て水に覆われていた。
何十億年もの間、全ての生命は水に宿り、陸は実に殺風景だった。
4億年前の地球は荒れ果て、一面砂や泥で覆われていた不毛の地だった。
だが再び地球は姿を変える。
突然植物が生え、地球は緑であふれた。
そして蜘蛛、サソリ、ヤスデなどが陸の上に住み始めた。
植物や昆虫などに続き、いよいよ我々の祖先・魚が陸に上がる時がきた。
しかしそのためには水陸両方で呼吸しなければならない。
しゃっくりは古代の水の世界から陸の世界へと移行したときの名残なのだ。
私たちの体にはこの時代へとつながる手がかりがもう1つある。
腕、手首、肩の骨と筋肉を使い、体の重みを抵抗として、レバーのように自分の体を持ち上げる・・腕立て伏せ。
この動きから地球の歴史にまつわるどのような謎が明らかになるのだろうか。
古生物学者のテッド・デシュラー博士によると、その答えはエルズミア島にあるという。
カナダの北限にある凍てつく荒れ果てた島だ。
博士は凍ったまま時が止まったこの島で進化に関わるきわめて貴重なものの発見に成功した。
キクターリクと呼ばれる古代魚である。
この魚には未発達な腕がついていた。
肩や肘、手首もあった。
人間の直接的な祖先と密接な関係があるはず。
人間を含め現存するすべての動物には、キクターリクと同じような原始的な骨の構造がなにかしらの形で残っている。
コウモリの羽と人間の腕の構造は全く同じ、コウモリはその構造を飛ぶために使っているが、人間はそれとは違う用途で使っている。
腕立て伏せで使っている骨は基本的にはキクターリクの骨と同じ。
3億7000年前のエルズミア島は今の姿とはだいぶ違う。
赤道からさほど離れていない場所にあって、現在の北米やグリーンランド、ヨーロッパからなる大陸の一部だった。
小川や氾濫圏もあった。
当時小川に生息していたキクターリクには人間でいう腕立て伏せの能力があった。
つまり水から陸へと上がることができた。
水中の生活から陸上の生活へ。
この地球の転換期に私たちの授けれた能力こそがシャックリ、そして腕立て伏せ。

私たちの身体に残る古代の水の世界へとつながる手がかりはこれだけではない。
子宮内で手を形成する遺伝子と魚のヒレを形成する遺伝子は、ほぼ一致している。
バランス機能をつかさどる内耳リンパ液は、マスが水流を進むための脳に相当する。
また膝関節が痛むのは、古代魚の手足を二足歩行に適用させたときの歪。
水から陸への移動によって、私たちの運命は変わった。
だが地球最後の変化はまだ先の話である。
地球を回る軌道に乗って、5億年分の変化を上から見ることができたら、大陸が常に動いていることが分かる。
氷床が現れては消える、地球は常に変化している。
ある地点から地球の歴史を早送りで見てみると劇的な変化が見て取れる。
巨大な氷の塊が地球を覆い、山が形成され、空に向かって隆起し、火山が噴火し、噴出した火山灰が空一面を黒く覆う。
あっという間の出来事。
手がかりは私たちの中にある。
皮膚に浮き出る鳥肌、不快感による感情の急変、デジャブという不思議な感覚、ゲームで遊ぶ時の興奮、こうした手がかりと地球の歴史をたどっていた先には、いかに地球が人間を作り上げたか、その壮大な物語がまっている。

もっとも深い渓谷から高くそびえる山脈に至るまで、1つ明確な事実がある。
地球は劇的な変化を遂げてきたということだ。
この地球の劇的な変化への手がかりは、私たち人間の中にある。
例えば史上最大規模の大量絶滅の謎を解き明かすヒントが人間の耳に隠されていた。
●HOW THE EARTH●Sharpened Our Hearing なぜ人の聴覚は発達したのか
運転中のあなたはラジオから流れるお気に入りの曲を聴いている。
あなたの耳には低周波のリズム音だけでなく高周波の歌声も届いている。
幅広い音域を聞き分けられるのは、耳の中の3つの小さな骨のおかげ。
人間の骨の中で一番小さく18mmに満たない。

この3つの骨は鼓膜から伝わった音を増幅させながら、さらに耳の奥へと伝えてゆく。
私たちのするどい聴覚はこのおかげなのだ。
この3つの骨が私たちをある時代へとつないでいる。
奇妙な生物が地上を闊歩していた時代だ。
2億6,000万年前、人間はおろか恐竜さえ生まれていない遠い昔、超大陸パンげアを支配していたのは古代の爬虫類たちだった。
その1つがギメトロドン、剃刀のように尖った歯、背中に生えた長い帆、一見恐竜のようだが、実はティラノサウルスより人間の方が共通点は多い。

テキサス州北部の人里離れた牧場で古生物学者ロバート・バッカー博士とその助手たちはギメトロドンの骨の一部を発見した。
その骨はウィリーと名付けられる。
もともと耳の小骨はギメトロドンに代表するバンリュウ類の顎の骨の一部だった。
その後哺乳類へと進化する過程で今のような形に変化していった。
ここで発見されたのはウィリーだけではなかった。
地球上の生命の中で最大級の試練となったある事件、大量絶滅の証拠がでてきたのだ。
後に大絶滅と呼ばれるようになったこの悲惨な大量絶滅が起きたのはギメトロドンの時代が終わった直後だった。
2億5000万年前、陸上の生物の70%、水中の生物の95%が突然この世から消えた。
超大陸パンげアで火山が大爆発し、噴出した毒ガスによって窒息死した、というのが大量絶滅の有力な説。
辛くも生き延びたギメトロドンの仲間がやがて哺乳類へと進化する。
ギメトロドンの体や骨は、私たち人間へと確実に引き継がれている。
大絶滅を生き延びた爬虫類から私たちが引き継いだものはほかにもある。
体温を一定に保つ能力、様々な形の歯、呼吸と同時に咀嚼できる能力もその1つ。
だが大絶滅が最後の大量絶滅ではなかった。
地球規模の大量絶滅は少なくとも5回、平均して1億年に1どの割合で起きている。
一番近い大量絶滅は直接私たちへとつながっている。
その手掛かりは人間の皮膚の下に隠されていた。
●HOW THE EARTH●Gave Us Goosebumps なぜ人は鳥肌が立つのか
そのルーツは人間の体が毛でおおわれていた時代に遡る。
興奮したり恐ろしいと感じたりすると毛が逆立つ。
私たちが寒さや恐怖を感じると、立毛筋と呼ばれる小さな筋肉が収縮し、皮膚の毛を押し上げる。
かつては毛の中に熱を閉じ込め敵に自らを大きく見せるためのものだった。
今や私たちの祖先にあった体毛はなくなり、現象だけが残っている。

6500万年前、地球を1億年以上にわたって支配していたが恐竜、巣穴の中で生きていた私たちの祖先である小さな哺乳類は、恐竜に食い殺されないよう感知能力を駆使して生き延びていた。
再び世界は変化する。
比較的大きな小惑星が地球に衝突し、それによって生じた地球の変化が恐竜を絶滅に追い込んだと考えられる。
小惑星の衝突によって大量の熱が生じ、燃え盛る炎が地球の大部分を覆いつくした。
まさに灼熱地獄・・・
恐竜はそのほかの種と共に一瞬のうちにこの世から姿を消した。
だが私たちの小さな祖先は危うく難を逃れることができた。
進化の過程でたまたま小さな体をしていたおかげで、地面の下に隠れ、この危機を乗り越えることができた。
最後の大量絶滅を乗り越え、体毛、鳥肌といった哺乳類の特徴は人間へと引き継がれた。
●HOW THE EARTH●Jolted Us Awake なぜジャーキングは起きるのか
あなたは眠りに落ちてゆく。
瞼が重くなり、体温は下がり、今にも意識を失おうとしている。
すると突然身体が痙攣し、あなたは眠りから引き起こされる。
人が眠りに入ると筋肉は弛緩し始める。
能はこの状況を落下していると判断し、体制を立て直そうとして筋肉が痙攣する。
なぜ落下の感覚によって起こされるのだろうか。
数百年前、私たちは他の霊長類と同じように木の上で寝ていた。
落下の感覚はそこから来ているのだろう。
1500万年前、哺乳類は数えきれないほどの種に分かれ、その1つが霊長類へと進化した。
膨大な熱帯雨林がアフリカを覆い、人間の祖先である霊長類の寝床はその熱帯雨林の木の上にあった。
睡眠時の痙攣によって、木からの落下を防いでいたが、危険なのは落下だけではなかった。
真夜中に木から落ちるとその音で自分たちの存在が肉食動物に気づかれる。
食物連鎖の中で霊長類は食べられる側にいた、という事実が考古学的な物証によって明らかになっている。
私たちは狩りをする側にはいなかった。獲物として狙われる側にいたのだ。

●HOW THE EARTH●Relaxed Our Minds なぜ人はリラックスするのか
私たちは開放的な景観を好む。
心を落ち着かせる効果があるからだ。
筋肉を緩め、呼吸を穏やかにする化学物質が能から放出される。
なぜそうなるのか。
アフリカの風景が現代の私たちの心に焼き付いている可能性があるという。
実験、被験者に4枚の風景画を見てもらい、一番リラックスする絵を選んでもらう。
4枚の絵のモチーフは、一面に広がる砂漠、うっそうとしたジャングル、花咲なだらかな丘、そして雪に覆われた山。
同様の実験は世界中の様々なバックグラウンドを持つ人々に対し行われている。
何度やっても選ばれるのは開放的な景色だった。
ジャングルや島に住む人々もである。

「ここなら、寝そべっても大丈夫な気がする。安心感がある。」
「見通しがきくのがいいね。」
なだらかな風景が一番落ち着くというのは、当たり前というのかもしれない。
だが進化論的な説明づけは可能だ。
この光景が私たち祖先を敵から守っていたとしたらどうだろう。
見通しの良い場所であれば肉食動物が近づいてきても事前に逃げることができる。
安心感が生れるのは開放的な風景が生化学反応の引き金となるからだ。
脳内の神経伝達化学物質によって人は安心と感じる。
危険の回避は生物化学的な本能、危険を避けることで人は安心する。
その能力が私たちに備わっているのだ。
一方ある絵は正反対の反応を引き起こした。
丘と比べてジャングルに住みたくないと思ったのは、どうしてなのだろう?
「明らかに危険な感じがする。」
「安心感が全く伝わってこない。」
ジャングルの絵が不安になるのは敵が近くの木の上や茂みに隠れていても分からないから。
少なくとも敵の存在には気づける場所を人は好む。

400万年前、私たちの祖先である霊長類は、うっそうとした森と開けたサバンナの境界線で暮らしていた。
狩りをしたり食料を調達するときには森へ入り、一方大草原やサバンナで肉食動物を見つけたら姿を隠し身を守るといった生活をしていた。
開放的な光景を見て私たちがリラックスするのは、かつて祖先が眺めていた光景を無意識のうちに思い出しているのかもしれない。
眠りからおこされるのも、開放的な眺めを楽しむのも、全ては私たちが食うか食われるかの時代を生き抜いてきた名残なのだ。
肉食動物に対する恐れの痕跡はほかにもある。
私たちが忌み嫌うヘビと蜘蛛、アフリカの森に生息する彼らはかつて大きな脅威であった。
進化によって優れた色彩感覚や三次元の視角を手に入れたのは、近くで息をひそめる敵を見つけるため。
また恐怖を感じたときに汗をかくのは、敵に捕まらないよう皮膚を滑りやすくしていたためとも考えられる。
●HOW THE EARTH●Made Us Cringe なぜ人は身がすくむのか
身の毛がよだつ音、黒板に爪を立てる音に人は反応してしまう。
なぜなのか。
リーン・ハルパン博士はこの全世界共通の反応にまつわる秘密の解明に乗り出した。
人がどんな音に最も拒絶反応を示すか、実験で検証する。
心地よい音からぞっとするような音まで様々な音源が用意された。
耳心地の良い音として鍵が鳴る音、他にも自転車の車輪が回転する音を録音、深いな音として金属製ケースを引きずった音、発泡スチロール同士をこすり合わせた音を用意した。
学生たちはそれぞれの音を10段階で評価する。
だがある音が他より不快だという結果を博士は予言した。
「板の上でガーデニング道具を引きずる音が最も不快なはず。」
板の上でゆっくりと金属を引きずってみる。

黒板に爪を立てる音の変わり。
この音を聞かせた時、色んな行動や表情が見て取れた。
背筋を伸ばしたり、目をつむったり、心理的な反応ではなく、全て肉体的な反応。
この音と地球の歴史にどのような接点があるのだろうか?
この音に対して全世界共通の反応が見られるのは、進化の過程で退化した私たちの祖先が持っていたある能力の名残と考えられる。
黒板に爪を立てる音と近いのは一体なんであったのか?
黒板に爪を立てる音と一部の霊長類の発する鳴き声が似ていると仮説をたて、まず森でマカク猿の鳴き声を録音し分析した。
結果は黒板と爪の周波数成分と雌のマカク猿が我が子に危険を知らせるときに発する鳴き声の成分が非常に似ていることが分かった。
周波数を分析したところ、不快と感じる原因が高周波ではないことが明らかになった。
人を不快にさせる周波数成分は低い周波数帯にあることがわかった。
この不快な音が私たちを地球のある転換期へとつなぐ。
400万年前のアフリカの奥地、私たちの祖先は森とサバンナの境界で暮らしていた。
日中は二足歩行でサバンナを歩く、そして夜が訪れると木の上に引きこもる生活だった。
現在とは違って日が暮れてしまうと辺りは完全な暗闇に包まれる。
曇った月明かりのない夜は漆黒の闇、そんな暗闇の中では音で危険を察知していた。
何百万年もの間、暗闇の中で肉食動物に付け回される生活、そんな中危険を知らせる手段が耳をつんざく鳴き声だったとしてもおかしくない。
人間が狩る側となった現代とは違い、当時の社会を牛耳っていたのは肉食動物。
彼らを殺せないならば避けるしかない。
視覚的手段と違い、音による警告は暗闇の中でも効果的だった。
直観的に素早く音に反応することが種の生存にとって重要だった。

●HOW THE EARTH●Made Us See Faces なぜ人は顔を認識するのか
空に浮かぶ雲を見て、人の顔に見えたことはないだろうか。
雲の中に顎、鼻、頭の輪郭がふと浮かび上がる。
他にも、シンプルな形のコンセント、前から見た車などを人の顔に変換できる。
不規則なパターンに人の顔を見出すことをパレイドリアといい、私たちの心を密接な関係がある。
黒板に爪を立てる音と同様、パレイドリアは、食うか食われるかの時代の名残なのだ。
この能力によって近づいてくる肉食動物の目を瞬時に捉えることができる。
これは生き延びるために欠かせない能力。
私たちの脳がどれほど早く顔に反応するかを測定するため、被験者を最新式のスキャナにかけた。
被験者には複数の写真を見せる。

人の顔に見えるオブジェクトのの写真を混ぜておく。
人の顔に見えるオブジェクトが顔認識に欠かせない脳の一部を刺激することがわかった。
人の顔と同じ反応。
能が人間がそこにいると判断したのだ。
わずか0.17秒、瞬きの2倍のスピードで、私たちが全く気付かぬうちに、脳は人の顔に見えるオブジェクトを人の顔として認識した。

非常に早い信号、つまり見ようとしなくても見える。
パッと目の前に顔が浮かび上がる感じで。
自分の仲間か見分けるために顔を認識していることはほぼ間違いない。
子供が母親の顔を見分けるように。

だがこの電光石火の反応は人の生死を決める戦略としての機能であることもこの実験結果は示している。
実際には存在しない顔がどうして見えるのか、古代の暗く混とんとした世界においては、用心するに越したことはないということだったのかもしれない。
攻撃を仕掛けてくる敵はいないか、私たちは常に周囲の状況に目を配る必要があった。
恐怖を感じる脳の中枢部が常に警告を発し、危険を見逃さないよう、入ってくる情報を監視している。
顔がなくても顔を認識できるほうが、顔があるのに認識できないよりいい、生き残った者は前者のタイプ。
この能力は現代にも引き継がれている。
2004年グリルチーズサンドウィッチに聖母マリアの顔が見えると話題になり、26000ドルで落札された。

1956年、カナダの紙幣に描かれたエリザベス女王の髪の毛の一部が悪魔に見えるとして、その図柄が変更された。
人間のこうした行動のルーツは、食うか食われるかの世界にあった。

だが逃げる時代は終わりを告げる。
今私たちが走ったり攻撃的な衝動にかられたりするのは、地球が人間を追われる側から追う側へと変化させていった時代と、私たちがつながっているからだ。
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人体から学ぶ地球の歴史 後編

21世紀を迎え、70億人もの人たちが世界の隅々にいきわたり、今人間は食物連鎖の頂点に君臨している。
だがここに至る道のりは長かった。
現在人が動物に食べられることはまずない。
しかしここに至るまで、虎やライオンはもちろん、人間を獲物とする動物たちに食べられるという脅威に常にさらされてきた。
パワーバランスはいつ変わったのだろうか。
どのように追われる側から追う側へと変化していったのだろう。
その手掛かりはやはり私たちの肉体に隠されていた。

●HOW THE EARTH●Made Us Run なぜ人は走るのか
人は走る動物だ。
サッカー場やジムのランニングマシーン、人間の体は走るのに適した構造へと変化した。
大きな膝関節、優れた体温調整、人間の体がいかに長距離を走るのに適しているのか、気づいていない人もいるだろう。
Diane Van Derenは、世界有数のスーパーランナーだ。
「プロとして耐久レースに出場している。
専門は160km長ですね。何十時間も走るようなレース。」
42.195kmはウォーミングアップに過ぎない。

アキレスけんと人体が体を前に押し出すバネの役割を果たす。
他の霊長類にはこのように走るのに適した構造が備わっていない。
走ることに関していえば、こんなに持久力のある種は、人間をおいて他にはいない。
かつてこの持久力が人間の武器となった時代があった。
動物は人間の持つ持久力に勝てない。
人間に走り負けた動物の中には倒れてそのまま死に、人間の食料になることもあった。
長く走ることは、もともとは狩りの戦略だったと考えられる。
では、その戦略をどこで身に着けたのか。
260万年前、気候の変化に伴い、アフリカのうっそうとしたジャングルはサバンナへと姿を変えた。
新たな環境では新たな戦略が必要となる。
ダイアンのように長い距離を誰もが走れるわけではないが、昨今の高まるマラソン熱を考えると、走るという行動には先史時代のサバンナにつながる別の理由がまだあるに違いない。
マラソンの人気が高いのは疲れるから。
でもなぜわざわざ疲れたがるのか、それはその疲労感がハンターだった時代の記憶を呼び覚ますものだから。
ハンターとしての名残は別の形でも残っている。
動物の生態を見てみると、生きるためにしなければならないことは、何かしら楽しいと感じているもの。
狩りに相当する現代の活動には、そうした楽しさが残っていて、例えば球を投げたり売ったり、シューティングゲームなどもそう。
●HOW THE EARTH●Made Us Violent なぜ人は凶暴になるのか
どんなに愛想がよい人にも怒りの衝動はある。
怒りがこうじて暴力の衝動へと駆られてしまう沸点が私たち1人1人の中に存在している。
人は皆心の奥深くに闇を抱えているのだ。
人が持つ闇とは?
チンパンジーは2つの種に分かれている。
チンパンジーとボノボ。

ボノボにはあるユニークな特徴がある。
ヒヒ、チンパンジー、ゴリラ、人・・・霊長類は皆自らが生き残るためなら資源の争奪に加わることを辞さない。
だがボノボだけは違う。
人間とチンパンジーには闇があるという点で似通っている。
ボノボにはそれがない。彼らは殺さない。
なぜボノボだけが暴力と無縁なのか?
実験、1匹のボノボには手が届く範囲に食料を置く。
ドアを隔てた向こう側には、もう1匹別のボノボがいる。
ボノボがとるべき選択肢は2つ、独り占めか、分け合うか。
ボノボは扉を開けて仲間を招き入れ、一緒に食べた。
生死を分ける場面で人は分け合うか戦うか選択する。
だがボノボは平和を選び、仲間に食べ物を分け与えた。
いかにも無力で凶暴性の欠片も見えない。
なぜ人間にはボノボと違い闇があるのだろうか。
コンゴ川はアマゾンに次いで2番目に流量が多い川、クエスチョンマークのような形。
全長4700km、幅最大12kmに及ぶコンゴ川は100万年以上前に誕生した。

100万年前、コンゴ川の北側にはチンパンジーと人間の祖先が、南側にはボノボが暮らしていた。
ボノボは泳ぎが苦手だったので、巨大な川を渡れなかった。
その結果ボノボとチンパンジーは、川を隔てた別々の森で進化を遂げていった。
氷河期によってアフリカの資源は枯渇してゆくが、隔離されていたボノボには食料を争う敵はなく、仲間内で分け合うことで生き延びることができた。
一方コンゴ川の北側では霊長類たちは生き残るための戦いを余儀なくされていた。
人間の奥深くに潜む、攻撃、暴力への衝動は、かつて暮らしていた環境に原因があったのかもしれない。
様々な面で、私たちは先史時代のアフリカ大陸に深く根付いている。
古代アフリカの地理的な影響は別の形でも現れている。
私たちの平らな爪は、かつてうっそうとしたジャングルの木に登れるよう鋭いカギ爪だった。
また二足歩行が始まったのは、アフリカの森林が乾燥したことで、木から木へ歩いて移動せざるを得なかったためだ。
だがこの先にさらに大きな変化が待っていた。
人間が人間たらしめる由縁のある体の一部が進化の最終段階で大きな変化を遂げたのだ。
そう、脳である。
その手掛かりの1つが私たち人間に残された不思議な現象、デジャブに隠されている。

足の骨から顔の筋肉に至るまで、私たちの体は人間が進化を遂げてきた地球への手掛かりを握っている。
だが私たちの心は、さらに不思議な秘密を解き明かすカギを握っていた。
古代世界の選択、淘汰の力は私たちの骨や筋肉といった肉体だけではなく心も変えた。
脳の様々な部位が進化を遂げた瞬間があったのだ。
脳のひだやしわには、変貌を遂げてきた地球の歴史が刻み込まれている。
その驚くべき例は、私たちが進化の歪を感じる原因に隠されていた。
●HOW THE EARTH●Gave Us Deja Vu なぜ人はデジャブを体験するのか

あなたは友人とコーヒーを飲みながらたわいもないおしゃべりをしている。

突然あなたはなんとも不思議な感覚に支配される。

この光景はどこかで見たことがあると・・・

そうではないとわかっていても過去の出来事を細かい部分まで追体験しているような錯覚を覚える。

誰でも一度は経験したことがあるだろう、デジャブ・・・

ローレンシア大学神経解剖学者マイケル・パーシンガー博士によると、デジャブは脳の2つの重要な領域で起きる軽い発作が原因だという。

「耳の上にある右と左の側頭葉、記憶と意味をつかさどる領域。」

雷が落ちるように軽い発作が記憶をつかさどる側頭葉に作用するという。

「人間の脳は特に夢を見ている時に軽い発作を起こすことが分かっている。

睡眠中の脳を調べてみると電気的な活動が見られる。

デジャブも同じ。」

博士によると、研究室でデジャブの感覚を再現することができるという。

右の側頭葉を刺激すると、脳に変化が起きる。

この時デジャブと同じ感覚が得られる。

デジャブのルーツは古代にあり、地球の物語のある重要な時期と不思議な接点を持っていた。

200万年前、私たちの祖先は氷河期の中もがき苦しんでいた。

地球の気候は急激に変化し、突然の干ばつや山火事に見舞われた。

不安点な気候を生き抜くため、人間には新たな生きる術が必要だった。

そして人間の脳は急激な進化を遂げ、3倍の大きさにまで成長したのである。

もっとも急速に発達した脳の部位を新皮質という。

側頭葉も新皮質の一部。

メーカーが新しいCSの市場投入を急ぎすぎて大量のバグを発生させてしまうように、脳の急速な発達によってデジャブという歪が生じたのだ。

一般的にデジャブの原因となる発作は危険なものではない。

だが稀なケースとしてこうした進化の歪が制御不能に陥り、時にテンカンの症状を引き起こす場合もある。

その稀なケースがダイアンに起きた。

「その時母と車に乗っていた。発作を起こした瞬間は覚えていないが、我に返ると頭痛がひどくて、何がどうなっているのか全く状況がつかめなくて、トラックにぶつかるみたいな感覚で・・・

症状は次第に悪化していった。回数もどんどん増え、最終的には週に5回も発作が起きた。」

テンカンの発作が起きる前には、必ず強いデジャブの感覚があったという。

「見たことのある場面が出てきたり、次に何が起きるか分かったりするのだ。

まるで自分の中で何かおかしなことが起きているのを知らせてくれるみたいに。

脳の中で何かが爆発しているような感覚。」

症状が悪化してきたことで、ダイアンは手術を受けることに。

検査の結果発作は脳のある一部で起きていることが判明した。

切除されたのは右の側頭葉の一部だった。

手術後発作は出なくなり、デジャブも消えた。

ダイアンのような極端なケースから私たちが体験するデジャブまで、私たちの心に埋め込まれた痕跡は、ある時代へとつながっていた。

それはより大きな脳の持ち主として地球が人間を選んだ時代。

ダイアンの事例は地球が私たちの心を急速に進化させていったことを如実に物語っている。

そして心の進化の痕跡は別の形でも残っている。

地球は人間にデジャブというひずみを残す一方、電光石火の判断という能力も与えた。

その能力は日々の生活に役立てられている。

クオーターバックがボールをどこに投げるかを判断する時間は、わずか3.5秒だということが調査の結果わかっている。

本能に基づいて行動しているのは、私たちも同じである。

瞬間的な判断が求められること、例えば車の運転中は瞬時に判断している。

私たちは考えたうえで行動していると思いがちだが、実際には私たちの行動のほとんどは、無意識に本能に従ったもの。

その本能はどこから来たのだろうか?

人間が何をどう考えるかは進化の歴史によって決まっている。

●HOW THE EARTH●Shaped Our Instincts なぜ人に本能が備わったのか

心理学者のフレッド・クーリッジ博士によると、人が判断する仕組みを作ったのは地球だという。

ルーレットに招かれた3人の被験者がどのように判断するのか。

運しだいのルーレットで人はどのようにかける数字を決めるのだろうか。

「賭けに興じている人は、合理的でないのはわかっている、根拠は特にない、なんとなくそんな気がする、そう口々に言う。

心理学者は彼らのそういう心理に注目する。」

1人の女性がチップを8番に置いた。

そしてその後も8番に賭け続けた。くる確率は低いと分かっているのに。

確立はわずか38分の1、しかし彼女は自分の直観を信じた。

女性「根拠なんてない、全て運だから。自分と他人の運は同じでしょ。

だけど8番がすごく気になったの。

だからその直観に従ったわ。8番にオーラが見えた気がしたの。

念というのか、それとも気合なのかな、うまく言えないけど見続けてたら来るような気がする。

当たらなかったのは念が足りなかったからだ。

玉から目を離さずに集中して自分の賭けた番号に来るよう、もっと強く念じることができたのに。」

彼女は物理的な手立てはないことはわかっていて、それでも精神的な方法は有効だと思っていた。

ベテランのギャンブラーは合理的な勝ちパターンを編み出すかもしれない。

だが私たちの脳は不合理な本能に支配されていることがこの実験で明らかになった。

いわゆる直観というのは比較的古い脳の奥の構造によって呼び覚まされる感情的な反応のこと。

この反応を例えるとしたら、何百年も前にインストールされたコンピューターのハードウェアみたいなもの。

こうした直観はなぜ人間に備わっているのだろうか。

100万年前、脳の成長に伴い人は慎重かつ合理的に考える能力を身につけた。

だが突発的な危険はなくならない。

地球自体が生きてゆくには危険で厳しい環境だった。

安全と管理が行き届いた現在とは違い、祖先たちは今の私たちよりはるかに弱い存在で、火山の噴火や雷などの災害で死んでしまってもおかしくない環境にいた。

こうした脅威に常に対処しなければならない状況だった。

突然の災害という脅威にさらされ続けた時代に、現代のように考える時間が常にあるとは限らない。

そうした中で従うべきは原始的な本能だった。

虫が光に吸い寄せられるように、ねずみが猫の臭いを嗅ぎ分けられるように・・

動物としての本能が私たち人間に根付いている。 

そんな人間の本能の中でも極めて強力なものあがある。

●HOW THE EARTH●Gave Us Disgust なぜ人は不快と感じるのか

レストランでの食事中目の前に座っている友人が額の汗をふきとる、肌をかきむしる、食べかすを指でとる、鼻をかむ、その光景を見たあなたは、つい顔をそらし、目を細め、口をすぼめ、体を遠ざけようとする。

科学者の調査によると、人間の最も強力な本能は、不快感であるという。

人は特定のことに拒絶反応を示す。

理屈抜きの感情、不快と感じるときどう反応するかは、世界各国違いは無い。

顔にも共通する表情が現れる。

それはこういう表情で、体をひく。

ギャバン・フィッシモンズ教授によると、不快感の表情には一定のパターンが存在するという。

オレンジジュースにさっき消毒したあるものを浸す・・・

この状態のオレンジジュース飲めるかな?

鼻にしわがよって、上唇が上がる、目を瞬く場合もある。

身体を遠ざけ手で口を覆う、こうしたとっさの反応で感染源となりうるものから自分の目と口を物理的に遠ざけている。

つまり無意識のうちに自らの身を守っているのだ。

消毒したゴキブリはスーパーの果物などより安全と言っても無駄なのである。

不快感ははるか昔から存在する根源的な感情であることがわかった。

人類の歴史を通して、私たちの祖先が生きていくうえで大きなネックとなってきたものの1つが病気。

人類の歴史の中で突然変異や進化する病原菌は、火山の噴火や地震、肉食動物よりはるかに大きな脅威であった。

病気が死に直結する時代、時に不快と感じ、時に逃げることで、病原菌と戦ってきたのだ。

あの何気ない反応は、かつて病原菌から身を守る術だった。

19世紀半ばにルイ・パストゥールが病原菌を発見する前に、私たちは心が進化する過程で無意識のうちに感染を避けるようになっていたのだ。

この本能はあまりに強く、時に制御不能に陥る。

人は本能に支配されてしまう場合がある。

例えば1日に何百回と手を洗う人がいるが、これは強迫性障害といって本人たちも意味がないとわかっている。

やめたいと思い困っているがやめられない。

激動の地球の歴史は、はるか昔およそ45億年前に始まった。

そしてその歴史は今を生きる私たちにも不思議な方法で影響を与え続けている。

例えば性に関する不可解な統計がある。

世界中の出生記録を調べたところ、地震発生直後の数日間で出生率が跳ね上がっていることが明らかになった。

自然災害と出産には大きなかかわりがあるようだ。

もう1つ明らかになったことがある。

災害からちょうど9か月後に出生率が再び跳ね上がるという事実だ。

災害は出産を促すだけでなく、無意識のうちに人間に生の営みを働きかけている。

災害は人類の生存を常に脅かす存在だった。

私たち人間の特徴をたどってゆくとすべて巨大地震や津波、大規模噴火といった出来事に行き着く。

人間は自然の力の前では無力。

●HOW THE EARTH●Rewrote Our DNA なぜDNAは書き換えられたのか

科学者世界中の人々の遺伝子を調査した結果、驚くべき事実が判明した。

この世に生きている人は皆7万年前のおそらく数千人規模の非常に小さな集団の子孫であることが分かった。

7万年前というのは、ちょうどインドネシアのトバ火山が突然噴火した時代と一致する。

7万4千年前、後に世界を混乱に陥らせた史上最悪の災害がインドネシアのスマトラ島で今にも起きようとしていた。

トバ火山の地下から2500㎦のマグマが噴出したのだ。

大噴火というと1980年のセントヘレンズ山を思い出す人もいるかもしれないが、トバ火山の噴火はその何千倍の規模。

噴火の影響でその年の冬は相当厳しいものだったはず。

噴火によって地殻変動が起き、空は暗くなり、氷のような寒さが6年間続いて、人類は絶滅の危機に陥た。

この大噴火により、人間の数はわずか数千人にまで減少、これは現代の劇場を満席にすることもできない人数。

私たちはみな、トバ火山の大噴火の幸運な生き残りの子孫なのだ。

この噴火の痕跡は、現代に生きる私たちの体に刻まれている。

その証拠を握るのがDNA。

多様に見える人間だが、DNAの配列は99.9%以上一致しているという。

これは動物としては異例で、ハエですら人間より10倍遺伝的多様性を持っている。

この人間の驚異的な類似性は、トバ火山の集団消滅によって、必然的にもたらされたと考えられている。

私たちの目の色、骨の形、そして心のメカニズム・・・

わずかな手がかりが、私たちを作り上げた意外な地球の姿を浮き彫りにする。

そしてそうした人間の体や心に隠された手がかりを広い集めた今、地球の歴史の全貌が明らかになる。

全ての手掛かりから浮かびあがる真の物語だ。

206本の骨、640個の筋肉、膨大な数の細胞、人間の体は私たちを取り巻く地球の創造物だ。

私たちの体の内部には、地球の歴史を解明する仮想マップが埋め込まれている。

はたしてつじつまは合うのか、手がかりをつなぎ合わせ、地球規模の変化、そして想像をはるかに超える混乱にまつわる壮大な物語を今から解き明かしてゆこう。

●HOW THE EARTH MADE MAN●人体から学ぶ地球の歴史

今からおよそ45億年前、燃え盛る大量の溶岩の塊としてこの世に生まれた地球は、生命が宿るような環境ではなかった。

しかし10億年物月日で地球の温度は下がり、やがて表面に水の塊が現れ、最初の単細胞生物が住み着いた。

それから30億年、地球はすさまじい変化の嵐を耐え抜き、生命は顕微鏡を使わない大きさのままだ。

5億年以上前、大気中の酸素が増加したことで、より高等な生物が住む環境が整う。

この時人間を含めたすべての動物の基本構造ができあがる。

3億7000万年前、古代魚に手足が生え、陸上へと這い上がる。

これが人の体を動かす腕の仕組みの原型となる。

2億5千万年前、トカゲに似た生き物が史上最大の大量絶滅を生き延びる。

その顎の一部が私たちの耳の骨へと進化、優れた聴覚が備わった。

6500万年前、ねずみに似た哺乳類へと進化した私たちは、小惑星の衝突という大惨事を生き延びる。

この時の体毛、爪、鳥肌が、後世に受け継がれる。

私たちは哺乳類から霊長類へとさらに進化を遂げる。

だが、地球による人間の創造はまだ終わっていない。

数百万年にわたるアフリカ大陸の変化が私たちを類人猿から人へと変化させる。

二足歩行で歩き、走る能力、投げる能力、狩りの能力を手に入れる。

この時の肉食動物への恐れ、本能が私たちの心に刻み込まれた。

260万円前、氷河期という試練の中、人の脳は3倍の大きさへと成長、合理的に考える能力が備わる一方、デジャブといった歪が残された。

環境の変化という困難が、直観に従い深いと感じる能力を私たちに授ける。

25万年前、私たちの体はさらなる進化を遂げる。

15万年前、アフリカの大地を離れ、人間は世界へと散らばる。

74000年前、火山の大噴火により、私たちは絶滅の危機にさらされる。

その痕跡は遺伝子の類似性として今に残る。

そして古代シュメールを皮切りに、エジプト、ギリシャ、ローマ、中世ヨーロッパ、アメリカ、そして現代へと続くありとあらゆる文明が、わずか1万年の間についに花開く。

人間の文明は本に記され、それ以前の歴史は全て私たちの体に刻まれている。

この物語には続きがある。

今の私たちを作り上げた地球の変化はまだ終わっていない。

将来大陸はまた1つの超大陸になる。

大陸を隔てている大西洋は広がってゆき、やがて狭くなり長い時間をかけてさらに狭くなり、最終的に北米とヨーロッパ、アフリカが再び1つになる。

そうなる前に、新たな小惑星の衝突、あるいは火山の大噴火によって、私たちはさらい進化を遂げるかもしれないし、絶滅するかもしれない。

確かなことはただ1つ、地球や私たちの未来は予測不可能ということだ。

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